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二度目の四天王ライフ  作者: 羅弾浮我
第一作:〜異世界への突入、『聖陽郷』での波乱〜
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64話:気配の正体

 レツを初めとした十二人衆の六人と、その対戦相手であるクラウゼル。そんな七人が察知した気配に気付いたのは、彼らだけではない。


 突然と現れた巨大な気配。それが感じられるのは、リゥとレツたち以外の十二人衆――その七人が向かった、アキラが捕らわれていると思われる巨山だ。

 寒候期には降雪で真っ白に染まるノーマントだが、暖候期である今は迷い森と同じ程の草木が生え揃う。そしてその中でも異彩を放つのが、死の山脈と恐れられるノーマントの最北にある山岳地帯だ。そこだけは何故か寒候期の降雪が多く、暖候期の気象も荒い。その為自然災害が起きやすくなり、人が安易に踏み込める場所ではなくなっている。

 つまり、鉱山地帯として知られるノーマントの中でもそこだけは鉱業を行われない。


 そんな死の山脈を隠れ家にすれば、先ず誰かに見つかることは無い。そして現に、今まで誰一人として気付いていなかった。


 そんな邪陰郷の本拠地のある巨山に現れた気配に、戦闘中だったゴウとゲンもそれぞれ目を向けていた。


 そしてそれと同時に、遠くの複数人もまた――。


 ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼


「たしかに、兄貴たちと同じ四天王の気配だ」


「でも、兄さんたちの気配とはそれぞれの特徴が違う――。それに、兄さんたちの気配は別に感じられています」


「うん、そうだね。お兄ちゃんの気配はその気配のすぐ傍に、ゴウさんとゲンさんも、そっちの方に向かってる。これは僕たちも、行くべきだよね?」


 先刻現れた四つの巨大な気配は、リゥたちと全く同じ、四天王の気配だ。それは誰一人として疑いを持たず、そのまま話を進める。

 しかし、疑いを持たないことと、疑問に思わないことは違う。そしてその疑問は、不安にも成り得るものだ。


 ここで悩んで考えているよりも、その場に向かって合流した方が良い。そう考えた六人は、抱えていた頭を上げて巨山の方へと目を向ける。


「――それなら、私たちと一緒に行きましょうか」


「――ッ!? し、シロさん……?」


 リゥたちの集まる巨山に、自分たちも合流しようと移動を試みたレツら六人。そんな六人の耳に響いた声に目を向ければ、そこにはシロが立っていた。


「なんであんたらがここに? 向こうの警戒をしてたはずじゃないのか? ――それに、そいつらまで連れて来て」


 突然背後に現れたシロに、疑問が尽きないレツ。リゥたちがここ(邪陰郷)を襲撃することによって手薄になる聖陽郷を守るため、そこを警戒し何かの襲撃に備えるのがシロの役目だったはずだ。

 しかし、それを任されていたはずのシロに加え、レイまでもが来てしまっている。


 そして何よりレツが気にするのは、そんな二人の後ろにいる、優輝たちだ。


「――今の気配は、感じ取られましたよね。あれは十中八九、四天王のものです。そして、ずっと四天王に仕えている私なら、この気配がどの代の四天王なのかが分かります」


「じゃ、じゃあ、この気配はやっぱり……」


 天使であるシロとクロは、昔から代々四天王に仕えてきた存在だ。そしてそれは、リゥたちの代よりも遥か昔、初代の頃からずっと仕えてきている。そのため、レツたちに分からない四天王の気配でも、シロからすればどの代の四天王かが分かる。

 そしてそんなシロが感じ取った答えは――、


「ええ、リゥ様たちではない、歴代の四天王――それも、『初代』四天王の気配です」


 シロの発言に、目を見開いて言葉を失うレツ――否、言葉を失ったのは、レツだけではない。レツの後ろにいたフウたちも、全員が言葉を失い呆然としている。


「ま、待てよ……初代だと? 今生きてる四天王は、兄貴たちとその先代だけ――それに先代も、今じゃかなりやばい状況なんだろ? それがなんで、初代なんて昔の連中が?」


「それは私にも分かりません。ですから、この目で見るまでは確証を得られない。だから私たちが来たのです。――それに、初代四天王と敵対することがあれば、今の戦力では到底勝てないですから」


 額から頬、そして顎まで伝わり、地面に落ちる冷や汗。そんな汗をかきながら、レツは明らかに動揺する。

 そんなレツの疑問に答えられる範囲の答えを出すシロも、決して顔色がいいわけではない。寧ろ、初代四天王の力をしているからこそなのか、誰よりも動揺している様にも見える。そしてその上で、自らその存在を確認しに来たのだ。


「因みに、聖陽郷の方は心配いらない。アリスとアイくんが残り、異変を察知し次第僕たちに連絡が来る。今は何も動いていないと言っていたから、邪陰郷の全勢力もここに集中していると思うよ」


「そうですか、だからシロさんとレイさんのお二人が……それで、クロさんがいないのは何故でしょう? それに、後ろの彼らは?」


「クロは別件で別行動をしてもらってる。直に合流する手筈になってるから、暫くしたらこっちに来るよ。優輝くんたちは、正直連れてくるかどうか迷ったよ。でも、僕たちがいなくなることで聖陽郷は明らかに手薄になる。そこでアキラくんみたいに連れ去られたら、今度こそリゥがどうなるか分からないからね。本人たちの所望もあって、今回は付いてきてもらうことにしたよ」


 シロの横からレイが話し、そんなレイに受け答えるフウ。レイやフウも動揺していない訳では無いが、冷静沈着で穏やかな二人は、レツに比べてそこまで焦ってはいない。また、初代四天王の強さが分からず確証も持てない分、シロよりも不安は少ないのだろう。


「とりあえず話はこの辺にして、私たちもリゥ様の元へ行きましょう。これが本当に初代の方々だった場合、世界の定理が崩れることになります。――私が天使である以上、それを見過ごすわけにはいきません」


 もしもこの気配が初代四天王のものだった場合、誰かが『死者の蘇生』を行ったこととになる。この世界での禁術とされているそれは、未遂であっても厳重監禁、実際にそれを行った場合は、蘇生された死者を完全成仏させた後、実行犯は即決死刑。

 元の世界とは違い法律や憲法などはないこの世界でも、それだけは誰もが知っている世界の条理。それに反した行為は、何者であっても許されない。


「分かった、取り敢えずリゥたちの元へ急ごう。レツくんたちも、もちろん来るよね?」


「とぉーぜん! 俺様たちも兄貴と早く合流したいですしね」


 そう言って、転移の用意をするシロにレツたちが近付く。そうして一箇所に十二人が集まり、中心にいるシロがクリスタルワンドを一振り。集まった自分たちの頭上に円を描き、光の幕がシロたちを包み込む。


「――転移(テレポート)


 直後、その場から十二人の姿が一瞬にして消え、リゥたちの集まる邪陰郷の本拠地に到着していた。

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