4.少女の意志
しばらく歩いていると、先頭の灯華が立ち止まった。そして、優雅な手つきで左手の襖を開け少女達をその部屋に招き入れる。
中は思っていたよりもこじんまりとしていた。緻密な細工の梁や山々を描いた趣のある掛け軸はあるが、大きさは6畳程と少し狭く感じられる。部屋の真ん中に鎮座する机の前に座布団が用意され、勧められるがまま3人は座った。
最後に灯華が、旅館でよく見かけるひじ掛けの付いた和座椅子に正座する。
「手狭でごめんなさいね。
お飲物はオレンジジュースでよかったかしら?
それと、正座大変でしょうから、どうぞ膝を崩して下さいな」
「あ、はい!3人ともオレンジジュースでかまいません。
失礼します」
理子の発言に両脇の二人も頷き、横目でお互いを見ながら膝を崩す。
「佐古屋」
「かしこまりました」
灯華の合図で、襖の前に控えていた佐古屋は部屋を後にした。
「それで?
本日はどのような相談を持ってきて下さったのかしら?」
灯華が待っていましたと言わんばかりに少女達の方へ身を乗り出した。机に両肘を置き両手を頬につけた姿は、今から恋バナを聞こうとする少女のそれである。
「あ、あの!ここに来て魔女さんに相談すればどんなことも解決してくれるって本当なんでしょうか?
それと私達、学生なのでお金はあまりなくて、、、、、、」
理子が言い終わった後、渋い表情をする。
「あら、正確には正解ではありませんわね。
私が相談を受けるのは、どんなことでもじゃなくて特定のことだけよ」
「人間の領域から逸脱した不可解な事件、引き受けます。って一文のことですか?
それなら、私達が相談来たことは合っているはずです。あなたにしか、灯華さんにしか頼れません、、、、、、」
「美優、、、、、、?」
翼が不思議そうな顔で美優を見ながら呟く。
「そう、それ、その相談!合っているなら如何なる内容でも引き受けさせて頂くわ。
後、私は神様とかじゃないから絶対に解決出来る訳じゃあないのよ。
お金の心配もしているようだけど、、、、、、。
趣味でやっているだけだから一銭たりともいらないわ」
「で、お客様どうなされます?
私に相談するの? しないの?」
3人の喉が上下するように見えた。そして、理子ではなく美優が口を開いた。
ここまで読んで頂いた方々に、一度お礼を申しあげます。
次回から、ようやく依頼内容が明かされていきます。
3人の少女達の話を、第一章とする予定です。