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五話までが毎日投稿ですが過ぎると不定期投稿になります、ご容赦ください。
《4日後 アストー王国の緊急会議室にて》
「巨石が復活したとゆう話は本当なのか?」
中心を囲むように設置された机、その中心で最も大きな椅子に座る男が顔を手で覆い回りに座る沢山の国上層部連中に聞く。
しかし周りの者も同じく頭を抱えるだけで質問に答えない。
「我が聞いたのだ、聞こえなかった訳ではあるまい。 答えなさい」
中心の男が言うと目の前に座っていた男が口許を押さえて「くくくっ」と笑い声をあげる。
「何が可笑しいエルマー?」
中心の男、国王ゼベルが聞くと第一魔術部隊長エルマーは笑うのを止め齢12とは思えない鋭い眼光をゼベルに向ける。
「いえね、私には相当な余裕が伺えましたので。 つい笑いが溢れてしまっためでの事ですよ」
「どうゆう意味だ? 何が言いたい?」
「分かりませんか? 少なくとも定例会議など開いている時間があるなら各々で手を尽くすべきでしょうと申し上げているんですよ」
「何を言うかと思えば、緊急会議の場が設けられたとゆう事は国の存続に関わる重大な決断が必要とゆう事だろう! コレだから餓鬼は嫌いなのだ、政治を何も分かっていない・・・」
返事を返したのはゼベル、ではなくエルマーの隣で嘲りの視線をエルマーに送る男だ。
第一魔術部副隊長、エルマーに成績で負けつい数ヶ月前に隊長の座を奪われたキルテルよゆう男である。
「はん、何を言うかと思えば政治だと? 国が自己の保身しか頭に無いような男は黙っていろ! それよりも国王! 早急に会議を中断し各自に最善を尽くすよう申してください!!」
「だから其れを今から決めるのであr・・・」
「貴様等が発言しているなら私とて何も言わんわ!! 沈黙しか無い会議など時の浪費としか言えんだろうが!!」
「ソコまでだ、キルテルも地位を奪われて難いのは分かるが突っ掛かるな面倒臭い」
ゼベルが呆れたように言うとキルテルは蛇に睨まれた蛙とでも言うように黙り混む。
「王よ、どうか懸命な判断を下されるよう・・・」
エルマーは王へ忠告を口にすると頭を下げて口を閉ざす。
ゼベルは少し悩むような素振りを見せると手を打ち鳴らす。
「この会議は終了だ、各々で巨石の対処を考え適切に選択し実行するよう心掛けてくれ」
「はっ!」
エルマーが敬礼しゼベルは退室する、が他の者は未だに頭を抱え何かをボソボソと言っている。
「全く呆れた連中だな・・・」
エルマーは言って踵を返すと王に続き部屋を退室した。
《冒険者ギルド ギルド長室にて》
「伝令です! 巨石の浮上を確認したと偵察部隊が報告を持ち込みました!」
最低限の急所だけを守るような全体的に重量の軽い作りをした鎧と小降りなナイフ二本を持った男が資料を持って部屋に入る。
その声に頭を上げるのはシワシワで寝不足なのだろう大きな隈を携えた初老の女性。
「巨石の封印が解けて三時間も経っていないだろうに、セッカチな亀だねホント・・・」
初老の女性、ギルド長セレナは「はぁ・・・」と溜め息をつき言うと手元の資料を持ち上げて項垂れる。
「面倒臭いのは分かりますが寝ないでくださいよ! 僕だって徹夜明けの重い瞼を無理に開けて仕事してんですから!!」
男は言いながら目を閉じ呼吸を整えているセレナを力任せに起こすと言って机に資料を叩きつける。
「これ! 報告書なんで目を通しといてください! では僕も他に仕事があるので失礼します!」
男は捲し立てるように言うと部屋を出ていく。
「はぁ、結局は私が対処するんだからギルド長って損ばっかねぇ・・・」
セレナは呟いて資料に目を落とし、絶句する。
「っっっっっっっつ!!?」
セレナの目に飛び込み彼女から言葉を奪ったのは『魔神クラスの怪物を複数乗せて浮上しています』とゆう記述、それは遂に巨石が人類へ本腰を入れ攻め混むとゆう暗示であった。
「魔神クラスが複数って、魔王じゃないんだから勘弁してよ・・・」
セレナは取り戻した言葉で呟くと頭を抱え嗚咽混じりに項垂れた。