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《封印解除当日 魔王城頂上王の間にて》
「巨石の封印が解かれた、ね・・・ 間違いないのか?」
「ええ、この情報に嘘偽りの無いことは私が保証します」
「はぁ、このタイミングで奴の封印が解かれるのは痛手だな。 何にしても封印地点から我の国までは相当の距離がある、儲けた時間で対策の1つも用意しておくべきかも知れんな」
「はい、私達『魔王国』が所有する海の幸は最上級ですからね。 少なく見積もって4ヶ月経てば巨石の上陸も考えられます」
「そうなった時の修繕費用は幾らになり?」
「はい、凡そ1286兆と予想されます」
「マジでか、それ国の予算も持つのか? そんな金引き出して生活を失ったものの支援を考えたら3000兆行くだろたぶん」
魔王国、侵略国家の形を取り最先端の魔術技術と豊富な海産資源で島国ながら他の列強国を凌ぐ経済力と武力を保持した8000年続く由緒正しき國。
その影響力は凄まじく魔王国との戦争は=で自国の全てが尽きることを意味すると畏怖される程の力ある国であった。
そんな國にあり魔王の名を冠するのは三代目である現国王アルブ。
そして彼は巨石封印以前から生き長らえている。
故に彼は知っている、巨石の侵略に有った魔王国の惨劇を。
物資供給の要であった地下道の上に巨石が現れ地下道は陥没した。
それにより当時戦争中だったカヌ帝国に物資面で大きく遅れ結果は勝つには勝ったが戦力を大きく消耗する結果となった。
それに目の色を変えた周辺の列強国は手を組、連合軍として魔王国に宣戦布告した。
その結果は大敗で数千兆の賠償金と国の復興で金を使った魔王国は前代未聞の飢饉の陥る。
その結果、彼等は上ノ国上層部に掛け合い巨石の封印を依頼することでそれ以上の被害を押さた。
その後順調に回復した魔王国は嘗ての賑わいを取り戻しつつある。
そんな最中に巨石復活の報告だ、手放しに喜べる筈がない。
「もしくは封呪の町と交易を結び保護を頼む事くらいでしょうか?」
「封呪の町? 聞かん名だな、どういった立ち位置の町だ?」
「巨石の上に出来上がっている町との話です、何でも町の長と交渉し利があると判断されれば巨石被害が及ばないとか」
「なんだその胡散臭いキャッチコピーは? 本当なのなら悪くないが・・・」
「他にも安全を金で買うことが出来ると豪語していたそうです、まあ偵察の情報ですし優秀な者が行っていたので信用に足る情報かと」
「豪語だと? 交渉役で誰か出てきたのか?」
「はい、銀色の髪に上下長袖の黒い服を着たニアと名乗る男が」
「ほう、それで? 提示額は幾らだ?」
「300億です、予想された損害より大幅に削減されますから乗るべきかと思いますが?」
「ふむ、我の一存で決める訳にもいかんな。 一度会議の議題と四天会議に持ちかけるとしよう」
「それが宜しいかと存じ上げます」
魔王直属の秘書アルマの言葉に立ち上がる魔王は直ぐに報告書を作成し会議を日を跨ぐ前に執り行った。