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第一話:ゲームオタク、フラグブレイカーになる

なろうでは初投稿ですね(´・ω・`)

駄文ですが、生暖かい目で見守って頂けると幸いです(*´ω`*)


「ふぅ・・・終わった〜!!」


一人の青年がテレビゲームのコントローラーを置き気持ちよさそうに背伸びする。体のあちこちからコキコキと心地良い音が鳴っている。

彼の名前は伊藤誠也、ゲームがとにかく大好きな大学二年生。

ゲームといってもジャンルは問わず王道RPGからギャルゲー、中にはクソゲーやバカゲーと言われるものまで網羅している。俗に言うゲームオタクというやつだ。

ちなみに、ゲームオタクと言っても特別太っているわけでもなく短く切られた清潔そうな黒髪にそこそこ整った容姿はむしろ世間一般的に言えば中の上といった感じだ。


「色んなゲームしてるけど・・・やっぱりRPGは最高だなぁ・・・」


ゲーム画面に表示されているエンディングを眺めながら呟く。今は丁度数年前に発売された有名なRPG"ラグナロククロニクル"通称"ラグクロ"を久しぶりにプレイしクリアし終えたところだ。

"ラグクロ"は高グラフィックに加えキャラ作成がかなり細かくでき、ストーリーも伏線が幾重にも張られている上にエンディングまでに全ての伏線をしっかり回収と間違いなく神ゲーと呼ばれるものに分類される作品だ。


グゥゥー


誠也が"ラグクロ"のストーリーを思い返していると腹の虫が鳴き声をあげた。時計を見れば既に夜の8:00を過ぎていた。


「今から晩御飯を作るのは面倒だなぁ・・・コンビニに行くかー」


誠也は高校卒業と同時に実家を出て一人暮らしをしているため食事は基本自炊だ。今日のようにどうしても気が乗らない日以外は健康を考えてちゃんと作るようにしている。


「・・・夜だし、着替えなくてもいいか」


着替えるのさえ面倒になり机の上の財布をジャージのポケットに突っ込みそのまま家を出る。


勿論この時誠也は知るはずもない。

この選択が己の運命を大きく変えることを・・・



(`・ω・´)/


「ありがとうございました〜」


店員の微妙に気だるそうな声を聞き流しながらコンビニを出る。ちなみに、右手にはおにぎり2つとカップ麺の入ったコンビニ袋。


「ふわぁ〜、にしても寒いな・・・」


欠伸をしながら小さく身震いする。秋も過ぎ冬に入りかけのこの時期は急激に気温も下がるため体温調節に気を遣わなければすぐに風邪を引いてしまう。


「もうそろそろおでんが美味しくなる時期かぁ・・・」


赤信号の表示を見て横断歩道の手前で止まりながらそんなことを呟く。

おでんは数日間分まとめて作れるし具材を変えれば飽きることなく、出汁はうどんに使えたりと家計的に優しいのも相まって誠也の好物となっていた。


「ん〜でも鍋も捨てがたいな・・・」


一人鍋であるということを除けば鍋も冬場においては至高の一品となる。これからの季節にしか味わうことのできない料理達に思いを馳せながら青く変わった信号機を見て横断歩道を渡り始めた、その時だった───


ブブゥーーー!!


車独特のクラクションが鳴り響くと同時に視界が光に支配される。

直後、体に鈍い衝撃が走り気づいた時には視界は夜空を捉えていた。


(あれ・・・なんで俺、上向いてるんだ・・・?)


頭が現状把握を終える前に意識は深い闇へと誘われていった。

こうして、伊藤誠也という一人の日本人男性の人生は唐突な終わりを告げた。

そして、運命という大きな歯車が動きだす。


( • ̀ω•́ )


「ん・・・ここは・・・?」


目を覚ますと視界一面に白い世界が広がる。まるで白い絵の具で塗りつぶしたような白。ここがどこなのか、屋外なのか屋内なのか、それどころか朝なのか夜かさえ分からない。


(というか、生きてるかもわかんないもんな)


「む、目が覚めたのナ」


「うぉっ!?君は・・・?」


後ろから急に声をかけられ心臓が跳ね上がる。声の主を見ると簡略的に言えばデフォルメ化お爺さんが仁王立ちしていた。

ツヤのかかった白髪にクリッとした瞳、顎にありきたりな白髭を生やしており白い布を適当に身に纏ったような服装。しかし、なによりも特徴的なのは身長が170を超える誠也に対しこのデフォルメ化お爺さん──デフォ爺は130cmにも到達していないようだ。


「む、わし?わしはあれだナ、人間で言うところの神様ってやつナ」


「神様・・・?」


妙に甲高い特徴的な声から返ってきたにわかにも信じ難い話に誠也は眉をひそめる。


「・・・信じてないナ?」


(自称)神様が不服そうに眉間に皺を寄せる。


「・・・まあ、急に神様って言われても信じられないかな。というか、ここはどこなんです?」


「ここは天界だナ」


「天界・・・?天国ってことですか?」


「あー、人間はそうも言うんだったナ。ま、誠ちゃんが死んじゃったから魂がここに飛ばされたのナ」


「なるほどー。ってえ・・・?死んだ・・・?」


軽い調子で言われた信じられない言葉に耳を疑う。


「そ、誠ちゃん死んじゃったのナ」


「そんな買ってくるの忘れちゃった的なノリで言われても・・・」


「お、誠ちゃんナイスツッコミなのナ」


こんな状況で褒められても嬉しくないのでスルーする。

そんなことよりも、誠也は死んでしまったという事実に頭の処理が追いついていなかった。


「え、いや、ドッキリですよね?どこかから"ドッキリ大成功!!"って書いてあるプレート持ってテッテレーって出てくるんですよね?」


「残念ながら現実なのナ。諦めて受け入れるのがいいのナ」


諦めて受け入れろと言われて受けいられるほど人間というのは強くできていない。実際に誠也も受けいられそうになかった。


「まだやりたいこと沢山あったのに・・・」


(新作のゲーム、まだクリアしてないゲーム、彼女も高校以来つくってないし結婚だってしたかったのになぁ・・・)


様々な夢や願望が走馬灯のように誠也の頭の中を駆け巡る。


「ま、まあ、そんな落ち込むことないのナ」


流石に可哀想に思ったのかデフォ爺が少し明るめに慰めてくる。


「死んだことに落ち込まずしてなにに落ち込めと・・・?」


「む、確かにそれもそうだナ・・・」


「はぁー・・・」


容赦ない誠也の切り返しにデフォ爺が言葉に詰まり、誠也は今までの幸福が全て詰まっているのではないかというほど大きなため息をつく。


「誠ちゃん、一つ聞いて欲しいことがあるのナ」


「なんです・・・?」


項垂れていた誠也が生気の抜けた目でデフォ爺の方を向く。


「誠ちゃんには地球とは違う世界に転生してもらうのナ」


「は・・・?」


死んでしまったという到底受け止め難い事実を突きつけられた直後にまた現実離れした話にとうとう頭がショートしてしまう。


「聞こえなかったのナ?転生してもらうって言ったのナ」


「え、転生ってあれですよね?アニメとかラノベでよくあるチートになって他の世界で色々するあれですよね?」


「言ってることはよくわからないけど多分あってるのナ」


せいやの悲しさと虚しさに満たされていた心がだんだん興奮に変わっていく。


「え、ほんとですか!?ほんとに転生してチートになれるんですか!?」


「ちょ、立ち直り早いのナ・・・」


歓喜に満ちた誠也の笑みにデフォ爺が軽く引いている。


「そりゃそーですよ!!転生なんてオタクの夢ですもの!!」


「そ、そうなのナ?」


「そうです!それで、どんなチーターになれるんです!?」


「い、一旦落ち着くのナ・・・」


今にも詰め寄ってきそうな誠也の迫力は最早見る人によっては狂気かもしれない。


「コホン、一つ先に言っておくのナ。誠ちゃんは転生してもチーターにはなれないのナ」


「え、そうなんですか・・・?」


誠也の顔に隠す気のない落胆が見える。


「そりゃ当たり前なのナ。向こうだってちゃんとした世界、そうそうチーターなんて送れないのナ」


「そうですか・・・」


さっきの歓喜はどこへやら、今の誠也は誰がどう見ても悲しみに打ちひしがれた一人の青年だ。


「まあ、悪いことだけじゃないのナ。ちゃんと特殊能力あげるのナ」


「え・・・!!」


誠也の顔に再び光が戻る。まさにパァァァという効果音がつきそうな笑顔だ。


予測の破壊(フラグブレイカー)それが誠ちゃんにあげる能力なのナ」


「フラグブレイカー・・・ですか」


ゲームオタクでありながらラノベやアニメにもかなりハマっていた誠也にはその能力の内容は容易に想像出来た。


「その様子だと内容は説明しなくてもよさそうなのナ」


「いや、一応聞いておきます」


容易に想像できるとはいえ、それが正しいとは限らない。間違っていたら大変なので念のために聞いておこうと判断したのだ。


予測の破壊(フラグブレイカー)。その名の通りフラグを破壊する能力なのナ。」


予測の破壊(フラグブレイカー)──能力の保持者、及び保持者が認知できる範囲内において生まれたフラグ全てに自動で発動し、破壊する。脳力が発動すると同時に一定の魔力を消費し、魔力が尽きている状態だと発動しない。


「ま、例えるなら誠ちゃんが死亡フラグ建てたらその状況下では絶対死なないのナ」


「え!?それってチーターじゃないですか!!」


転生となればモンスターなどの脅威が存在するのは誠也からしてみれば容易に想像できる。そんな中死ぬことがないとなれば十分にチートに思える。


「そんなことないのナ。ま、使ってみればわかるのナ」


「はぁ・・・?」


要領を得ないデフォ爺の言い方に釈然としない誠也。


「わしもこれでも神様だからナ。あまり詳しいこと言うと他の神様に怒られるのナ」


他の神様に怒られるところを想像したのかデフォ爺が身震いする。


「そろそろ時間なのナ。じゃ、誠ちゃん。向こうの世界でも上手くやるのナ!!」


デフォ爺がそう言うと同時に誠也の視界が光に覆われるように白く染っていく。


「ちょ、待ってください!あなたにはまだ聞きたいことが──」


誠也の言葉は虚しくもデフォ爺の耳に届くことはなかった。


一人の青年の運命の歯車が大きく動き出す。

その歯車は果たして青年の運命に──そして新たな世界にとって吉となるか凶となるか・・・



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