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持ち上がる海水に集った主に人間で形成されている複数の集団が目を見開き、その現実離れした巨大な海水のドームに注目が集まる。
そして海水が剥がれ出現したのは漆黒で形成された甲羅、それを包む森林を彷彿とさせるような広大に広がる苔を背負った大きすぎる亀。
見上げるようにしか見れない人々の前に亀が顔を覗かせ視界を埋め尽くす。
と同時に人々へ肌を撫でるような振動が伸びる、と彼らの前に降り立ったのは銀色の髪と上下長袖の黒い服を着た華奢な男。
彼は自らの魔力を操り空間に巨大な魔方陣を生成する。
「私はニア、君たちに提案を持ちかけるため訪れた亀である!」
現れた男、ニアは魔方陣により空気の振動を操って集団の全体へ声を響かせるとニヤッと口角を吊り上げて再び口を開く。
「確か君達は私の事を巨石と呼称していたな? では君達に合わせて言葉を選ぶとしよう! 巨石被害を被りたくない奴は300億の支払いをしてくれ! 払わなかった奴等は徹底的に資源を失うと考えてくれ!」
その言葉に事前情報として巨石を知る集団には明らかな焦りとも分からないザワザワとした空気が立ち込める。
その空気を感じ取ったのかニアは意識を本体に戻すと右足を陸に乗せるように動かし上空で停止させた。
足の影で真っ暗になった空間の中で集団は更に困惑の声を漏らし、不安が空間を伝染した。
そんな最中、突如として空間に上空からへりの音が鳴り響き同時にスピーカー音が大きく響いた。
『我々は貴様らを殺す! 死んだ存在に付き従う必要もないからな! 故に武器を取るのだ! 世界に仇なす怪物よ! 早々に死にさらし世界の平和に貢献しろ!!』
ヘリから流れる演説のような声にニアは右腕を一直線にヘリへ向け人差し指を立てると口角を下に向けて陰った暗い空間に一粒の明かりを灯した。
その明かりが描くのは幾何学な何語かも分からない言葉の羅列、暗い空間で小さく描かれた言葉の羅列がニアの指先で形状を変え文字列から幾多の図形で構築された所謂『魔方陣』に変換された。
「消し去れ」
その言葉を皮切りに魔方陣の中心から光の巨大な球体が発生し熱エネルギーに空間が熱され空間が歪み地面が溶解する。
その球体から無数の光が分裂し閃光が3つのヘリへ追い迫り機体に大きな穴を開け、ヘリを爆破した。
壊れたヘリの破片と溶けた肉体が地面に落ち小さな土煙を立てる。
「まあ反抗は無意味って事でさ」
ニアは増幅させた声で言うと地面に右手を差し1つの魔方陣を構築した。