魔法と属性とレベルと色々
同じ火の魔法でもメラ、ファイガ、ファイア
同じ氷の魔法でもヒャド、ブリザド、アイスストーム
ところでメガンテのメガテン感スゴいね人体♡
人間界・エルフの里
~魔法研究工房・蒸気機関室~
この世界では『魔法』という概念が当たり前のように広まり、多くの生き物がそれを使い便利な生活をしている。当然そうでもない者もいるが、そういうのは割愛しよう。
「これが蒸気機関車か・・・」
「はい。一度に多くの物資や人員を移動させる箱です。」
魔王は目の前にある蒸気機関車と呼ばれる黒塗りの鉄塊を見て感心していた。
熱と蒸気の力で車輪を回すというのは、なぜか心が高ぶる。
「本来はこの車体を動かすのですが、そのエネルギーを施設の運用に当てています。」
魔水を蒸発により吹き出す蒸気は天井の描かれている風の魔方陣に沿ってパイプを伝い温帯地域で育つ魔法植物の研究所の温度と湿度の空間魔力濃度の管理に使われる。回転する車輪は歯車に改造され工房を流れるベルトコンベアを動かしている。
ほぼ無尽蔵で魔力を生み出すマナの木から魔力を引っ張り水と火の魔方陣の動力源とすることで半永久的に稼働するようになっているのだ。
現代魔法科学を履修している読者の方々には常識の範疇だと思われるが、生活の基盤を魔法に依存しがちな魔界にとっては新しいものであり漆黒な巨大な鉄塊というだけで新しい攻城兵器、もしくはアイアンゴーレムの一種にように捉えていたであろう。
ポッポーーーーーーーーーーー
甲高い汽笛の音が勢いよく白い蒸気と共に煙突の近くについている小さな筒状のものから噴き出す。小窓からアッサムが顔を出し手を振っている。
「リゼちゃーーーーーーーーーーーーーーーん!!!これでいいんだよねーーーーー!!!」
リゼが隣で両腕を使って〇と表現すると、アッサムはこちらに向かってアクロバット跳躍をし空中4回転半捻りの動きで跳んできた。ピタッと着地すると同時にYの字でポーズを取ると二人は手を叩いて賞賛した。
「えへへぇ///そんなに褒められると照れちゃいますね///」
アッサムが顔をだらしなく緩ませて照れているところに部屋に入ってる一人の女性がいた。
「アッサムさん。そんなに動きたいなら遠征部隊に組み込んでもいいのですよ。」
「ひ、ひぃ、ダージリン様・・・それだけは・・・」
ダージリンと呼ばれた女性はきつい口調でアッサムに詰め寄った。
銀色の艶のある長い髪と相反する浅黒い肌に、男なら誰しもが目を奪われる溢れんばかりの巨乳とキリっとした流し目と口元にあるホクロが特徴的な絶世のエルフがそこにいた。彼女は振り返ると膝をついて頭を下げて敬意を示した。
「若様。度重なるアッサムの無礼な態度、誠に申し訳ございません。あの者のにはきつく処罰を下しますのでどうか寛大なお心を・・・それでも足りぬのであれば、この老いた我が肢体をお好きに貪りくださってかまいせん。未来永劫、下級魔族の孕み袋として使い潰してくださいませ。」
彼女が魔王を若様というのは先々代の魔王の代から人間界のエルフをまとめる重鎮であり、自らの種族の儚さと魔王の異常の程の力を知っているからである。
「ダージリンよ・・・」
魔王は跪く彼女の手を優しく取り、手の甲に口付けを落とす。
「そこまで自分を卑下することはない。お前の覚悟と力は里の者だけではなく、遠方のダークエルフたちにも知れ渡っている。それにお前の美しさが不変であるのは私の父と祖父が認めている。もし私の生まれる時代が違ければ、お前を側室の一人として迎え入れている程だ。」
「若様・・・なんという・・・なんというありがたきお言葉・・・」
彼女は自身の存在を楔としてこの里の存在と存続を人間界に保障させている。そのため、この地を遠く離れることはできない。もしその誓いを破ることがあれば人間界の大都市が我先にとマナの木を奪い合う戦争に発展すると言われている。
「それに今日のお前たちの働きにより、この指輪が生まれたのだ。感謝こそすれど、罰を与えようとは思わぬさ。」
魔王はその右手の中指に着けた木製の指輪を見せるとダージリンはその場で泣き崩れた。
「一生貴方様についていきます・・・」
ぽろぽろと泣きだすダージリンにリゼは歩み寄りしゃがみ寄り添う
「気にしないでください魔王様。このようにしていればすぐに落ち着きますので。アッサム。魔王様を出口までご案内して」
「はーい!行きましょう魔王様!!」
元気印を引っ提げ魔王の手を引っ張って里の出口へと走っていく。
「・・・・・・・・・・」
オヨヨ~オヨヨ~
「姫様。魔王様は行きましたよ。」
突如泣き止んだダージリンは両手で真っ赤な顔を隠すように覆い隠しプルプルと震え始めた。まるでうら若き乙女、もしくは愛と恋を知らない生娘のようであった。
~エルフの里・転移陣の間~
「魔王様。今日一日、お付き合いいただきありがとうございます。」
人懐っこい笑顔を浮かべ両手を合わせて礼をいうアッサム。他のエルフたちからも好かれている理由がこの笑顔だと改めて認識させられる。もちろん戦闘技術も問題ないレベル、森や市街戦の様に遮蔽物の多いところでは里の中でも3本指に入る実力とも言われている。実際に彼女の姿に憧れて入隊する若いエルフたちが毎年いるとかいないとか言われている程だ。
彼女自身、人に教えるのが苦手なのに加えて部隊運用ではなく独立遊撃部隊として動かすか隠密行動といった個で活躍する方を得意するのである。
「気にすることはない。視察というなの休暇を楽しんでいただけだからな。」
「そんなことしていいんですか?」
「安心しろ。こう見えてしっかりと仕事は終わらせている。それに君のおかげで想像以上の収穫があった。感謝している。あとで褒美を与えよう。私の出来る範囲であれば君の願いを叶えよう。」
「いいんですか!!?ありがとうございます!!!えーーーっと、何にしようかなーー。」
眼に見えてワクワクしているアッサムを横目に自身の血を一滴だけ床に描かれた魔方陣に落とす。すると魔法陣は閃光の如き輝きを放ちながらバチバチと電流を発生させる。
「うおっ!まぶしっ!!」
本来なら起こりえない程の発光度合いにまともに眼を開けることができない彼女は、一瞬感じることができた肌に触れる暴風と魔力に満たされた芳醇な空気、そして微かに聞こえた「お帰りなさいませ若様」という老いた男性の声。
転移魔法陣での移動はワープのように思われるかもしれないが実際は同じ世界の別の地域を繋ぐゲートを作るのが役割であり、そのゲート間での移動がワープの様に見えるだけである。だが、人間界と魔界を繋ぐとなると膨大な魔力を必要とする。一滴程度であれば万が一のことが起きても半径5kmに巨大なクレーターを作るだけで済む。それも彼の血中魔力濃度のあまりの濃さに魔界でも超特級危険物質として扱われる点にある。だが今回はマナの木の指輪のおかげで問題を起こすことはない。
魔法陣の発光がゆっくりと収まると、台風が過ぎ去ったように静かな転移の間がそこにあった。
簡単な生物解説
エルフ
長寿、森の民、耳が尖っている
魔法に長けている者もいれば、武器の扱いに長けている者もいる
ダークエルフとは近縁種にあたる。男女比は男性2:女性8と言われている
生命力にあふれている長寿種なので繁殖力は低いが、特定の条件下においては確実に次世代を残すほどの繁殖能力を発揮する。一回の出産で二人以上は確実に生まれる。