7.始まりの日
彰はサッカー部に所属しており、放課後になるとグラウンドの端に応援目的でファンクラブを中心とした女子が集まる。それは、よく見る日常的な光景だった。
そこに、理子達3人が合流した。彰の変化を逃すまいといつも以上に目を見開いて練習する様を観察してみたが、特に何か変わった様子はなかった。
帰宅し、美優はトークラインを見てみたが
“結局何もなかったね”、“やっぱりいたずらだったか”
と言ったメッセージばかりで、ほっとした。
――しかし、最初の事件はすでに始まっていた
朝、HRの前の時間にグループトークを見たメンバーは唖然とした、、、、、、
情報の発信元は果歩先輩。
なんでも、彰先輩の教室で花が発見されたそうだ。なんだ、ただの花じゃないか、それほど騒ぐ話でもと思ったが、花に添えられたカードがどうやら原因らしい。
果歩先輩が朝教室に入った瞬間、彰先輩の机を何人かが囲んでひそひそと話しおり、『なにこれ』とか、『気持ち悪い』と言った単語が耳に入ったようで、彼女は気になり机に近づくことにした。
――机の上には、真ん中にぽつんと黒色の百合の花が一輪
かろうじて人の隙間から見えた程度であったので、花が何だろうと更に覗きこんだ。
――その花の横には真っ白なメッセージカードが1枚添えられていた
“私の予言、いかがでしたか。
これが1つ目の奇跡です。
神の人“
意味不明だった。だから、みんな気味悪がっても深く追求しようとは思わなかった。
「うーん、花が置かれていただけで奇跡になるってよく分からなくないか?」
放課後、昨日と同じように彰先輩の練習姿を見ていた翼が呟く。
「そうだよね、朝早くに来た人なら誰でも置けるし、、、、、、。
それに、例の件だったら奇跡が起こるのは昨日からのはずだよね。
当てはまらないから、一昨日の天使の手紙の人とは関係ないいたずらとかじゃないのかな?」
美優も同意し、隣の理子を見る。
「うん、私も繋がりが分からないし、そうだと思ってたんだけどさ、、、、
果歩先輩にね、昼休み偶然会ったの。そしたら、ちょっと気になること言ってて」
2人が美優の方に体を向けた。
「彰先輩がさ、朝練に行く前に机を数秒だけじっ、と見てたんだって。普段は気にもとめないのに珍しいなって思って、その様子を遠くから見てた果歩先輩の友達がいてね。
その先輩、こう言ったんだって」
――机を見る彰君の目が怖かった、って、まるで鬼のようだったって、、、、、、






