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-Epilogue-

―――三年後。




綺羅人がこの部屋を出て行ってからもうすぐ四年目になる。




その間、電話もメールもまったくない。




手紙も・・・




何もない・・・。




やっぱり、綺羅人はあたしの事なんて忘れてしまったんだろう。




最初はきっと忙しいんだろうと思っていた。


だから、あたしからも連絡はしないでおこうと思った。




でも、ある時気がついた。




そういえば、あたし・・・何も教えてもらっていない。




綺羅人の携帯番号もメールアドレスも・・・


綺羅人が置いていった鍵だって、どこのマンションだか知らない。




いっそ捨ててしまおうかとも思った。


でも、捨ててしまうと綺羅人との唯一の繋がりが


切れてしまう気がして捨てられずにいた。






あたしは31歳になった。


とうとう三十路を越えてしまった。




・・・と、いう事は綺羅人はあの頃のあたしと同じ28歳か。




そしてこの間、同僚の奥田くんが結婚した。


後輩の女の子も次々に結婚して“寿退社”して行く。




変わらないのはあたしだけだな・・・。




あ、でも一つだけ変わった事があった。




それは、克彦さんの最後の手紙を処分した事。


克彦さんの三回忌の日に燃やした。




それで気持ちの整理だけは、やっとついた。




それ以外は何も変わらない。




灯りが点いていない部屋に帰るのも一人分の食事を作るのにも慣れた。


というより、綺羅人が来る前の生活に戻っただけ。






そして、今日もまたいつものように仕事を終えて部屋に戻り、


玄関のドアを開けるとリビングに灯りが点いていた。




あれ?


あたし、また点けっ放しで行っちゃった?




そう思っているとリビングのドアからひょっこり顔が出てきた。




「・・・あっ。」


あたしは一瞬誰だかわからなかった。




「おかえり、凌子さん。」


でも、そう言ってにっこり笑った顔はあの頃と変わらない。




「綺羅人・・・っ!」




「ただい・・・わーっ!なんでいきなり泣いてんのっ!?」


綺羅人はそう言うと慌ててあたしに駆け寄った。


自分でも気がつかないうちに涙が出てきていた。




「だって・・・もう、帰ってこないのかと思ってた。」




「ごめん・・・ずっと連絡しなくて。」




「ばかぁ・・・。」




「ごめん。」




「・・・。」




「・・・ごめん。」




「おかえり・・・綺羅人。」




「ただいま。」


そう言って柔らかい笑みを浮かべた綺羅人の首には・・・




あの“首輪”があった―――。

お陰様で完結致しました。

応援ありがとうございました。m(_ _)m

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