太陽光発電って魔法みたいなものだよね
ぶっちゃけ魔法の名前を考えるのが一番大変態
エルフの里
~魔法研究工房前~
人間たちはエルフという生き物を弓や槍や罠を使って狩猟をし少々の魔法を使いながら自然の中で生きている原始的な生活をしていると思っている。その回答は半分が正解で半分が間違っている。
『十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。』SF作家のアーサー・C・クラークが定めたクラークの三法則の一つであるが、これはその逆も示している。現に巨大なエルフの集落は魔方陣による半永久的な発電に成功。これまでは夜間の光源を火や月明かりを増大させていたものを電気エネルギーを並列して使用することで文化レベルを50年は前進させたと言われている。簡単にまとめてしまえば焚火で飯盒炊爨をしていたのにガスコンロをすっ飛ばしてIHクッキングヒーターへと文明レベルが加速したと言った具合だ。
実際にエルフたちの住みかには電化製品という概念はないものの、街頭のように夜を明るく照らす光源や魔法陣から半永久的に流れる水、マナの木からあふれ出た魔力によって肥えた土壌、人間との交易によって得た物資や道具の数々、暮らしている環境が違うというだけでインフラに関しては全く問題はない。
その中でも魔法研究工房と呼ばれる300人以上のエルフの暮らす里『ハーボット』
里といってもその戦力は魔法大国ですら多くの犠牲を払わなくてはいけないほどに強大と言っていいだろう。魔界の魔法と魔法生物と魔物の研究に関しては三界(魔界、人間界、天界)の中でも10本の指に入る。
マナの木を中心として広がる巨大な里は、絶妙な魔力のバランスにより特別非戦闘地域として認められてる。ここではエルフ間の種族の違いがあっても魔王城と同じく対応に差が生じることはない。人間界の魔法都市『ブリリアントサークル』とは魔力の質が違うため、競合しないというのもこの里が人間界でも重宝されている所以である。
「魔王様魔王様。里に入る前にこちらをお付けください。」
里の入り口で入場受付をしていたアッサムは別のエルフを連れてきた。
名前は『リゼ』。魔法研究工房の中では技術職に就いている。アッサムが戦闘面に秀でているので間違えることがあるが、エルフというのは比較的長寿な種族なので研究職や技術職といった方面強い種族である。そんな二人は幼馴染というのだから変な感じだ。
リゼは木製の指輪を取り出し、こちらへと差し出しす。
「こ、これは・・・暗い木目指w『違いま『違いますよ!』『マナの『マナの木で作った抑制の指輪です!!』ああ、そだったのか。」
リゼの言葉を遮りアッサムは得意げに答えた。
「はい!魔王様の魔力はちょっと特殊なので特別に作ってもらった唯一無二の一品ですよ!!これがあれば不意の魔力漏れが起こっても問題ありませんし、万が一指輪のキャパシティーを超えても魔力の循環を行ってくれるので土地の魔力汚染が起こりません!!!」
何故かアッサムがドヤ顔で答えた。すでにリゼはジト目になっていた。
「マナの木で作っただけで、そこまでの効果が起きるものなのか?」
その疑問は至極当然だ。通常の魔力抑制アイテムは腕輪にほんのちょっとだけ魔力を残した魔石を埋め込むことで溢れ出す魔力を吸収させる。そのあとで魔力を吸った魔石を使って魔法を使う。充電池やバッテリーの様に使うことができるアイテムなのだ。
「えっ、えぇ~~と・・・それはですね・・・」
眼が泳ぎ始めた。そんな中「はぁ・・・仕方ないわね」と一言いいリゼが代わりに説明する。
「魔王様の疑問もよくわかります。ですがそちらの指輪は4重構造になっていて、外側から根っこ、幹、枝、魔水となっています。マナの木は自身の魔力の生成能力の他に大地の魔力を吸収、変換、再分配を行っている巨大な生物です。その性質を使い、指輪を小さいマナの木とすることで吸収容量は小さいながらも性能はマナの木と大差ありません。」
「そ、そうだったんですか!リゼちゃんスゴイです!!」
「それほどでもないわ」
テンションが上がるアッサムと照れ隠しをするリゼ。
なんだかんだ2人の相性のいいのは、この短いやりとりを見ただけでもわかる。
「ではこちらを魔王様の指に・・・」
リゼが魔王の左手を取り、薬指に着けようをする。
「リーーーゼーーーーちゃーーーーーん。」
「なに?これから大事な儀式があるのだけど・・・」
「淑女協定違反は重罪だってお達しがきてたでしょ。」
「そうだったかした。でも、もし追われることになったら・・・」
リゼは掴んでいた左手から腕に手を伸ばし、魔王に抱き着くように寄りかかる。
「その時は魔王様に匿ってもらうからいいわ。」
ピピーーー
「違反!違反です!もーーーー。みんなに行っちゃうんだから!!」
アッサムがどこからともなく出した笛を吹いて抗議の声を上げた。
二人のやり取りが追いかけっこに発展したところでリゼがさりげなくこちらにウインクを一つこちらに飛ばしてきた。
「せっかくだ。ありがたく使わせても貰うぞ。」
貰った指輪を右手の中指に着けて魔王は里の中へと足を踏み入れた。
簡単な生物解説
スライム
種族 スライム
主な生息地 森、人里、魔界、場所問わず多種多様
平均寿命3年 最高記録500歳(諸説あり)
戦闘面 生息地域、または種によって様々
RPGでは序盤に登場する魔物。バブルとかホイミとかベスとかはぐれとかメタルとか、とにかく細かい分類がされている。近年の研究でコアを中心に無数の細胞を形成することがわかった。それまでは「液体でありながら固体の性質を持ち合わせている」とされてきたが、実際は逆で「固体でありながら液体の性質を持ち合わせている」というのが主流となってきた。