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backup  作者: 黒い映像
122/126

121.王女様はダメ男製造機に進化した

それから数日経過した。

俺とジェーンはその間ずっと一緒だった。


「ん」

「え?」

「ん!」

「え、えー……まだ昼間だぞ?」


ジェーンがベッドの上で両手を広げて、催促してきた。

二人きりとはいえ、こんな日も高い内からむやみやたらと引っ付くのは、何というかしちゃいけないことな気がする……。

もちろん嫌なわけじゃないけど……。


「……何勘違いしてんだ? もう昼だぞ。昼食の時間だ」

「えっ? ああ、そういえば」


言われてから気付いた。

確かに、もうそんな時間だし、俺もお腹が空いていた。

腹が減るという感覚もこの身体になってから思い出したもので、つい疎かにしてしまう。

当たり前だが、人間は食べないと死んでしまうのだ。


そしてこれは、いつものように昼食に連れていけとの意思表示だろう。


「一体ナニと勘違いしたのかな? 甘えん坊のレイルくんは?」

「うっ……」

「ん~?」


にやにやと意地悪そうな笑みを浮かべて、ジェーンが俺を揶揄ってくる。

最近はもう事あるごとにこれだ。

俺は一生ジェーンに逆らえない……。


「……ほら、来てもいいぞ」


そうして、慈しむような優しい顔で俺を受け入れてくれる。

そんな顔をされると、俺はもうダメだった。

恥も忘れて彼女に抱き着いて、全身でその温もりを感じる。

柔らかくて、温かくて、甘くて……どうしようもなく愛しさが込み上げてくる。


「どうした? 寂しかったのか?」

「うぅぅ……」


返事の代わりに、より一層腕の力を強めた。

俺の気持ちなんてお見通しだと言わんばかりに、クスクスと笑いながら頭を撫でてくるジェーン。

なんか……もう……本当にダメだ、俺は……。


「よしよし。好きなだけ私に甘えていいんだからな。……その代わり、こんな情けない姿、私以外の誰にも見せちゃダメだぞ?」

「……うん。絶対に見せない」


ジェーンに頭を撫でられる度に思考が蕩けていく。

何も考えられない。

ただ、この温もりだけが今の俺の全てだ……。


「ジェーンがいないと俺はもうダメだ……」

「仕方ないヤツだなぁ」


自分の全てを受け入れられて、こんなにも心地良くて安心できる。

ここが天国だったのかもしれない。


「ジェーン、ジェーン……!」

「はいはい」


名前を呼んだら、頭を撫でてくれて、優しく微笑んでくれる。

それだけで胸の奥底から温かい感情が湧き出てきて、幸せな気分になる。

むにゅっと柔らかい感触に包まれて、頭がぼんやりとしてくる。

甘い匂いが鼻腔をくすぐり、彼女の声が耳元を優しく震わせる。


「あぁぁ……うあぁぁ」

「何変な声出してんだ」

「喉から勝手に出てくる……幸せすぎておかしくなってるのかもしれない」

「……もっとおかしくなっちゃえ」

「うぐっ!?」


ぎゅーっとジェーンが抱きしめてきた。

大きな二つの膨らみの感触が顔に押し付けられて、思わずうめき声を上げてしまう。

柔らかくて、弾力があって、すごく良い匂いがする。

脳髄に響いて、身体の芯が痺れたようにズキズキと疼く。


「ふへぇ……」

「何だそのだらしない声は。男ならもうちょっとシャキッとしろ」

「無理ぃ……」


なんか……このままだとダメだ。

何かが溢れて吹き出してしまいそうだった。

よく分からないけどこのままじゃいけない気がする。


「ジェ、ジェーン。ちょっと待って、一旦離して」

「……何で?」

「いや、ちょっとその、このままだと何か我慢が効かなくなりそうで」

「──」

「……ジェーン? 聴こえてるか? 一旦離れよう」

「……ヤダ」

「ぅっ!?」


余計にジェーンに強く抱き締められた。

さっきよりも強く、深く。

呼吸すらもままならないほど密着して、ジェーンの心臓の鼓動が直接伝わってきていた。

ドクン、ドクンと力強く脈打っている。

彼女の心音を感じていると、何故かこちらまでドキドキしてしまう。


「だ、ダメだっ! これ以上は流石にまずいって!!」


理性が警鐘を鳴らしていた。

これ以上先に進んだら、恐らく取り返しのつかないことになる……!


「何も不味くないっ! 何も我慢するなっ! 全部私に吐き出せッ!」

「あうああぁっ……」


ガクンガクンと腰が震えて、頭の中が真っ白に染まりつつあった。

多分よくないことだ。よくないけど判断ができない。

溺れる。

ジェーンに溺れてしまう……ッ!




「ジルアー、もうお昼ですよ。何やってんです、か……」

「あっ」

「」


完全に溺れてしまう前に、恩人(りっちゃん)の声が聞こえてきて、俺は一命を取り留めた……。




***




「よくないと思いますよ」


俺はジェーンを背負い、りっちゃんの後ろを付いて歩いていた。

なるべく人目を避けるルートを通っていく。


「事情が事情ですから皆さん黙認してますけど、本来なら王女様がお部屋に男を連れ込んでるなんて知られたら、一大スキャンダルなんですからね? その辺ちゃんと分かってます?」

「ゴメン……」


もう謝るしかない。

りっちゃんの言う事は最もだった。

馬鹿な俺でも、嫁入り前の女の子と一つ屋根の下で暮らすのは、良くないことだってことぐらいは知っている。

それにジェーンは王女様だ。

きっと立場とか色んなものがあるだろうし、俺みたいなどこの馬の骨とも知れぬ奴と自室で一緒に暮らしてると知られたら……りっちゃんの言う通り大問題だ。

……俺はジェーンが好きだから、一緒には居たいけど……。


「レイルさんはまだ自制が効いてる節が見受けられますけど。問題はジルアですよ。何男を襲ってんですかアンタは」

「……別にいーだろ。どうせ後で……っこんするんだし」


ごにょごにょと言葉を濁すジェーン。

一体何を言おうとしたのか気になるが、今はそれどころではない。


「今は後片付けで忙しい時期なのです。問題は増やさない方がいいってことちゃんと理解してますか?」


確かに今、王都を取り巻く状況は非常に不安定だ。

帝国との一戦を終え、勝利を収めたものの、王都には莫大な被害が出た。

都の復興作業、帝国に内通していた貴族への対処、軍事の再編、国内各地への対応、他国との外交交渉、その他諸々……。

色々やることが山積みになっており、国の立て直しで大変な時期なのだとスヴェンが教えてくれた。


そんな中で問題を増やしてしまうのは、絶対にダメな事だ。


「ちっうっせーな……反省してまーす」

「ジェーン、もうちょっと真面目にしよ?」


背中でジェーンが悪態を吐いた。


「はぁ……全く。ただでさえジルアは体がよくないんですから、激しい運動はご法度なんですよ? レイルさんもちゃんとジルアの体を労わってあげて下さいね?」

「激しい運動……? よ、よく分からないけど、絶対にジェーンは大切にするよ」

「……」


大切にするって言ったのに、なぜか後頭部を叩かれた。




***




向かった先は王城の中庭だった。

王族専用の場であり、許可の無い立ち入りは禁止されているらしい。


「遅いぞ、ジルア」

「父上まで来てたのか。忙しいんじゃないの?」

「過去に類を見ないほどに多忙を極めているが、家族との団欒の時間くらいならば作るさ」

「はいはい、ありがと」


手入れの行き届いた荘厳な庭園の中に、小さな東屋がある。

天気の良い日はそこで食事をするのが習慣になっていた。


「お疲れ様、レイルくん。ジルのお世話をしてくれて、毎日ありがとうね」

「いえ、元は俺のせいなんですから、ジェ……ジルアの為ならなんだってします」

「ふふっ、あんまり根を詰めすぎないでね? この子とっても我儘だから」


ストラスさんが微笑みながら頭を撫でてくれた。

ジェーンとはまた違った温かみを感じて、とても心地が良い。


「アルルちゃんもほら、座って座って」

「家族水入らずのお時間を邪魔してしまってすみませんね」

「いいのよ。少しくらい賑やかな方が言葉が弾むもの」


ニコニコと屈託のない笑顔でいるストラスさんを見ていると、なんだか自分まで嬉しくなってくる。


「……ふんっ」

「痛っ」


ジェーンにまたポカリと叩かれた。

いや、全然痛くないけど。


「何姉さん見てニヤついてんだよ」

「えっ、違うよ。ストラスさんが笑顔だったから、なんか俺まで幸せだなって思ってさ」

「……」


いかん、すごい怒ってる……!

理由は分からんけど、とにかくめちゃくちゃ機嫌が悪い……!


「もう、ジル。どうしてすぐに手を出すの」

「今のはレイルが悪い」

「ジルア……。淑女の振る舞いを徹底しろなどとは今さら言わん。せめてもう少し慎ましやかに振る舞ってくれないか」

「ふーん」

「あの……俺が悪いのであんまりジェ……ジルアを責めないでやってください」


ジェーンがへそを曲げてしまうと厄介だ。

とりあえず俺が全部悪いことにして場を丸く収めよう。


「……何というか、ジルアに甘すぎですよね皆さん。ジルアがわがままになった原因って絶対家庭環境にあると思うんです」


何とか穏便に収めようと思ったら、りっちゃんが急にそんなことを言い出した。


「私思ったんですけどね、最近のジルアは危ない方向に成長ツリーを伸ばしてしまっている気がしてならないんですよ」

「ちょ、りっちゃん?」

「レイルさんもその片棒を担いでるんですよ? 分かってますか?」

「えっ、えっ」


片棒と言われても、俺には身に覚えがない。


「おいアルル……こんな場所で何言ってんだ」

「こんな場だからですよ。いいですか皆さん。このままだとジルアは、確実にダメ男製造機と呼ばれる類の女になりますよ」

「ダメ男……」

「製造機……」


王様とストラスさんが神妙な顔でりっちゃんの言葉を呟いた。

ダメ男と言うのは俺のことだろうか。

……自覚はある。

最近はもうジェーンの側に居ると、自分で自分が情けなくなってしまうほどに腑抜けてしまう……。


「さっきなんか昼間にも関わらずレイルさんに淫行を加えようとしてましたよ」

「ぶふぅっ!」

「ジル貴方そんなことしてたの!?」


りっちゃんがとんでもないことを口走ったせいで、王様が口に含んだお茶を吹き出してしまった。

やばい。

俺死ぬのでは?


「……見間違いだろ。ちょっとレイルを抱きしめて甘やかしてただけだ」

「それはもうほぼセックスに近いんですよ。少なくとも同年齢の男女でやるような行為ではないです。私が来てなかったらあのままおっぱじめてましたよね絶対」

「ジル貴方……」

「ゴホッ、ゲホッ……ゴホン……ジルア。事が事だけに一緒の生活は認めているがな、やはり節度というものを持って貰わねば困る」


背筋に氷柱を差し込まれたような感覚……!

話の流れ次第では俺の首が飛んでもおかしくは無い気がする……!


「……単刀直入に聞くが、もう襲ってしまったのか? ジルア」

「ちゃんと避妊はしたのジル!?」

「私が襲う前提なのおかしくないか!?」

「レイルがそんなことをするはずなかろうがッ!!」

「そうよ! レイルくんがそんなことするはずないわ!」


いかん、なぜかジェーンが追い詰められてる。

ちゃんと説明しなくては。


「あ、あのっ、え、エッチなことは絶対にしてません! 本当です!」

「レイルが言うなら本当であろうな……」

「レイルくんが言うならセーフね……」

「私とレイルの扱いの差! おかしいだろ!」


よかった……二人とも信じてくれたみたいだ。


「今はまだセーフみたいですけどね、絶対いつかその内やらかしますよ。レイルさんだってこんなちっちゃくなってしまいましたけど、男ですからね。あんなベタベタくっ付いてたら絶対我慢できなくなるに決まってます」

「むぅ……いや、確かに。あのレイルだからこそ同衾も許したが……確かにレイルも一人の人間だ。生理的な欲求があるのも当然だろう」

「そうよね……あのレイルくんがそんなことするはずないって思っていたけれど、男の子ですものね……」


二人の中で俺は一体どんなイメージになってたんだ……。


王様が難しい顔をして腕を組み始めた。

どうしよう、このままジェーンと引き離されることになったら……俺は……。


「このまま行くと間違いなくジルアはレイルさんとヤリます。ヤってしまったらもうお終いです。ジルアは昼夜問わずにレイルさんを求めて組んず解れつの愛欲の日々を過ごすことになるでしょう。そうなったら後はもう二人だけの世界です。レイルさんもジルアを拒めず、ズルズルと泥沼にハマって抜け出せません。一人では何もできない、ジルアの欲望を受け止めるだけの肉人形になり果ててしまうのです。立派なダメ男ですね。どうですか皆さん、想像に難くないと思いませんか?」


りっちゃんが長々と語った内容は……確かに俺も想像できてしまった。

というか現在進行形でダメにされつつあった。


「べっ……別にいいだろうが! レイルは何もしなくていい! ダメ男になったっていいんだ! 私が養う! 私はレイルを一生幸せにするって決めたんだ!」


ダン! と、ジェーンがテーブルを叩く音が響き渡った。


「レイルがこれまで一体どれだけ辛かったのかも知らない癖に、外から余計なことを言うな!」


ジェーンは本気で怒っていた。

……ジェーン、そんなことを考えてたのか。


「……落ち着いてください、ジルア。別に私はあなたたちの仲を引き裂こうなんて考えてはいません。ただ、今のままだとお互いに悪影響だと言ってるんです」

「何も悪くなんてない! 私たちは一緒に居ないとダメなんだ!」

「ほらそれですよそれ。何て言うか知ってます? 共依存って言うんですよ」


その言葉を聞いて、ジェーンの顔が一瞬だけ強張る。

だがすぐに表情を戻し、俺の腕を強く抱き寄せた。


「共依存で何が悪い。私たちはお互いを必要としあってるんだ」

「ねぇジル……一旦落ち着きましょう? そんな風に感情的になってちゃ、折角の食事の場が楽しめなくなっちゃうわ?」

「姉さんは黙ってて! ずっと義兄さんとイチャイチャしてる姉さんには私の気持ちなんて分からないよ!」

「い、イチャイチャなんてしてないわよ……!?」

「でもここ最近のストラスさん肌艶がいいですよね。もしかしてやっと進展ありました?」

「アルルちゃんまで急にどうしたの!?」


いかん、全方位に攻撃を加え始めた……。

けど……ここで俺がジェーンを止めたら、きっとジェーンは傷ついてしまう。

それは嫌だ。


「……ジルア。落ち着きなさい」

「……父上。父上なら分かってくれるよね?」

「ああ、お前の気持ちは分かっているつもりだ。……だから、言わせてもらおう。お前のそれは悪しき愛だ」


王様が、厳しい顔つきで言い放った。


「お前の愛は暴走している。相手を支配したいという欲求や、相手に尽くしたいという欲求が強くなりすぎているのだ。……今までの成り行きからすると、当然の帰結とも言えるがな」


ジェーンは歯がゆそうに唇を噛んでいる。

俺は……彼女を庇うべきか、どうするべきなのか、分からない……。


「今のお前の愛は健全ではない。対等な関係としてお互いを尊重し合うのが本当の愛の形なのだ」

「──」


対等な、関係……。

それを聞いて、ハッと気付いた。


──今の俺たちは、対等ではない。


「何よりも、お前は相手の気持ちを一度でも考えたか?」

「……そんなの、考えなくたって分かる。なぁ、レイル? ずっと私と一緒に居るんだよな? な? そうだよな?」


ジェーンが、俺の腕に縋り付くように、そう言った。


「……俺は、ジェーンの側に、居たいよ」

「ほ、ほら! レイルもこう言ってる! だから──」

「でも! 今のままじゃダメだってことも分かってる!」


ジェーンの顔が、凍り付いた。

……ゴメン。でも、ちゃんと言わないといけないと思ったんだ。


「ジェーンの気持ちは嬉しい。けど、このまま進んだら俺はジェーンと対等じゃなくなる! ジェーンに甘えるだけのダメな俺になる! それだけは絶対にイヤだ!」

「……ッ!」

「俺だって、ジェーンを支えられるような男になりたい! ジェーンを守れるような男になりたいんだよ!」


ジェーンが目を見開いて俺を見た。

俺も、ジェーンを見つめる。


「だからっ……だから…………とりあえず、今日から一緒に寝るのはやめよう。今度こそ本当に我慢できなくなる」


切実なお願いだった。




***




あの後、何とも言えない雰囲気で昼食を終えた。

ジェーンはむすっとして、一言も喋らなくなってしまった。

さっさと食べ終えた後、部屋に戻りたいと言ってきたので、りっちゃんと一緒に部屋に運んでいった。

俺はストラスさんに後で話があると言われたので、ジェーンのお世話はりっちゃんに任せ、再び城の中庭に戻ってきた。


「馬鹿みてぇな話してたんだな」

「割と切実な悩みですよ。真剣に聞いてください」


王様は退席しており、代わりにスヴェンが居て、遅い昼食を取っていた。

その傍らでストラスさんが今までの経緯を話しているようだ。


「おうレイル。まあ座れよ」

「……うん」


促されて、スヴェンの前の席に腰掛けた。


「姫さんにダメ男にされかけてるんだって?」

「もうスヴェン! なんて話の切り出し方してるの!」

「いや、事実なんだろ」


ストラスさんに突っ込まれても動じてない。

スヴェンは何だか前に見た時よりも活き活きとしている。

王国騎士の仕事は多忙と聞いてるのに、何か良い事でもあったんだろうか?


「んで、お前は姫さんのヒモになることは避けたい、と。そう宣言したワケだ」

「(紐……?) ああ。ジェーンに守られてばかりの男にはなりたくない」

「こんなガキの身空で立派なこった。俺がお前くらいの頃だったら女に養われて楽しようとしか考えなかっただろうぜ」

「スヴェン!」

「おっと。冗談だ冗談」


手を挙げたストラスさんを軽くあしらうスヴェン。

……ストラスさんって、こういうところを見ると、やっぱりジェーンのお姉さんなんだなぁと思ってしまう。


「まぁお前の事についてはそろそろ話が纏まるさ。……そうだな、今夜辺りには決着がつくんじゃねぇかな」

「今夜……か」


そこで、俺の今後が決まる……。


「問題は姫さんだな。聞く限りかなりお前に依存してるようだが……お前が部屋から出てくってなったらまた暴れるんじゃないのか?」

「……絶対にそうなるでしょうね。納得した風には見えませんでしたし……」

「うぅん……」


ジェーンとは一緒には居たいけど……眠る時は当たり前のように抱きしめられるし、起きてる時もさっきみたいな事態になる頻度が急増している。

それに抗えない俺も俺だけど……でも、これ以上は本当に……危ないんだ……!


「……俺がもう一度ちゃんと話してみるよ」


例え一緒の部屋じゃなくったって毎日会いに行くし、ずっとお世話もしてあげたい。

ただ、夜に眠る間だけ、ちょっと距離を置くだけだ。


それならきっとジェーンも納得してくれる。

うん、大丈夫だ、きっと。

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