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二度目の四天王ライフ  作者: 羅弾浮我
第一作:〜異世界への突入、『聖陽郷』での波乱〜
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33話:第6支部内のミーティング

 邪陰郷の第6支部がある迷い森に上陸したリゥたちは、モーサの待っていた5層を突破し、次なる4層へと向かっている。

 第6支部は、5層から1層までで構成されている石造りの塔だ。昇降する手段は階段しか無く、次の層まで数分かけて長い螺旋階段を登っていた。


「ここから先が4層……ってわけか?」


 階段を上り終えたリゥたちの前には、大きな扉が待ち構えている。取手のリングは頭ほどの大きさがあり、鍵穴のようなものは見当たらない。取手を持ってそのまま引けば、直ぐに開きそうな構造だ。

 しかし、リゥはその取手に手を掛けず、後ろを振り向く。

 扉の前にはかなり広い空間があり、約三十人の上陸班が全員で寝転がっても十分に余裕があるほどだ。


「この先に待つのも4層の待人だろう。今すぐにでも行きたいが、その前に話しておきたいことがある。特に、アキラには話しておかないといけないことだ」


 そう言って、リゥは隣にいるアキラに目を向ける。その視線に目を合わせ、アキラは「俺?」と首を傾げる。

 視線の先にいるリゥは、真剣な面持ちでいる。


「俺があの空間から抜けた、その方法についてだ。ゴウとかは既に気付いてるだろうが、一応話しておきたい」


「そうだな。混乱を招かない為にも、これから必要になるような身内の情報はできるだけ把握しておくべきだろう」


 リゥの提案に、根拠を添えてそれを肯定するゲン。ほかのメンバーもここで否定する理由はなく、全員が聞く姿勢をとる。


「そんなに改まってもらってもアレだ。別に重い話じゃないから、力は抜いといてくれてもいいんだけど」


「真剣に聞かれるだけなら別に問題はないだろ。それより、とっとと本題に入ろうぜ?」


「ああ、そうだな。悪ぃ悪ぃ」


 思った以上に真剣な顔を向けられて少し躊躇うリゥをゴウが急かす。

 ゴウとしては、早くここを潰しておきたいと言う考えだろう。勿論、それはリゥ含めた全員が同じ気持ちだ。それが分かっているからこそ、リゥもそれ以上の時間を取らないようにする。


「まず、俺があの空間から抜け出した方法。それは、『想技』ってものを使った」


「やっぱそれか。まぁ、あの状況じゃそれが最善だよな」


「ああ、そうだな。最悪の場合は想術を使うことも出来たが、それはリスクが大きい」


「その点、リゥの想技はたしかに最適だったのだろうな」


 『想技』と『想術』という新しい単語に、アキラはまだ理解が出来ていない。が、今回はいつもと違う。

 いつもなら、アキラだけが理解に苦しむ。しかし、今回はアキラだけではない。

 話が通じているゴウとゲン、それから話はしていないが、シロも納得のいったような顔をしている。十二人衆も、個々の反応は違えど、理解出来ているような反応が目立つ。

 しかし、特戦隊と特援隊のメンバー。その十五人は、全員が眉間に皺を寄せて首を傾げる。

 そして、その中の一人。第一特戦隊のアイクが手を上げる。


「あの、すみません。想術は分かるのですが、想技という単語には覚えがなく……」


「ああ、大丈夫だ。想技ってのは、そこまでメジャーな単語でもない。これからその説明もするから、そこは安心してくれ」


「そうでしたか、それなら良かったです。ありがとうございます」


「まず確認として『想術』についてだ。想術は、頭の中のイメージを現実の世界に現出させること。体内にあるクラフトを使用して、頭の中でイメージしたものを構成する」


 そうして、リゥは『想術』の説明を始める。

 想術については大体が理解していることのようだが、アキラはまだそれに触れていない。それを考慮して、リゥは想術のことから説明をしたのだ。


 『想術』とは、簡単に言ってしまえば魔法のようなものだ。しかし、この世界の想術は普通の魔法とは少し異なることが多い。

 まず、想術の種類は数多く存在する上に、オリジナルのものも多い。その為、想術というのは基本的なやり方を学び、あとは独学になる。つまりは、術者としての素質よりも、想像力や発想力が求められるものだ。


「そして、想術というのは形の変わるものが多いな。炎や水は形を変えて放つし、風なんかはそもそも形が定かではない。氷や土は形の変わらないものが多いが、それ以外はほぼ無形のものだ」


 たしかに、ゴウの使う炎の想術は、形を持たずに突き進む。細かくいえば形はあるが、固定はされていない。


「しかし、想技は形のあるものを構成する。例えば、一般的な想術は、目の前や周りの敵など、不特定多数の相手に攻撃する。しかし、想術はそれと対照的な存在。自らの思い描いたものをその形に固定し、それを操って使用する方法だ」


「つまり、クラフトを使用して作り出す武器のようなものですか?」


「大体はそんなところだな。でも、武器というのは手で持ったりすることが多いし、剣とか盾とか形が決まってる。だけど、想技は自らの体であれば何処からでも構成することが出来るし、それは最初に動きを決めることも自在に操ることも出来る。つまり、武器として新しい体のパーツが増える感じだ」


 要約すれば、想術と想技の相違点は、固体という形で操れるか否か。武器と想技の相違点は、形状を自由に変化させられるか否か。と言ったところだろうか。


「しかし、それでどうやって抜け出したのでしょうか? 武器になることは分かりましたが、それを動かす指示は……」


「あの空間は、手足を初めとして全身の感覚がない。だから、体を動かして自ら起きようとすることは不可能だし、いくら起きようと思っても起きることが不可能、外から起こされるような状況が必要だった。そして、あの現状で働いているのは、思考機関だけ。しかし裏を返せば、思考機関だけで扱える想術や想技は使用できるんだ」


「なるほど……! たしかに、想術はイメージを現出させるだけ。体がどんな状態でも、そのイメージさえ掴めれば可能ですね」


 リゥたちの扱う想術とは、イメージを現出させるだけのもの。たったそれだけであれほどの破壊力を出せる訳だが、先の状況においては致命的な欠陥があった。


「想術を放つには、いくつかの方法がある。手のひらを対象に向けて真っ直ぐに放つ方法や、全方向へ向けて全身から放つ方法。そしてここからは限られたものになるが、壁や地面から間接的に放つ方法と、元より固体をイメージして構成する方法だ」


「だけど前者の三つは、一歩間違えれば他人を傷つける。手のひらの向いていた先にほかのメンバーがいたら無防備なメンバーはそれを直撃することになるし、全方向なんて撃ったらそれこそ全滅の危機だ。あの空間でどンだけコントロールできっかも分かンねぇしな」


「そこで使えるのが、リゥの想技って訳だな」


 リゥの説明に、ゴウとゲンはピッタリと着いてきている。やはり同じ四天王だけあって、その辺りの知識は同等程度に持っているらしい。

 リゥの説明に対するゴウの補足は、リゥの説明にしっかりと合致した理由となっている。そのため、理由や根拠も含めて知識がゼロだったアキラにもしっかりと理解出来る。


「想技は、体の部位を指定して構成することが出来る上に、指定をしなくてもイメージした効果を発揮できるように発動させることが出来る」


「つまり、リゥさんは自分を起こすような効果を想像し、そうした上で想技を発動させたということですか?」


「流石は特戦隊のトップだな。その通りだ。あの空間の外にある体を跳ね上がらせ、天井に叩きつけられるような効果を発動させた。外での体は仰向けに倒れてたから、背中から想技を発動させ、その反動を利用して体を宙に舞わせたってとこだな」


「想技という技も凄いですが、あの状況でそんな判断が……」


 かなり合理的なやり方で、目立った被害をゼロに抑えた上で5層を突破できた判断に、特戦隊や特援隊のメンバーはただただ驚愕している。

 一歩間違えれば、自分の体を相当傷つけていたであろう作戦。もしも失敗していれば、文字通り″当たって砕けろ″になっていただろう。

「まぁ兄貴ってば体強ぇし、どーってことねっしょ。俺様が十二人衆になる前なんか、「お前の成長は体で受け止めてやる! さぁ来い!」とか言って毎日俺様の想術受け止めてたし」


「それやってた頃の体と今の体は違ぇからな! 今の体でそんなことやったら直ぐにぶっ壊れっからな!」


 話の途中でレツが入り込み、思わぬ所で前世のリゥが出てきた。が、流石に今のリゥからは想像も出来ない。やらなくはなさそうだが、やはり体が違うからだろうか。そんなことをやる気配はしない。


「まぁとりあえずよ? その辺の話は終わったンだから、とっとと先に進もうぜ」


「あー、そうだな。――こっから先が本当にヤバいだろう。どんなことがあるか分からねぇけど、無理はすんな。全員が生きて帰って、笑い話にして、そうしたら俺らの完勝だ。やってやろうぜ!」


「おおッ!」


 リゥがそう言って拳を掲げ、それに続いてそこにいる全員が雄叫びを上げる。


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