105.エクストラバトル
【現在開催中のレイドクエストの一覧を表示します...】
【......レイドクエスト:No.11034 が選択されました。 対象レイドクエストの監視を開始します。】
【...... :) :D :)) :D =O :-@ >:( ;) ......】
【選択された優先実行プロセスの停止を実行します。】
【ニューロンモデル:Ⅳ による申請が受理されました。 プロセスの停止によるリソースが還元されます。】
【PID:0009 / command:anti virus protector Amateras type.Ⅱ が選択されました。 対象プロセスにリソースを追加します。】
【ニューロンモデル:Ⅳ による申請が受理されました。 対象プロセスの演算性能が増加しました。】
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虹の光が瞬いて、レイル達は結界外へ転移した。
事前の打ち合わせ通り、虹の橋は指定の位置へと全員を渡し終えた。
先ほど中に居た結界から少しばかり離れた先、そこから見えた景色は無惨の一言。
王都唯一のスラム街として有名なシラーの街並みは、その異様さを一変させていた。
王都アウルムは煌びやかな繁栄と発展を体現した大国リュグネシアの都であり、この国に住む民ならば誰もが羨む美しい街並みだった。
その中に於いてここシラー地区は、行政によって管理された貧民地区だったが、それでも他の貧民窟と比べれば遥かに上等な環境にあった。
それが今や見る影もない。
建物の残骸が瓦礫となり、数多の竜人達が蔓延る地獄絵図へと化していた。
「──いくぞ! 姫さん結界を消せ! 起爆しろ!」
王国騎士団長スヴェンの指示が飛ぶ。
数十体に及ぶ竜人達の猛攻にすら悠然と耐えていた黄金の結界が消失する。
同時に雪崩れ込む竜人──そして。
結界の中に残していった魔術式地雷が遠隔起爆した。
凄まじい轟音と共に爆風が辺り一面に吹き荒れ、竜人達を根こそぎ薙ぎ払ってゆく。
爆破と同時に炸裂する攻撃が竜人の表皮を容易く打ち破ったことから、只の爆発ではないことが伺える。
これはスヴェンとフランドリーズが構築した魔術式にジルアが手を加え、結界の維持に使っていた地の龍気を炸裂エネルギーに変えた、特注式の爆破魔術だ。
「うわ……威力高すぎません……?」
「確実に倒すにはやりすぎなくらいのがいいだろ」
「さぁて、これで本体が死んでくれりゃあ言う事無しだがな」
爆破の黒煙が巻き上がり視界が塞がる。
散乱した竜人の肉片がパラパラと降り注ぐ中、油断無く一行は行方を見守った。
時折雷が鳴り響き、白く点滅する夜空が不気味に映える。
そうして、黒煙の中に光る赤い残光をスヴェンが捉えた。
「来るぞ」
スヴェンの声を合図に全員が戦闘態勢に移行した。
「foaiuuおうuofaos──!」
「iadsfoiauiuoi!!」
黒煙を突っ切って、二体の竜人が飛び出してきた。
理解不能な言語を叫びながら、凄まじいスピードで固く鋭い両の爪を武器として振りかざす。
「──フッ!」
前衛のスヴェンが剣を振るった。
竜人のスピードを以てしても、接敵まではまだ早いにも関わらずだ。
「取った」
パキンと控えめな音を立てて竜人が二つに別れて崩れ落ちた。
それも二体同時に。
「oudf?」
「iofuoua?」
その身体は再生しない。
正確に心臓を捉えて完全に両断したからだ。
竜人の身体がボロボロと霧散して消えていった。
「つまるところ、想定外の攻撃には反応できず、心臓も定位置にあるってこったな」
「想定外の攻撃とか言われても、見えない斬撃できるのなんか団長しかいないでしょ……」
「斬撃飛ばすのも普通は無理よね」
「アホ、そんなもんある程度のレベルの剣士なら誰だってできるわ。なぁレイル」
「うーん、飛ばそうとして何回かに一回は成功するかなぁ……?」
「オマエの場合、斬撃飛ばすより自分で走って斬った方が早いもんな」
「脳筋が過ぎる」
「お喋りはそこまで! 来ますわよ!」
フランドリーズが注意をせずとも、皆それを認識していた。
黒煙が晴れてゆく先、無数に集まる赤い双眸がこちらを睨みつけていたからだ。
「ouiuyiaujkぁoiufa──!!」
竜人達が一斉に雄叫びを上げた。
それに合わせてジルアたち一行は行動を開始する。
*** *** ***
『──! 動きがありました。──団長とジルア王女含む八名の姿を確認』
「やはりですか。誰かが怪我をしているわけではありませんね?」
『軽傷を負っている者も見かけますが、全員両の足で立っています』
「よろしい。恐らく最終決戦ということでしょう」
『指示は依然待機のままでしょうか? 今すぐにでも我々も加勢を──』
「なりません。あの増えた竜人は、恐らく一体でも逃すと取り返しの付かないことになります。団長殿が指示を出してこないということは、今は包囲と監視を徹底しろということでしょう。ただし、即座に戦闘に移行できる備えはしておくように」
『承知いたしました、ジェフリー参謀官殿』
シラー地区に潜伏させた騎士からの連絡を受け、王城の戦闘指揮所にいた面々は歓喜に沸いた。
「良かった……! 皆無事だったか……!」
「通信が断絶した時点で絶望的だと覚悟しておりましたが、本当に良かったです……!」
「ああ、これでまだ希望はある」
リュグネシア諸侯十二貴族の長たちが各々喜びを口にし、安堵の表情を見せていた。
だがその中で、王とジェフリー参謀官だけは厳しい顔つきを崩さなかった。
「……ジェフリー、どう見る?」
「いつでもここに戻れる団長殿が報告に来ないという事は、相当厳しい状況に置かれているのでしょうね。転移もできないほどに力を消耗されているか、そもそも転移を阻まれているか、そのどちらかだと思われます。ですがあの場にはアルル嬢もいらっしゃる。流石にアルル嬢までもが巻き込まれるとは思えません」
「だとすれば……余力を残して何かを成そうとしているという線があるか」
「そういうことでしょう。援軍の一つも送れないのは歯痒い限りですが……」
「騎士団は包囲に人員を割いているから仕方ないとして、軍から援軍は出せないものか?」
シェルバーン大公が顎をさすりながら呟く。
「王国騎士が苦戦するほどの相手が山の数ほどいるのです。恩寵による強化があったとしても、最低で大隊単位を動かさなければいけません。ですが、今はそれほどの人員を出す余裕すらないのです」
「下手に突いて注意を引き付けてしまえばどうなるか分からんからな。包囲網を抜けられて均衡が崩れてしまうのが一番恐ろしい」
「何もできない、というわけか……歯がゆいな、天が味方をしてくれているというのに」
──先ほど、王都を消し飛ばしてしまうかというほどの極雷が放たれた。
幸い、轟音と稲光がしただけで王都事態に変化はなかったが、その後断続して落雷が起きている。
天帝龍の逆鱗に触れてしまったのではないかと口々に危惧していたが、その後天帝龍より恩寵が与えられたという天の声が響いた。
これは驚くべき事だった。
有史以来、かの龍から恩寵を与えられたことなど一度もなかったからだ。
天帝龍から与えられた恩寵は非常に強力で、個人が持つ潜在能力を限界まで高めるものだった。
非常時にも関わらず、一部の宮廷魔術師などは、その効力を正確に確かめて情報として残せるように研究を始めるほどであった。
──実はこの恩寵の件は、防音の結界内にいたジルア達に聴こえておらず、まだ誰も能力が強化されたことに気付いていない。
「天の龍が我ら人類の味方をしてくださっているのは、非常に心強いではありませんか。それに、先ほどから雷は敵生体のみを対象としているのでしょう? これ以上ないほど強力な援軍だと思えばよろしいのではないでしょうか」
「そうですね。そう考えると、我々も多少は気が楽になります。……ですが私は逆に、あの天の龍が人の味方をしないといけないほどの窮地に、人類が追い込まれてしまったように思えるのです」
ジェフリー参謀官の言葉に、皆一様に言葉を失った。
「……王都の存亡は彼らに委ねられました。我々は、我々に出来る事を最大限に遂行しましょう」
「そうだな。皆、報告の続きを頼む」
王の指示により、戦闘指揮所は再び慌ただしく言葉が飛び交い出した。
「後備えと思われる反乱分子を幾つか確認しましたが、そのどれもが錯乱状態にありました。王の真言の効力でしょうな」
「王城周辺地域の避難は滞りなく進んでおります。離れた地域に関しても、周辺の安全地帯への避難を指示しております」
「──」
「──」
*** *** ***
ジルアたち一行は大量の竜人の猛攻を掻い潜り移動し続けていた。
スヴェンとミセラは竜人の心臓を破壊する術を早々に身に付け、的確に弱点を突いて次々と竜人を仕留めていく。
フランドリーズ達も完全とは言えないが、襲い掛かる攻撃をいなしてフェイントを仕掛けることで何体かは倒せるようになっていた。
だが、それでも竜人の数は減っているようには見られない。
増殖を抑える力があった上でここまで増えてしまったのだから、驚異的な増殖能力と言う他ない。
「──! 見つけた! あそこだ!」
レイルが本体を見つけたことを叫んだ。
指差す先、上空に竜人が密集した一帯が出来ていた。
「指差されても分からん! あの内のどれかなんだな!?」
「ああ! ずっとこっちを観察してるヤツがいる!」
レイルが大声でスヴェンの問いに答えた。
「雷がずっとヤツに向かって落ち続けてるんだ! それを分身体でガードしてる!」
レイルが言う通り、雷は全てある特定の竜人のみを対象として放たれているものだった。
一撃毎に数体の分身を犠牲にして、再度放たれる僅かな間に、犠牲にした分を新たに生み出し、雷の防御膜を形成しているようだった。
つまるところ、増殖機能は雷によって完全に封じられている。
「……分かってるんならさっさと教えろっつーんですよ」
アルルの呟いた言葉は戦場の喧騒によって掻き消され、誰にも届かなかった。
「上か……!」
ジルアが予想していた通り、本体は空を飛んでいた。
もしも本体がいるとしたら、司令塔のような役割を担っているものと思っていたのだが、やはり予想は的中した。
ジルアたちの動向を空から観察していたようだ。
「下手に突っ込んだら雷で一緒に焼かれるな……! 誰か対空攻撃できる奴!」
「私!」
「姫さんは最終手段だろうが! ミセラ!」
「今ちょっと無理です!! 五体くらい相手にしてるんで!!」
「私が狙ってみます」
【虹の彼方に が発動しました。】
騎士達が竜人の対処に追われる中、アルルがその役割を担う。
虹色の球体を手早く掌に生成すると、それを空へと放り投げた。
「肩お借りしますよ」
「!」
そしてアルルはレイルの肩を蹴って空へ飛び上がった。
「せぇ、のっ」
虹色の球体が落下するのに合わせて飛んだアルルと交差点が生まれる。
その交差点目掛けてアルルは掌を打ち当てて、虹色の球を竜人目掛けて打ち出した。
向こうの世界で言う、バレーボールのジャンプサーブである。
少女の力とは思えないほどの速度で打ち出されたそれは、虹色の軌跡を描きながら竜人の群れの中へと迫ってゆく。
──虹の彼方には彼女専用に調整された加速スキルだ。
触れた対象の加速度を自由に設定することができる、彼女唯一の攻撃手段でもある。
球体に固定した虹の龍気を打ち出して攻撃を加えるのが、彼女の常套手法だ。
打ち出されたそれは即座にMAXスピードへと到達し、着弾地点に大きな物理破壊力をもたらす。
極めて強力な攻撃方法だと言えよう。
……本来は、虹が架かる速度を演算処理するための機能だ。それを無理やり攻撃方法へと転用したのが彼女らしい。
竜人たちはほぼ光の速度で迫るそれを視認することができない。
できないにも拘らず──竜人はまるでそれが分かっていたかのように回避行動を取っていた。
「避けたっ!?」
ジルアが驚愕する。
親友が見せた度肝を抜かれるような攻撃を、あっさりと避けられたことに動揺を隠せない。
だが、これは竜人が既に何度も喰らった技だ。
アルルを警戒していた竜人は、肉体に刻み込まれた体験が本能的に危険を察知し、回避したのだ。
アルルの攻撃は群れていた全ての竜人に避けられ、虹の軌跡が物悲しく空を彩った。
「避けてんじゃあ──ねぇですよっ!」
【虹の橋 が発動しました。】
打ち出された虹の球が空中で急停止する。
そして空中に転移したアルルが──停止した虹の球を再び打ち出した。
それも、今度は打ち付けた球が無数の小さな球体となって飛び散ってゆく。
「jiauf──!?」
さしもの竜人もこれは予想外だったのだろう。
避けた体勢から更に回避することは叶わず、雨のように降り注ぐ虹の弾丸が竜人を穿っていく。
空の一角に蔓延っていた群体の殆どが、制御を失い地上へと落下していく。
「凄い……!」
「義兄さん、オレたちで本体を叩いてくる!」
「ミセラ! 突破口を開いて付いてってやれ! こっちのは俺たちが全部引き受ける!」
「了解!!」
地上の竜人が雪崩のように押し寄せる中、一行は二手に別れる事を選んだ。
ミセラの持つ浮遊する剣が縦横無尽に飛び回り、レイルとジルアが駆け抜けるための道を切り開く。
「団長ぉ! 四人でこの数は厳しいってぇ!」
ティルムが叫びながらも、手に持つ大盾で竜人の爪を受け流し、間髪入れずに胴を割いた。
泣き言を言いながらも、必死の形相で走り回り、戦い続けていた。
だが、一体倒したところで後詰めは山のようにいる。
「うるせぇ! 泣き言言う暇あったら剣を振れ剣を!」
「振ってるもん! でも全然数が減らないじゃんかぁ!」
「減っていますわ! 数が膨大なだけで確実に数は減らせていますのよ!」
「アタシたちの体力が尽きるのが先か、姫様たちが本体を倒すのが先かってことね! ティルム、覚悟決めなさい!」
「うぅぅ、これが終わったら絶対姫に労ってもらうんだからぁっ!」
王国騎士はジルアたちを送り出した方を塞ぐように陣形を組み、竜人の進行を食い止める。
彼らの戦場はここと決めたようだった。
***
先行するレイルを追うようにジルアとミセラが走り出す。
空中から襲い掛かる竜人はミセラの剣によって阻まれ、一撃で心臓を叩き割られて霧散していく。
「おおおおオォッ!!」
レイルは空から叩き落された竜人を薙ぎ払うようにして進み、その余波だけで大きな衝撃波を巻き起こしていた。
その人間離れした膂力は、分身体の竜人では止められないほどだ。
「(まだ龍気変換器が完全回復するのに時間がかかる……! 軽い魔術なら使えそうだけど、使ったらその分だけまた回復が遅れる……)」
ジルアは未だ戦闘不能に近い状態だった。
しかし無理をすれば魔術を使えるため、どうしようもなければ彼女が事を終わらせるつもりでいた。
龍気変換器が完全に焼き付いてしまえば、生命活動の維持も危うい状態に陥る。
最悪は死に至るだろうが、それは絶対ではない。
適切な治療を受ければ、何らかの後遺症は残るだろうが、回復は望める。
「(明確に命を捨てる覚悟のヤツらに比べれば、私の方が遥かにマシだ……!)」
アルルもレイルも、無茶をしてでもこの戦いを終わらせようとしていた節が見受けられた。
そんな二人を見咎めるために、彼女は戦場に立っている。
「faoiuおふあおoifuaoiu!!」
「ッ!」
「姫様!! 私の後ろへ!!」
空から繰り出される攻撃にいち早く反応したミセラが、剣を盾にしてジルアの前に立つ。
ミセラの剣が竜人の爪とぶつかり合って火花を散らす。
拮抗するかに思われた戦いは、死角から飛んできた剣が竜人の心臓を穿つことで唐突に終了した。
「……毎回思うけど、ミセラのスキルって大概反則だよな」
「何言ってんですか。姫様の方が十分規格外ですよ」
霧散する竜人に目もくれず、レイルを追って再び走り出す。
道中、叩きつけられて伏せっていた分身体は漏れなくミセラがトドメを刺していった。
それでも再び空へと飛び上がった個体は多い。
「──アルルが落ちてからどうなった?」
「分かんないです!! 着地点はあそこの建物の影ですが」
竜人に攻撃を叩きつけたアルルが、そのまま自由落下に身を任せるところまではジルアも見ていた。
転移能力を持つ彼女の事だ。すぐに合流できるだろうと踏んでいたジルアだったが……。
「アイツもしかしてさっきので力を使い果たしたんじゃないだろうな!?」
「もしそうだったら助けに来てくれますか?」
「うおわッ!?」
「ひぇっ!?」
突如横合いに現れたアルルに飛びのく二人。
「こんな時に驚かすなバカッ!」
「ええっ、普通に横から出てきただけなのに……」
「いきなり声を掛けてくる前に一言声掛けろ! びっくりするだろ!」
「そんな理不尽な」
「アルルちゃんが一番規格外ですよねぇ……」
戦場に見合わぬ姦しさを醸し出しながら、三人は再び走り出した。
「それで本当に力使い果たしてないんだろうな?」
「実は後一発で打ち止めですね。これ以上は動けなくなります」
「よーしオマエはもう何もするなよ!? 絶対にだぞ!?」
「……」
飄々と告げるアルルにジルアは釘を刺す。
誰も彼もが限界を迎えつつある中、残った力の配分を考えなければならない状況。
ジルアは焦燥感を募らせていた。
「──! レイルが戦い始めた!」
遠目に映る景色。
そこで剣と爪を交差させたレイルと竜人の姿が見えた。
駆け出したのは同時のはずなのに、僅か一瞬で大きく引き離されてしまっていた。
「一人で戦うなっつってんのに!」
「お馬鹿なんですかレイルは!!」
「多分その通りだと思います」
レイルの周囲にはぞろぞろと分身体たちが群がり始めていた。
だが、レイルはそれらをものともせずに、本体と思われる竜人と渡り合っていた。
分身体の攻撃がレイルを襲うが、その殆どが本体を狙った剣戟によりついでとばかりに弾かれている。
「ofiasudofusoa──!!!」
「おおおォッ!!」
激しい攻防が続く。
レイルと同等に渡り合っている様から、本体は分身に比べて強力であることが伺える。
「本体は元の力量を保持したままなのか……?」
ジルアの考察は正しい。
本体は分身体に比べて元の戦闘力を維持したままだ。
数多のスキルが使えなくなっていることを除き、竜人の戦闘能力は健在だ。
「あれだけ動かれちゃこっちも援護できませんよ!! もう!!」
ミセラの真骨頂は七本の剣をスキルで自由自在に操ることによる、広範囲かつ多数への同時攻撃だ。
だからこうして自分たちの身を守りながらも敵を切り刻み、レイルへの援護もできる。
……はずだったが、あまりにも高速度の戦闘に付いていけず、援護が思うようにできない。
それは何かしらの支援をレイルに送ろうと考えていたジルアも同じことだった。
「はぁぁぁあああああッ!!!」
「kdェjfaosidfhffuo──!!!」
あまりの速度に認識が追いつかない。
分身体たちも同じく動きに付いていけておらず、二人を囲むように円を形作ろうとしている。
「せめて周りの雑魚だけでも散らせるか?」
「決して雑魚と言えるような敵じゃないんですけどね!? まぁやってみます!!」
読了いただき、ありがとうございます。
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