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二度目の四天王ライフ  作者: 羅弾浮我
第一作:〜異世界への突入、『聖陽郷』での波乱〜
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15話:前代未聞の狂会議

 大ホール。それは、今まで見てきた宮廷の中で一番広い部屋だ。

 正面奥には大きなスクリーンのようなものがあり、それに向かうように長机と椅子が綺麗並べられている。その数、約二百人分。

 そしてその二百人分の席が既にほぼ埋まっているにも関わらず、全く窮屈感がない。一人の席は二人分ほどのスペースが設けられていて、あと二百は優に入れる程の余裕がある。


「僕らは一番先頭だよ。行こうか」


 そう言って六人は一番前へ向かう。

 するとそこには既にシロが座っていて、後ろの席には十二人衆も座っている。そして手を振る彼らにアキラはぺこりとお辞儀をして席に座ると、カラー印刷されている書類が配られる。

 そしてスクリーンのようなものの前にゼンジが登壇し、集まっている全員の方を向き堂々と声を上げた。


「全員、資料は行き渡っているな! それでは、邪陰郷との全面戦争、並びに聖陽郷の完全防衛。その二つの同時遂行についての会議を始める! まず初めに、ここにいるメンバーは私自らが選抜した此度の作戦に於ける代表メンバーだ。そのメンバーに選ばれたことへの自覚と誇りを持って、誠心誠意尽くして欲しい!」


「おぉ――!」


 ゼンジの鼓舞のような言葉に、会議に参加している全員が堂々と声を上げる。


「今回の作戦の目的は、全面戦争を通して邪陰郷の勢力を鎮圧――基、抹殺すること。そして、聖陽郷にいる一般市民の安全を徹底すること。その二つの完遂だ」


 邪陰郷の抹殺に、聖陽郷の防衛。攻めと守りを同時に行い、完遂する。聞いただけでもかなり難易度が高いが、それを否定する者は一切いない。

 先程のゼンジの言葉通り、全員が今回の任務について覚悟を決めている証拠だ。

 今回ばかりは、リゥもゴウも真剣である。


「先ずは、邪陰郷についてだ。四天王レイ、報告を」


「はっ! 」


 ゼンジの指名に、レイは短く返事をしてその場に立ち上がる。


「邪陰郷の捜査において、得られた情報を資料の四ページに記載してあります。そちらを開いてください。

――まず、邪陰郷が潜んでいると思われる場所。聖陽郷の最南陽都サグラスをさらに南へ進み、最南海を越えた先にある島。その島は大量の樹木により、島全体が森となっています。そしてその森は、通称『ノーエンドフォレスト』と呼ばれる迷い森。捜索、探検、観光、興味本位で行った人々の行方不明が後を絶たない森です。我々も島まで辿ったあとはそれを警戒し捜査を中断しましましたが、あの森が拠点だと思って間違いないかと。そして迷い森の正体が邪陰郷の連中である可能性は高いです」


 『ノーエンドフォレスト』――即ち、終わりなき森。その森に入って戻った者は、誰一人として見てかっていない。森に罠がありそれに引っかかったのか、邪陰郷に捕まっているのか、真実はまだ不明である。


「今回はまだ可能性であるが、ほぼ確実と見て間違いないだろう。もし何もなかった場合は直ぐに帰還してくれ。しかし、邪陰郷以外に何かあった場合でも直ぐに報告。そして可能ならば速やかに対処し、難しいと判断すれば直ぐに引き上げろ。――そして次に、『迷い森上陸班』と『聖陽郷防衛班』のメンバー構成についてだ」


 まだ確実と決まっていない場所への突入、そしてその突入している最中を狙われた場合の防衛。まだかなりあやふやな作戦ではあるが、全員確実なものと、信じて疑わない。ゼンジの言葉とレイの報告。主郷と四天王の言葉にはそれほどの信頼があるのだろう。


「先ずは『迷い森上陸班』だが、迷い森と称されているくらいだ。どんな仕掛けがあるか分からない。よって、少数精鋭のチームを組み、最低限の人数で挑んでもらう。資料は六ページだ」


 そう言って、ゼンジはスクリーンに資料と同じものを映し出す。

 確かに、不明要素が多い場所へ大勢で突入すると混乱を招く原因に成りかねない。しかし、そのまま邪陰郷と交戦に入った場合、対処が難しい。敵の全勢力が待ち構えている可能性もある。

 よって、今回のメンバーは精鋭揃い。それも、四天王や天使が驚く程に。


「班長は、『四天王』のリゥ、ゴウ、ゲンの三人。副班長には『天使』のシロ。そして十二人衆の全員。そしてSHCの第一、第二特戦隊。最後に第一特援隊。この三十一名で上陸してもらう!」


 四天王が三人と天使が一人、そして十二人衆が全員とSHCの高位隊が三つ。人数は三十一人という極少のメンバーだが、実力は確かな者が多い。そのメンバーを見て、出席者の大多数が納得する。


 しかし、納得するのは大多数であり、全員ではない。否定派が数人、残っているのだ。


「ゼンジさん、異議があります」


 そしてその数人の否定派の中、リゥが真っ先に立ち上がる。

 本当ならリゥはこのメンバー表を見た瞬間に立ち上がりたかった。しかし、話を途中で止めてはいけないと、発表が終わるまで待っていたのだ。


「ん? リゥか。お前が異議とは珍しいな。なんだ?」


「迷い森上陸班に、もう一人。アキラを加えて頂きたい」


 リゥの眼差しは一直線にゼンジを貫いている。

 リゥの異議。それは、アキラが上陸班にいないこと。ただそれだけである。


 そんなリゥの異論に、ゼンジは目を丸くする。


「――リゥ、お前は正気か? いくらアキラと仲がいいからと言って、今回の大事な任務に於いてそのようなことが許されると思っているのか?」


「全て承知の上です。――承知の上で、今回申し立てをしています。准天使として四天王補佐の約目あるアキラなら、メンバーに加えても問題ないかと」


 ゼンジの威圧的な態度にも、リゥは一歩も引かない。リゥの決意は、そんなことで動くような甘いものではないのだ。

 しかし、この任務を必ず遂行させようとしているゼンジも引きはしない。


「そもそも、アキラは邪陰郷と戦うどころか一般人にも劣るかどうかの子どもではないか。そんな子どもを、なんの為に上陸班に加えると?」


「昨夜、俺はアキラと誓いを立てました。ずっと一緒にいると、ずっと守ると。そう、誓いを立てました」


「――ッ!? そのような個人的な約束を、このような場面で推すと言うのか!? お前は、今回の戦いをなんだと思っている! 一緒にいるなど、そんなものはお前ら二人の自己満足に過ぎん! 断じて許されん! アキラの身の安全は、防衛班に任せれば良かろう!」


「なら! アキラの身の安全を! 必ず守ると、言い切れますか! 俺が上陸している間、邪陰郷の全勢力が聖陽郷に攻め入った場合、絶対に守ると言い切れますか! ――俺は! 自分の手の届かないところで、自分の目の届かないところで、アキラが危険に晒されるのは許容できません!」


 リゥとゼンジの口論は、さらにヒートアップしていく。どちらとも一歩も引かず、その言い合いに他の参加者は介入出来ない。

 ゼンジとこれほど言い合えるのも、『四天王』ならでは……いや、リゥならではだろう。


「ならお前の所にアキラを連れて行き、必ず守れると言い切れるのか!」


「守れる? 守れる守れないの話じゃないでしょう! 守れる守れないでなく、必ず()()と、約束しましょう。命に変えても、必ずアキラを守ると!」


「ゼンジさん、俺もアキラの上陸班入りを推します」


「僕も、アキラくんの上陸班入りを推したいと思います」


「同じく」


「なっ……リゥとゴウはまだ分かる。が、レイとゲンまでもか!? お前らは何を考えているのだ! 四天王ともあろう者が、愚策に身を投じるか!」


 リゥがアキラを守ると言い切り、それに続いて他の三人もリゥの意見を推す。


「お、俺も! 上陸班に加えて欲しいです!」


「お前は黙っていろ! ――ごはッ!?」


 四天王に続き、自分からも意志を主張したアキラ。しかし、そんなアキラの意見にゼンジは強く当たった。

 そしてアキラを怒鳴りつけた瞬間に、ゼンジは壁に向かって吹っ飛ぶ。

 その光景を目の当たりにし、吹っ飛ぶゼンジを追っていた全員の目線が、その原因の方に戻る。全員の目線の先。そこには、右足を伸ばして宙に舞っていた、リゥの姿がある。


「テメェ……いい加減にしやがれ! 今のアキラへの対応はなんだ!? 明らかに差別的なものだ! 俺らへの対応と全く異なり、理由を提示せずに黙れと。それはただ単に、権力を怒り任せに振るっただけの冒涜だ!」


 右手で拳を握り、吹っ飛んだゼンジを睨みつけて怒鳴るリゥ。今までとは明らかに口調が変わったリゥは、表情と言動に於いて怒りを顕にしている。


「貴様……っ! この俺を蹴りつけて、どういうつもりだ!」


「なんの罪もないアキラに向かって怒り任せに言葉の暴力を振るった、お前の行いへの報いだ。勇気を振り絞り決意したアキラの覚悟を、たった一言で無下にしようとした、その罰だ! どうしてもアキラを加えないのなら、俺が上陸班から降りよう。変わりにレイでも入れればいい。その代わり、防衛班としての仕事より、アキラの護衛を俺は優先するがな」


 リゥは地面を蹴り、吹っ飛んだゼンジの所まで一瞬で移動し、胸倉を掴む。

 大ホールで突如起こった乱闘。一方的なものではあるが、その事態に会議の出席者は唖然としている。


「お前らが、そうまでしてアキラと言う少年を推す理由はなんだ?」


『――()()だ』


 ゼンジの問いかけに対し、四天王は口を揃えて応答する。


「そうか……それなら、分かった。お前らがそこまで期待をしているのなら、今回は上陸班入りを許可しよう。――しかし、もしもアキラが原因で失敗した時は、しっかりと償いをしてもらう」


「その代わり、アキラのお陰で完遂できた時にはアキラへの謝罪と、さっきの言葉全てを撤回してもらう」


 会議の最中での大波乱。


 この後、無事に会議は終わるものの、四天王とゼンジの対立は多くの人々の不安を煽った。


 ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼


【迷い森上陸班】



 ・リゥ(四天王)

 ・アキラ(准天使)

 ・ゴウ(四天王)

 ・ゲン(四天王)

 ・シロ(場を司る天使)

 ・レツ(火の十二人衆)

 ・スイ(水の十二人衆)

 ・フウ(風の十二人衆)

 ・ライ(電気の十二人衆)

 ・サド(音の十二人衆)

 ・イオ(毒の十二人衆)

 ・ネイ(自然の十二人衆)

 ・セト(虫の十二人衆)

 ・クラ(氷の十二人衆)

 ・イル(地の十二人衆)

 ・グラ(重力の十二人衆)

 ・ネス(念力の十二人衆)

 ・アイク(第一特戦隊)

 ・エンジ(第一特戦隊)

 ・カイ(第一特戦隊)

 ・クレハ(第一特戦隊)

 ・レント(第一特戦隊)

 ・ウレン(第二特戦隊)

 ・アヤト(第二特戦隊)

 ・レックス(第二特戦隊)

 ・バル(第二特戦隊)

 ・トートレス(第二特戦隊)

 ・ヒール(第一特援隊)

 ・コントル(第一特援隊)

 ・ハイル(第一特援隊)

 ・リボン(第一特援隊)

 ・ルリ(第一特援隊)

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