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二度目の四天王ライフ  作者: 羅弾浮我
第一作:〜異世界への突入、『聖陽郷』での波乱〜
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56話:情報修正

 リゥが目醒めてから十数分、場所を休憩室から会議室に移し、リゥたち四天王、天使、十二人衆。そして優輝たち四人とシムを加えた、計二十三人の会議が始まる。


「先ずは、今回の目的のことだ。今回の目的は大きく分けて三つ。聖陽郷……特にセントを中心とした被害地域の復興と、邪陰郷の殲滅。そして、邪陰郷に連れ去られたアキラくんの救出だ」


「つまり、俺たちを中心として三班に別れるってことだな。まぁ、邪陰郷の殲滅とアキラの救出はほぼ同じか……てことは、大体二班でいいってことになンのか?」


「そう考えるのが妥当だろう。そしてアキラくんを救出したところで、その班は一時的に邪陰郷との戦闘から抜けてもらう」


 全員が席に座ったところで、早速話を始めるレイ。そんなレイの話にゴウが加わり、話の序盤に理解すべき目的は凡そ理解。そしてここからが本題となる。


「先ずはその班決めだが……」


「俺はアキラ救出班。それは絶対に譲らねぇ」


 それぞれの役割を、先ずは四天王、天使、十二人衆で振り分ける。それは、今までと変わらないことだ。

 そしてレイがリゥに軽く目を向けると、リゥは案の定アキラ救出に挙手。さらにそれは志願ではなく、個人的な決定。わかっていたことだが、それを譲るつもりはないようだ。


「まぁ、そうだよね。――異論もないようだし、僕はいいと思うよ」


「まぁ、そンなとこが妥当だろ。別に、それを拒む意味もねぇしな」


 リゥの挙手に、レイやゴウは分かっていたかのような反応。と言うよりも、ここにいる全員が分かっていたことだ。言葉に出したレイとゴウに続き、他の天使や十二人衆も揃って頷く。


「それなら、私もついて行きます。元々、アキラさんが攫われてしまったのは私の責任ですから……」


「いや、それは大丈夫だ。クロはシロと復興の方に向かってくれ」


 リゥの挙手に、続けてクロもアキラ救出に挙手。自らの失態でアキラを攫われたことに、今までもずっと責任を感じていたのだ。

 しかし、そんなクロの手をリゥが降ろさんとする。


 元々、四天王や十二人衆と違い、天使は現場への戦闘に駆り出されない。よって天使の二人には、復興という仕事を任せることが多かったのだ。

 しかし、天使も戦闘が出来ないわけではない。単純な戦闘力では十二人衆と同等であり、そこに加えた特殊能力もある。

 つまるところ、天使は防衛として最終手段。聖陽郷の復興に協力し、その場の襲撃にも備える。それが、天使の役目ともなっているのだ。


「――なら、俺がリゥについて行こう。他は人数もかかるものが多い。アキラの救出には、俺とリゥで征く」


 クロの次に手を挙げたのは、四天王の一人ゲン。四天王随一の武闘派にして、聖陽郷随一の武闘家。その戦闘に想術を用いることはほぼ有り得ず、全ての戦闘に体術のみで勝利してきた。


「ゲンが来てくれるなら、それに越したことはねぇ。アキラ救出には、俺ら二人で行くぜ」


 ゲンの挙手を、今度はあっさりと受け入れたリゥ。ゲンの参戦でクロも安心したように表情を和らげ、今の結果に納得する。


「君ら二人で……本当に大丈夫かい? いや、実力を疑ってる訳じゃないけれど……相手が何人いるかわからないし……」


「それなら、ここにいないもう一人を連れて来たらどうだ? 利用するわけじゃないが、そもそも安否が心配だ。――いるよな?」


 相手の手数が分からない以上、二人で行くことに若干渋い顔をするレイ。そんなレイの心配を取り除こうと手を挙げるのは、やはり今回もリゥだ。

 今まで数日間寝ていたとは思えないほど――或いは数日間寝ていたからなのだろうか。どちらにせよ、今日のリゥは頭が切れる。


「アイくんのこと、ですね? それなら問題はありません。あの子ならリゥ様よりも先に目を覚まし、今は長い間蓄積した疲労を取り除いている最中です。時間は、そうですね……まだ少し掛かりそうですし、この会議が終わってからの方がよろしいかと」


 リゥの言葉に一番早く反応をしたのは、シムだ。リゥの考えを逸早く察したシムは、時計を確認する。

 リゥの言葉の真意は、『元』邪陰郷であるアイにその情報を訊くこと。他の支部の構成や、ゼンジのことなど、色々と訊けることがあるだろう。


「――アイが元邪陰郷だからってンなら、何もアイに頼らなくてもいいな」


「どういうことだ? 捕虜でも捕まえたのか?」


「ふっ、そうか。リゥも、知ったら驚くかもね」


 リゥとシムの話で、リゥのやろうとしていることを理解したゴウ。そんなゴウの意味ありげな言葉に、首を傾げるリゥ。その反応にレイが微笑し、リゥは傾げた首をさらに傾げる。

 そしてリゥの首が九十度回ったところで、ゴウがパチンと指を鳴らす。


「――もう、呼ぶのが遅いんじゃなぁい? アタシだって、早く黒髪くんに会いたかったんだけれどネェ……」


「――ッ!?」


 ゴウが指を鳴らした瞬間、突然開かれる会議室の扉。その扉の奥から放たれる光に目を細めながら、リゥは逆光で顔の見えない長身の人物に目を向ける。

 そしてその声を聞き、扉がしまった瞬間。リゥは、目を大きく開いて息を呑む。


「お前は、アリス……! 何でお前がここに……!?」


「俺が連れてきたンだ。カマのうえにマゾで、刺激が足りねぇって言うからな。俺たちンとこに来れば毎日が刺激だっつったら、あっさりと邪陰郷辞めて来たぜ。その証拠に、モーサを倒すのにも協力してもらった。あのジジイがあンだけ強かったのは、マジで予想外だったけどな」


 邪陰郷であったアリスがいることに、驚きを隠せなかったリゥ。しかし、思えばアリスからは悪意や敵意を感じられなかった。


「つーことだから、コイツにも邪陰郷のことは聞けるってことだ。何か知らねぇか?」


「アタシを含めて、第6支部はそこまで内部に関わってないわ。興味もなかったしね。取り敢えずあそこで誰かが来るのを待っているだけだから大したことは知らないけど、大まかなことは知ってる。邪陰郷のトップは、アナタたちの言うゼンジって男で合ってるわね」


「やっぱりあいつが……!」


「でも、今は後回しにしよう。他に、他の支部の構成とかは分からないかい?」


 アリスの言葉で、ゼンジが邪陰郷のトップだということは確定。その事実を改めて理解させられ、リゥやゴウは再び怒りに火をつける。

 が、今はその怒りにも意味が無い。そう判断したレイは、リゥとゴウを抑えて一歩前へ。そして、アリスと向き合う。


「構成、ネェ……ああそう、そのアキラくんって子がボスに連れ去られたなら、第1支部のヤツらが相手のはずよ。――でも、アレを相手にするなら二人じゃ無理ネェ……というか、二人で邪陰郷を掃討するのかしら?」


「は? どういうことだ?」


「あらやだ、知らなかったの? 第6支部は、様子見としてあそこにいただけよ。あそこが第6支部の拠点と言うよりも、あそこが邪陰郷の第二の拠点ね。邪陰郷は支部毎に拠点を持っているわけじゃなくて、第6支部以外は本拠地に固まっているわ」


 アリスの言葉に、予想や考察――それに伴った作戦のプロットが、全て壊される。

 レイたちの作戦は、アキラ救出に一班。次に第6,第5を除いた他の支部を攻撃する四班。そして残りが、聖陽郷の復興と守備。つまり、最低でも六班は作るつもりだった。

 しかし、アリスの話からすれば必要なのは二班。即ち、邪陰郷に乗り込む側と聖陽郷に残る側だ。


「またイチから考え直しってことか……」


「いや、そういう事でもないだろう。何なら、この状況はプラスにも取れる。――要は、一つのところにそれだけの戦力を注げるわけだろう?」


 そう。今までの考えで六班に分けた場合、一つの班に注ぐ力が少なくなる。が、二班にした場合。分ける戦力は五分五分。もっと言えば、邪陰郷に乗り込む側を優先し6:4や7:3くらいにも出来るのだ。


「つまり、大戦力で一気に潰せるってことか。たしかに、そう考えれば有利だな」


「どうかしら? アタシの情報は役に立った?」


「あぁ、バッチリだな! よし、これが終わったら炎壊(ディストラクション)打ち込ンでやる」


「あら、それは嬉しいわぁ……」


 そんな二人の奇話に、その場にいる全員が苦笑い。リゥを含めて誰も予想していなかったその組み合わせは、やはり今でも異彩を放つ。

 しかし、アリスの参戦もアリスからの情報も、リゥたちにとっては嬉しい誤算。今までの予定よりも、少しは楽になったように思える。


「まぁとにかく、これからは二班に分ける方向性だね。そうすると、どうしようか……」


 二つに分けるだけでいいのはいいが、予定が全てズレたことには変わりない。取り敢えずで分けることは以ての外、残る邪陰郷が全てそこに集中しているのであれば、下手な編成は出来ない。

 そうして考えてみれば、全員が納得するような意見でなければ正解とは呼び難い。全員が納得できる正解、それに頭を悩ませ、リゥたちは頭を垂れて考え込む。


「――そうだ、アリス。さっき、″()()を相手にするなら二人じゃ無理″って言ったよな? お前の言うアレってなんだ?」


「あ、ああ。そうネェ、アレは確かに、話しておく必要があるわ」


 全員が悩み唸る中、一人だけ顔を上げたリゥ。そんなリゥはアリスの方に視線を向け、一度スルーしてしまった言葉に再び戻る。

 そしてそれを聞いた瞬間、アリスはなにか重要なことを思い出したようにハッとする。


「邪陰郷での強さは、下から順に、無名、班長、幹部、支部長、直属の幹部。無名はそのまま、ただの雑兵。その雑兵を纏めてるのが班長で、これは大体どこの支部にもいるわね。それでその支部内には何人か幹部がいて、支部を纏めるのが支部長。うちでいうとこのアリウムちゃんね。それでその上が、支部には属さない直属の幹部。モーサのおじさんみたいなね。そして、本拠地にはそんなヤツらがゴロゴロしてるの。

――あ、でも朗報もあるわよ。アタシたちみたいな待人は、第6支部にしかいないわ。ほかの支部は支部毎の拠点を持たないから。第6支部が邪陰郷の拠点から離れる時に、アタシたちがスカウトされたの。待人はみんな同じよ」


 やはり、邪陰郷に未練がないのは本当らしい。

 邪陰郷の構成や事情をあっさりと話し、嘘をついている様子もない。

 しかし、そんなアリスも重要なところはあまり知らない。元より信頼がなかったのか、取り敢えずの埋め合わせのようにしか考えていなかったのだろう。

 そこで重要事項は伏せ、簡単な知られても大丈夫そうな情報のみを与えられている。

 とはいえ、その情報の有無はかなり重要だ。と言うよりも、ゼンジがいることでこちらの情報は筒抜け。邪陰郷が優勢なのは、殆どからない。


「――だとすれば、やっぱりあっちに頼らないとだな……」


 そう言ってリゥが先頭を切り、そのままリゥたちは会議室を後にする。

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