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勇者と戦士と魔法使いとGCあらし

あっあっあらし あっあっあらし

ゲームセンター あ●し


真っ赤な帽子に キラッと光る

チャンピオン・マークだ イ〇ベーダー

巨大な出っ歯が ピカッと光りゃ

炎のコマが 燃えあがる


月面宙返りだ 空中回転

風よ!雲よ! 天まで届け!

地球の敵を ぶっ飛ばせ

ゲームに燃えた 血が騒ぐ


あっあっあらし あっあっあらし

ゲームセンター あら〇

魔物が復活し世界を闇の力が飲み込まんとするとき、一人の人間が立ち上がり後に勇者と呼ばれるようになった。激しい戦いの果てに多くの犠牲を、人間も魔物も種族など関係なしに積み重なる屍の山を、大陸を血の海に沈めるほどの殺戮を、正しく世界の命運を分ける戦いにおいて勇者とその仲間の存在というのは永遠に語り継がれていくのであった。


敵の攻撃を一点に引き受け仲間を守りながら支援と防衛をする盾。切り込み隊長として魔物の大軍を切り開く前衛。味方の回復や防御魔法による強化、攻撃魔法になる火力支援を行う後衛。ただ闇雲に数を増やせばいいのではなくそれぞれが役割をこなすことで強大な敵にも立ち向かえるのだ。


だが、悲しいことに盾というのは戦闘における花形職ではないため注目されることがない。必要ないまであるのが実態。何事も後回しにされている傾向にある。高い防御と高い体力があるため回復は最後。ダメージをあまり受けないことを利用して集団に単騎で突入さて上位魔法で盾役ごと一掃。戦力が揃い出すと火力が重視されるので真っ先に解雇。

そういった現状が盾役にある。

何事においても縁の下の力持ちというのは軽くみられがちなのであるが、それは人間だけではなく魔界でも重大な問題である。






「若様。一つお目を通して戴きたいものが・・・」


爽やかな風の吹き抜ける魔王城の一室、次期魔王オーダーの執務室。人間界への侵略行為や全世界魔界化計画といった全人類滅亡タイプの巨大イベントは計画されていない。毎日多くの問題を処理している中、アラクネ種のいかにも仕事できますタイプの服装と見事に着こなした女性が窓から天井伝いに降りてきた。名前をフラム。その名の通り吸い込まれるような真っ赤な瞳が美しい。


「どれ。・・・・ほお、人間たちの範囲魔法多用問題か。」


「はい。先日、小規模ながらもそこそこの魔物が群生しているダンジョンにて大量の魔力痕と共に無数の死体が転がっておりました。調査したドワーフたちによると氷結系の範囲魔法を少なくとも20発以上使用したとの報告があります。」


「それだけなら問題はない筈だ。新しい魔法を覚えた魔法使いが手ごろなダンジョンに潜ってその威力を実戦で確認することはよくある話。こちらの世界でそのような蛮行はあまり許されはしないが、人間界での出来事であるならこちらから手を下すことはない。まして問題視することもないさ。」


「あ、いえ。確かにその程度であればいいのですが、どうやら最奥の宝物庫に手を付けず帰還したようで他にも道中の宝箱にも目をくれずに帰った様で。」


「ダンジョン内は処理はどうなっている?」


「そちらに至っては滞りなく進んでおります。魂の牢獄は問題なく継続中。足りない分は現在繁殖牧場にて数を補充中。これで繁殖刑に服している者が数名出所いたしました。精神と肉体と記憶の処置を終えたのち解放いたします。」


雑多な会話をしながらも書類に目を通す。どうやらこれはダンジョン荒らし問題といっていいだろう。


ダンジョン荒らし

文字通り闇雲にダンジョンへと潜り宝箱に目もくれず魔物を虐殺して回る極悪非道な集団である。だが、ダンジョン荒らしというのは町や村などの討伐依頼で合法的な活動をしている為か迂闊に手を出せない。まして人間界での問題なのでダンジョン内に無闇に強い魔物を配置することはできない。あくまで此方から出来る支援は数の補充とダンジョンの再生までの時間、周囲に進入禁止レベルの高ランクの魔物を派遣するくらいである。


オーダーは数秒間考えるような素振りを見せると、腕をストレッチするかのように伸ばし答えた・


「ならちょっとだけ実地調査をするとしよう。」


「え、あ、あの!わわわ、若様がですか!!?」


あまりの一言に慌てふためくフラム。当然の反応である。辺境の村に国王が自ら視察に行くなどということがあれば側近や兵たちが驚くようにそれは魔界でも同じこと。唯一違うところを上げるとするならば脆弱で脆い人間と違い魔王という天地や因果や運命が逆転しても敵うことのない生命体ということだ。

つまり魔王自らが小規模のダンジョンに自ら足を運ぶのは砂場でショベルカーを使って穴を掘るような行動と同じくらいの過剰戦力といえよう。


「ダンジョン荒らしというのに興味があってな。君たちの作る報告書は事細かに記されているが、実際にこの目で確かめないことには何も始まらないと思うのだが?どうだ?君さえよければ共に調査へと行かないかい?」


「そんな!わ、私のような者が若様と共に夜を過ごすなど恐れ多いことです!で、ですが力任せに無理やり押し倒され、体を外も中もぐちゃぐちゃに犯されてボロ雑巾のようにされた後で意識のないまま繁殖小屋に放り出されてただの孕み袋にされてしまうのですね!!」


(こいつは後で報告しておくか・・・)


時として非情な選択をしなくてはいけないので、そういった趣味嗜好は否定しない。機会があればフラムの上司にあたる者へ報告することになるのは人間としての時間換算でちょっと先になる。






魔界→人間界






人間界某所 ダンジョン入口前


オーダーが引き連れたのは全部で4人。いかにも仕事できますよというタイプの服装を着こなしたアラクネのフラム。報告に一度戻った時に「ついでだから若様と一緒に地上を見てくるといい。一応、旅費に関しては領収書を持ってくるように」と言いつけられたと言っていた。


「どうだマクリー。ここら一体の生体反応は」



「確かに凄い有様ですね。このレベルのダンジョンに対しては過剰戦力と言いますかオーバーキルと言いますか。保護結界がなければ封鎖案件ですよこれ。たぶんメイジゴブリンの呪術ですかね。とにかくそれが入り口付近まで蔓延していいす。それと人の反応はありません。」


回復魔法や蘇生魔法や呪術の専門家の一人、背丈は人間の子供くらいだがその力はオークでさえ手こずるドワーフのマクリー。性別は教えてくれない。彼?彼女?の生まれた集落の掟のような何某かが関係している、ということだけは教えてくれた。


「でも安心してください。死霊術には呪いを吸収するアイテムもありますので」

なんとも柔らかい笑みをニヘラと浮かべている。マクリーのどや顔みたいなものだ。


「若様・・・隠ぺいの結界、張った。褒めて。」

オーダーの袖を引っ張る幼女。深々とフードを被り黒のローブを羽織り柔らかく小さな手でクイクイッという加護欲を掻き立てるような仕草が見られる。タクトのような杖を片手に行動するこの子は世にも珍しいハーフアヌビスのビーシャン。見た目に騙されてはいけない人間でいうところの30歳くらいに相当する。最近知った言葉でいうなれな合法ロリと言って差し支えない。アヌビス種は結界魔法を得意としているだけではなく彼女の生い立ちが更にその練度を高めるに至った。巨乳である。


「うん。頑張った。若様、喜んでくれるから。」


ローブの上から頭を撫でてやると「んっ」っと気持ちが良さそうな声が漏れて聞こえてくる。身長の割に大きな胸がぷるんっと緩慢に揺れる。


こうしてロリ体系を二人ほど連れているとロリコン疑惑がかかる可能性があるが、決してそんなことはない。その証拠に残りの一人は女性の素体をしているも性別のない種族なのだ。名前をコオリ。機械生命体。アンドロイドとも言われる。元々は物好きな富豪の指示により慰安目的で設計されたが完成間近というところで「生身の女の方が抱き心地も吸い付きもいいから捨てろ」とまさかの

需要消滅により破棄されたものを行商が広い、闇市で魔物の手に渡り、巡り巡ってオーダーが買い取り、修復と改造を繰り返すうちに家事機能と慰安機能の他に魔装(魔力や魔石を使った装備のこと)の修理や索敵や殲滅まで幅広い機能を持つアンドロイドとして復活した。

エルフの耳のように長い耳パーツは斜め上後ろに伸び、ちょっとだけ銀髪から見えているのが彼女のチャームポイント。(ここでの彼女というのは女性素体のため)


「マスター。周囲の地形情報の登録が完了しました。」


洞窟の入り口に着いてから全く微動だにしないコオリが喋りだした。


「只今、凍結魔法の規模と残留魔力から『リガンド』と暫定。適正術式の構築に成功。貯蔵魔力の属性変換を開始します。」


本来、コオリは超長時間活動を行うためその動力として魔石と僅かな魔力を使用する。それを技術者達の知識と経験と探求心と性的興奮などなどを注ぎ込んだ結果として動力源を液体魔力タンクへと改良した。その影響のもあって徐々にコオリの銀髪が根本から青紫色へと変わっていく。


正確には#6592C6というコードらしい。


対して魔王城でそれなりに上の役職についていながら何が起きているのかチンプンカンプンのフラムは天然なのか計算なのかできる女秘書のように背筋を伸ばし「安心してください。いつでも動けますよ。」と言いたげな雰囲気を醸し出している。


過剰戦力ではあるが前衛2、後衛2、支援1という即席パーティーが完成していた。一番後ろにいるのがポンコツアラクネのフラムなのが唯一の心配事ではあった。


しかしながら、そんな心配をよそにダンジョンの中腹まで進んだあたりで一気に雰囲気が変わった。洞窟内を半永久的明るくしている光石(ひかりいし)が残存する魔力と呪いの濃度の影響でとても濃い藍色の光を放っている。氷結魔法の影響の他に光石の視界効果も相まって洞窟内の温度はスライムの核膜が凍り付く程度に感じる。


コオリが氷漬けになっているゴブリンたちを一匹ずづ解凍していると、急に動きが止まり「グリンッ」首だけが後ろを向いた。その瞬間、フラム、マクリー、ビーシャンの三人が「ぎゃあああああああああああ!!!」と言う音割れと騒音の悲鳴二重奏が三倍満として響き渡った。


しばらくして反響音が小さくなると何かしら捉えたのかコオリの瞳孔がカメラのレンズがピントを合わせるかのように拡大縮小を繰り返した。


「マスター。洞窟入り口付近に複数の魔力反応を確認。中級クラスの反応が2つ。上級クラスの反応が1つ。ビーシャン様の張った隠蔽の結界魔法を抜けてきたようです。」


「若様。結界に、反応、ないよ・・・解除も、破壊も、されてない・・・転移とか貫通とかきっとそぅぃぅ・・・」


饒舌になり始めると徐々に小声になってしまうビーシャン。結界魔法を得意とする彼女にとって、自らが張った結界内に探知されることなく侵入されるというのは屈辱的なことなのだ。実際、結界に探知されることなく内側に入る手段はいくつか存在するがビーシャンクラスの術者は人間界でも両手で数えられる程しかいない。しかもその殆どが魔法大国であるクラウンジャック出身でもある。


「・・・・・・・・・・」


報告を聞いたオーダーは即座に指示を出した。


「恐らくこんな山奥に隠蔽の結界が張ってあるのを怪しいと思ってきたパーティーもしれない。だがダンジョン荒らしの可能性も低いとはいえあり得る。そこでフラムとビーシャンには天井から後方の警戒に当たってもらう。マクリーとコオリは一旦解呪を中止。そうだな。私はダンジョンが凍結したという噂をきいてオートマタの機能テストに来た。マクリーはダンジョン内の呪術対策として同行を頼まれた。動機はこんな感じでいいだろう。」


指示を受け一度うなずいたフラムは音もなく天井に張り付きバンダナマスクで呼気による音漏れを最小限にまで減らしていた。ついでにビーシャンを自らの腹部に乗せ見下ろすような形で待機させていた。


マクリーは「了解いたしました。」と返事をし、ゆっくりと首を回し、元の位置に戻すと肩、肘、腋、膝からプシューと蒸気を発して一度沈黙し、マクリーはフードを深く被り如何にもな呪術師の見た目になっていた。







一方そのころ、入り口付近の人間たちは・・・


「ふむふむ。なかなかに高度な結界ですが問題ありませんね。このくらいなら気づかれることなく突破できるでしょう。しばらくお待ちを」


「あぁ?結界くらいアタシの拳でぶっ壊せば問題ないだろ。チマチマ行動するより一直線にぶっ壊した方が早くねぇか?」


「戦士さん。ちょっと前に結界壊して大惨事になったこと忘れましたか?あの時は私だったから防御魔法が間に合いましたからよかったものの、下手したら全滅からの教会で復活コースになってましたよ。ただでさえ蘇生料金が高くなっているというのに」


「まるでアタシが先走ったみてぇじゃねーか!それにあれはオメェちんたらしてたからやったことだろうが。あーやだやだ。こうも仕事の遅い魔法使い様がいたら、飢え死にしちまうね。肩書はいいのに実戦じゃこれだから。」


2つの魔石の付いた杖を地面に突き刺し結界の解析を進める女魔法使い。髪型はボブ、眼鏡をし黒いローブととんがり帽子を装備している。特徴はローブの上からでもわかる隠しきれない双丘。美人秘書や女スパイや峰〇二子のような抜群なスタイルの持ち主

そんな魔法使いの傍で今か今かと待ちわびる女戦士。ウェーブの長いの髪。筋骨隆々のアマゾネスのような肉体。兜にガントレットにプロテクターと肩や肘といった関節の動きを邪魔しない防具を着込んでいる。特徴は両腕に掘られている虎の刺青。ビキニアーマーは持っていない。そして胸も小さいわけではない。

そんな二人は別に仲が悪いというわけではなく、戦闘になれば互いの得意分野で弱点を補い合う存在である。どちらも人間界の中では強者であり、そんな二人が組めばどうなるかなど言うまでもない。だが、時折こうして言い合いからの小競り合いが始まる。その理由は至極単純


「まあまあ。二人とも落ち着いて。僕は助かってますよ。サキュバスに襲われた時やキラービーの大群を相手にした時とか、二人の力がなければ解決できませんでした。それに僕には龍の加護があるから大抵の攻撃や罠は平気ですけど、戦士さんは魔法防御がないと前線はキツいでしょ。魔法使いさんも僕と戦士さんがいないと詠唱がし辛いですし、誰か一人でも欠けていたら上手くいきませんので。」


そう言って二人の間に割って入った少年の存在である。戦士と魔法使いはこの少年に心底ほれ込んでいる。別にショタコンというわけではない。本来は立派な好青年であったが、道中立ち寄った村を守るために身代わりになった。その時に受けた呪いのせいで子供になってしまった。

そんな彼の呪いを解くために冒険をしていたのだ。


その時、高度な結界を見つけ「もしかしたら呪いを解ける人がいるかもしれない」ということで、件のダンジョンへと足を向けたのだ。


「まあ、お前がそういうなら・・・」

「喧嘩両成敗。私も悪かったです。」


冷静になってはいるが魔法使いは洞窟の奥から微かに感じる超高密度の魔力の淀みに対して怯えていた。いくら高レベルの結界が展開されていたとはいえ、それとは根本的な性質の異なる。いうなれば目の前に魔獣の群れがいる様な一歩間違えば肉体だけではなく魂まで食い散らかされる恐怖が確かに存在している。


「おうおう。安心しな。あんたは私たちが守ってやるからよ」


自分でも気が付かない僅かな震えを見破った女戦士が肩を叩いて激昂する。

仲間の安心感が心の奥底にあった恐怖心を払拭する。彼女は杖を掲げ

『天におわそます我らが神よ。聖なる光をもって我らをお守りください・・・・エーテル・フィール!!!』


と詠唱すると杖の先端が輝きだし三人の身体に薄い光の膜が形成される。


さあ、新しいダンジョンへ!!



簡単な生物解説


ドワーフ


小柄な体の割にかなりのパワフル。

小さい女の子がドデカい武器を持っているっていいよね

という皆様方の好きを詰め込んだ種族。

勿論、男性のドワーフもいる。

エルフとの仲はここ50年でだいぶ良くなってはいるが、まだまだ時間がかかりそうだ。

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