第六話 神隠し(補足)
天橋立の、すぐ近くにある大江山は全国的にも有名な鬼退治の伝承がある場所です。
大江山には酒天童子と呼ばれる鬼を、源頼光が退治する鬼退治の伝承があります。この時の頼光の家来の一人である坂田金時は、幼い頃、足柄山で育ったと言う、あの五月人形になっている。≪足柄山の金太郎≫さんなのです。
鬼退治の伝承は三つあるのですが、今回参考にした、麻呂子親王の鬼退治は以下の通りです。
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用明天皇(在位585~587)の頃、河内荘三上ヶ嶽に、英胡・足軽・土熊(土蜘蛛)という三鬼を首領とする悪鬼が集まり庶民を苦しめたので、天皇は麻呂子親王(用明天皇の第二王子)に命じて征伐させました。
親王はまず、七仏薬師の法を修め、悪鬼討伐・国家平治の誓いを立て、黄金薬師の小像を鋳させ護身仏とし、又、天照大神に祈願し神徳の加護を祈った。
丹後国へ赴く途中の丹波国の篠村辺りで、商人が死に接した馬を埋めているのを見て、親王は「この度の征伐が上手く行くなら、この馬は蘇るべし」と祈誓したところ、馬は蘇生し地中でいなないた。親王が馬を掘り出すと、俊足の龍馬であり、ここを馬掘と名付けた。
親王がこの馬に乗り丹波国の生野の里へ来ると、不意に老翁が現れて白い犬を献上した。
この犬は額に≪鏡≫を付けていた。
親王は「これぞ開運の祥瑞であろう」と喜び、この犬を道案内として雲原村に至り、ここで自ら薬師像七体を彫刻された。この地を仏谷という。
そして親王は「悪鬼を征伐することができれば、この国に七寺を建立し、この七仏を安置する」と祈誓した。
更に進み、黄披・雙披・小頸・綴方の四天王と共に河内荘三上ヶ嶽の鬼の岩窟に辿り着き、首尾よく英胡・足軽の二鬼を討ち取ったが、土熊を見失ったしまった。
そこで先の≪鏡≫で照らしたところ、土熊の姿が鏡に映り、これも退治することが出来た。
末世のあかしにと、≪土熊を岩窟に封じ込めた≫。
これが今の「鬼が窟」である。
(土熊は逃れて竹野郡で討たれた話もある)
鬼退治を終えた親王は、神徳の加護に感謝し天照大神の神殿を営み、その傍らに親王の宮殿を造営した。
鏡は三上ヶ嶽の麓に納めて≪犬鏡≫大明神と号した。
また、仏徳の加護に報いる為に、宿願の通り丹後七国に七ヶ寺を造営して七仏薬師を安置した。
*大江山の鬼退治で検索すれば出てきます。
上の文は 歴史読本 1987年8月号 特集:闇の王国より




