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続編 -ペット以上、恋人以上・2-

「ねぇ、凌子さん、明日一緒に行って欲しいところが


 あるんだけど。」


綺羅人が戻って来て一ヶ月が経ったある日、


不意に綺羅人から言われた。




明日は土曜日。


仕事はお休みだし、特に予定もない。




「うん。」


あたしが小さく首を縦に振りながら返事をすると


綺羅人はにんまり笑った。


相変わらず可愛い笑顔だ。




「どこ行くの?」




「行ってからのお楽しみ♪」


綺羅人は笑顔のまま答えた。




「うん、わかった。」




どこかな、どこかな?




デートならデートって言うはずだし、


綺羅人の事だからまた何かあたしをびっくりさせようとして


企んでるのかもしれない。


結構サプライズ好きみたいだしね。






―――翌朝。




「凌子さん、おはよ♪」


綺羅人の声で起こされるのももう慣れてきた。




「・・・ん、・・・おはよー。」


まだ少し眠い目を擦りながら目を開けると


綺羅人の顔がすぐそこまで近づいてきていて


軽くキスをされた。




こんな風に“おはようのキス”をされるのも、


もう、いつもの朝の習慣になっている。






少し早めの昼食を食べた後、綺羅人に連れて行かれた場所は


7つ先の駅の赤坂だった。




そして、駅前で一人の男性と合流した。




この人・・・誰・・・?




「F不動産の相川と申します。」


どうやら不動産会社の人らしい。




綺羅人の知り合いかな?




「一ノ瀬です。」


不思議に思いながらもあたしはとりあえず愛想笑いで


その男性に挨拶をした。






―――カチャン・・・、




「どうぞ。」


相川さんは駅から程近いマンションにあたしと綺羅人を


案内してくれた。


5階の角にある部屋の鍵を開け、大きくドアを開けると


あたし達を先に中に入れてくれた。




綺麗な部屋・・・




そのマンションはどうやら出来たばかりらしく、


今あたしと綺羅人が住んでいる部屋よりも


綺麗で広かった。




間取りもあたしの部屋は1LDKだけどここは3LDKで二部屋も多いし、


そしてなによりキッチンが広い。


ガス口も今の部屋は2口しかないけれど、ここは3口ある。


大き目の冷蔵庫とオーブンも置けそうだし、シンクも大きい。


これなら料理人の綺羅人が使うにしても十分だろう。




今の部屋のキッチンじゃ、綺羅人にとって物足りないのかもしれない。






「凌子さん、どう?この部屋。」


一通り部屋を見た後、バルコニーから外を眺めていると


後ろから綺羅人の声が聞こえた。




「ここなら、凌子さんの会社にも少しだけ近くなるし、


 2人で住むにはちょうどいいと思うんだけど・・・どうかな?」




「でも・・・綺羅人、こっちの部屋はどうするの?」


あたしは綺羅人がイタリアに行く前に預けてくれた


綺羅人の部屋の鍵を見せた。




「それなら心配いらないよ。そこは処分するから。」




「処分て?」




「あっちのマンション売って、そのお金で別のマンション買うの。


 だから、凌子さんが気に入ってくれたらここに決めちゃおっかなーって。」




「な、なんで?」




「あっちのマンションは彩穂との新居にって彩穂のお父さんが


 買ってくれた部屋なんだ。


 彩穂と別れた時に手切れ金だとかなんとかで結局、


 そのまま貰うことになったんだけど・・・、


 でも、俺はそんな部屋に凌子さんと一緒に住みたくはなかったし、


 かといって、今の部屋だと本格的に俺の荷物を移すと


 狭くなっちゃうからね。


 だったら、思い切ってあっちの部屋を処分して


 ついでにどうせなら、キッチンも広いトコにしようと思って。


 それに、ここなら今度俺が出す店にも近いから、


 少しは凌子さんと一緒の時間が作れるかなー?って。」




「・・・っ。」


あたしは綺羅人の言葉に驚いた。




綺羅人、あたしの事ちゃんと考えててくれたんだ・・・。

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