8話 歓待の宴
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「では勇者殿方今日は楽しんで飲み食いしてくれ。乾杯!!」
パラディ―の言葉を皮切りに氷室達は目の前にある豪華な料理に手を伸ばす。総合的な料理の技術では地球のほうが上であろうが氷室達はそんな違いがわかるほど高級な料理を食べたことはない。故に出される料理は全て地球の物に劣らぬ美食と感じていた。
「きっと勇者殿たちも今まで戦いの場に身を置いたことなく不安だろう。しかし安心してほしい。いきなりモンスターと戦えなど言わないし仮に戦う際は我が国の優秀な兵士にしっかり護衛をさせる」
「ありがとうございます。強力なギフトを授かったとはいえやはり心配だったので」
パラディ―に最も近い席に座るのは神宮司だ。誰が言い出したわけでもなく自然とそうなった。当然食事中もパラディ―と会話することが一番多い。
「なあなあこの肉やばくね?こんなに分厚いのはじめてみたぞ」
「そちらはグレイトボアのモモ肉になります」
「ボアってことはイノシシか? イノシシってこんなに旨いんだな。これまだありますか?」
「ただいまお持ちしますね」
飲み物が少なくなればすぐに注がれ気に入った料理は頼めば運んできてもらえる。おまけにそれらを行うのはいずれも見目麗しい男女なのだ。初めてのVIP待遇に氷室達は大いに飲み食いをして楽しんだ。
「こちらがヨロイ様のお部屋になります」
「ありがとうございまーす。あ、モンスター?とかと戦う訓練って明日から始めるの?」
「明日すぐというわけではないかもしれませんが勇者様たちがこの国に慣れてきたら行うかと」
「ボクは全然明日からでもオッケーだからさそう言うの決める人に伝えといてよ」
「承知いたしました」
食事と入浴を終えた氷室達はそれぞれ個室に案内されていた。そして最後の1人を案内したメイドは鎧の伝言を伝えるため近衛隊長ゲイツと国王パラディ―が話している部屋へと向かうのだった。