魔王のお仕事 ラスボス強化編
今回は本当にお仕事をしている話。
てか、第〇形態って熱いですよね。
「変身をするたびにパワーがはるかに増す…その変身をあと2回もオレは残している… その意味がわかるな?」って一度は行ってみたいですよね。
昨今の魔物たちに限らず。古今東西、ラスボスと言うのは3段階以上の戦闘を行う事がなんとなく決められている。風習というわけでも習慣と言うわけでもなく、ただ単に盛り上がりに欠けるためである。
例えばの話になるが、強大な敵が実は前座に過ぎなかった。ラスボス戦において最初は手加減されていた。一度倒してからドラゴンに変身して再び襲い掛かってくる。なんて演出はおとぎ話や創作における王道といって差し支えないものだ。
世界を無にして最後には己すら無に帰そうとする存在もいる言われているが、無の存在を認識できるものがいないためいまだ確認されてはいない。
そんなこと魔界の次期魔王こと若様。オーダーは個々の世界の魔王の強化案について頭を悩ませていた。
「若様。あまり難しく考えなくとも良いのでございますよ。」
書類が山積みになった執務机のまえに魔老人が歩いてきた。
「お父様。いえ、魔王様は自らの魔力をほんの少量、それこそ爪の垢を煎じて飲ませる程度の魔力を与えて、強化させたとのこと。若様が同じことをすれば、それはもう大変なことになるのは明白でございまする。故にこの魔老人、少しばかりの助力を・・・・」
「どうした。言ってみろ。」
「ええ。ではこちらを」
そういうと魔老人は懐から魔水の入った瓶を机に置いて下がった。
オーダーが瓶を手に取りしかめっ面で中身を確認する。
「魔水には違いないが、それにしても少し変な感じがするな。」
「それだけわかっていれば十分。おのずと答えは見えてきますぞ。それはそれとして魔王様。」
先ほどまでのキリリとした顔から一変。まるでスケベ親父みたいな顔になっていた。
「『Re:メイク アルラウネ』のウツボちゃんって娘なんじゃが、すっごいいい子なんじゃよ。もしよろしければの話。身請けなんてしていただいても・・・・」
「おいジジイ。お前、これで今月何回目だ思う。」
「はて?何回目じゃったかの?いやはや、最近物覚えが悪くて、女子の名前しか覚えられませんのじゃ。」
「そうかそうか。それじゃ仕方がない。」
『パチンッ』
オーダーが指パッチンをすると天井から檻が落ちてきて魔老人を捕らえた。
「その檻は特別性の特注品でね。転移と魔力放出を防ぐために、結構貴重な素材を使わせてもらった。」
「そんなあんまりですじゃ・・・・ワシがなにをしたと申します・・・・」
シクシクと涙を流す姿はまるで老人虐待のそれに見えなくもないが、そんなことなく完全にウソ泣きである。さっきからオーダーのことをチラッチラッとみているのがその証拠。
「少ししたら城の適当なところに転移するようになっているから安心はしてくれていい。さっきのウツボちゃんだっけか。あとで会ってくる。ちょうどアルラウネが欲しいと思っていてね。」
(アルラウネ、魔水・・・・)
オーダーは魔老人からもらった瓶を窓から差し込む光に透かせて見ると、若干の魔力による淀みが確認できる。属性のある魔力でなく、純粋に魔力の浸透している量の多い魔水だった。
(このままでは劇物扱いになるかもしれないから、後で薄めて・・・・・薄めて?)
その時、オーダーに電流走る。
「そうか!そういうことか!」
椅子が窓の下の壁に叩きつけられる程の勢いで立ち上がると瓶を握りしめて部屋から飛び出していった。
「若様!若様!!問題が解決したのなら、この檻から出してくださいませ!」
「あ、ごめん。それはできない。」
「なんで!!?あ、ちょっ!!若様!わかさまーーーーーーーーーー!!!!!」
執務室に響く声は、静かにこだまを残し消えていった。
「薄めるのはいいが、単純に薄めたところで不純物が混ざってしまい。効果が見られない可能性も大いにある。この問題をどうするか。」
城下町の大通りを歩きながらオーダーは一人考えていた。魔水による希釈は確かに有効な手段ではあるが、一番の問題はその量にある。血中魔力濃度があまりにも濃いせいで、その血の一滴でさえも使い方によっては世界を手中に収めることすら容易になる。
かつて、その魔力に目を付けたとある世界の人間が使い方を誤り世界ごと消滅することになったこともある程度には危険な物質でもある。
「そこのお兄さん。ちょっと寄ってかない?可愛い娘、たーーくさんいますよ。もちろん、ハーレムプレイからアブノーマルなことまで。」
突然、猫なで声をかけられたオーダーが顔を上げると、そこにはピンク、ブルー、イエロー、オレンジ、グリーンなど蛍光色で形作られた文字の看板。周囲を漂う甘ったるい香りに酒とたばこの匂い。いつの間にか色街に入っていたみたいだ。
「ねぇお兄さん。私なんてどう?お兄さん格好いいからぁ、いっぱいサービスしちゃいますよ。」
声をかけた女がオーダーの腕を抱え、そのたたわに実った胸の谷間に挟み込むようにして誘惑している。
「悪いね。折角の誘いだけど、行きたい店があるだ。また今度ね。」
それを聞いたキャッチの女は簡単に腕から離れた。
「そうですかぁ。それじゃ、約束ですよ。」
名刺を渡して次の男に狙いをつけるようにして去っていった。その後ろ姿には先端にハートのついた尻尾をフリフリしていたのが確認できた。
「あの娘。サキュバスだったのか……さて。」
サキュバスの姿が人波に消えたのを確認するとオーダーは魔老人オススメの『Re:メイク アルラウネ』へと脚を運んだ。
「いらっしゃいませ!『Re:メイク アルラウネ』へようこそ!」
重そうな扉を開くと植物魔物の代表ともいえるアルラウネが長い廊下のは左右に並び入店を歓迎する。廊下の奥に進むと、そこにはまるで母性の塊のような女性がいた。ここではマザーリーフと呼ばれている。
「ようこそいらっしゃいました。わたくし、ここのオーナーのマザーリーフと申します。魔老人様よりお話は伺伺っております。」
「そ、そうか…」(あのジジイ……)
「本日はスタッフ一同。オーダー様が心より満足致しますよう。名一杯のお心遣いをさせていただきます。」
「若様。まずはこのマザーリーフがお相手させていただきます。」
彼女はオーダーの服を慣れた手付きで脱がすと足から伸ばした枝や蔦で二人だけの空間を作り出した。
「ここはいま若様とわたくしのふたりっきり。ささ、お好きにしてくださいませ。」
その後の事はあまりにも酷い有り様だった。
Re:メイクのスタッフの娘たちは、まるで地響きのようだった語るようにマザーリーフの嬌声が隣三件まで響き渡り、周囲の店がいつも以上に繁盛したと言われている。そんな周囲が盛りパークと化している中の『Re:メイク アルラウネ』である娘がオーダーの相手をしていた。
「う、ウツボです。よろしくお願いします……」
ちょっと内気な感じがする娘こそ、魔老人オススメのウツボカズラの魔物娘なのだ。
「わ、若様はスゴいですね。オーナーだけではなくて、他の皆さんまで沈めていますなんて…」
ここで一旦冷静になったオーダーはアルラウネの生体構造とろ過能力を思い出し、ある結論を導きだした。
「こ、これだ……」
「?若様。どういたしましたか?」
「君たちのお陰だよ!これでなんとかなる!!」
「何がなんだかわかりませんが、とりあえずおめでとうございます。」
「と、いうことで……」
ウツボは顔を真っ赤にした。オーダーの下腹部のそれが大変なことになっているのが見えてしまったからだ。
「やぁ……優しくしてくださいぃ……」
腹を空かせた肉食動物は目の前の弱々しい餌に対しても全力を出す。まるで補食だった。己の全てを喰らい尽くされるような感覚にウツボは極上の悦楽を感じていた。
『Re:メイク アルラウネ』の酒池肉林が終わり店に静寂が訪れるとオーダーはシャワーを浴び服を着直した。それから店をでるとそこには何故か魔老人がいた。
「わ、若様……なぜここに……」
「お前こそなんで……」
だがそこは男同士。本来なら気まずい雰囲気になるのだが、ことの顛末を察した魔老人が助平な顔をしながらクネクネと近付いてきた。
「で、どうでした?いい娘でしたよね。」
「そうだな。いい店だ。」
「でしょう。そうそう。あちらに見える『ハッピー ハーピー』も中々いいですぞ。」
「よし。今夜はとことん行こうか。なあ爺さん。途中で潰れないでくれよ。」
「ハッハッハッ。この魔老人。老いてなお絶倫で通っております。ご安心くださいませ。」
この日、この色町に一つの伝説が生まれたのはまた別の話
簡単な魔物紹介
アンドロイド
前回のあとがきで紹介したゴーレムの一種に分類されている。
主電源は内部での魔力発電。コオリはオーダーの血液を循環液で三億倍にも薄めて発電している。定期メンテナンスも必要だが、腰より下のパーツはセルフメンテナンスが可能。
戦闘用、愛玩用、医療用と多岐に渡る運用がされているが、物好きな人間にしか需要がなかったため絶対数が少ない。




