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人間回帰怪譚  作者: 柳 山茶
2/15

1.少女たちの集い

 ――カラン、カラ、ン

 涼やかな入口扉の鈴の音が聞こえる。

「いらっしゃいませ。3名様でいらっしゃいますか?」

 書生の恰好をした青年がお客様を出迎える。

 紺色の長着(ながぎ)で首元から真っ白なシャツを覗かせ、くすんだ感じのする緑色の袴に下駄を履いている。

「あ、はい!3人です、、、、、、。」

 店内に入ってきたのは、制服を着た3人組の女の子だった。制服に見覚えがあると思えば、どうやら近くの高校の生徒のようだ。

「こちらのお席へどうぞ」

 青年もとい店員は席へ案内し、一旦厨房奥へと姿を消した。

「ねぇ、ねぇ、さっきの店員のお兄さんかっこよくなかった?」

「もう、本当に理子はイケメンが好きなんだから」

「ん、確かにイケメンだな。でも、(あきら)先輩だって負けてないだろ」

 最初に頬を赤らめながら言葉を発したのは、岡田 理子(おかだ りこ)。ハーフアップにした髪にシュシュをつけ、カバンには最近はやりのキーホルダーをじゃらじゃらと付けている。足をぶらぶらさせ、落ち着きのなさから活発な少女だと分かる。次に呆れ気味に言葉を交わしたのは倉本 美優(くらもと みゆ)。長い黒髪に落ち着いた雰囲気をかもしだしている。最後に発言をしたのは多賀 翼(たが つばさ)。男勝りな口調だがれっきとした少女だ。髪もショートカットなため私服時に男子に間違われることが多い。

 仲よさげに会話しているが、少女たちは個性豊かで似付かず、小さい頃からの幼馴染ではない。

 学校で仲の良いグループで一緒に教室移動をしたり、一緒にお昼ご飯を食べる、いわゆる仲良しグループな訳でもないのだ。

 しかし、少女達にはある大事な共通点があった。共通点から生まれた仲間のようなものなのだ。

 そしてそこで起こったある出来事から、同じ悩みをここ数日抱えていた。


「あ、店員さん戻ってきたよ。」

「お待たせ致しました。お冷をお持ちしました。こちらがメニューになります。

 お決まりになりました頃にまた、、、、、、」

「あ、あの!私達、そのお茶をしにきた訳ではなくて、、、、、、。ま、魔女さんはいらっしゃいますか?」

「、、、、、、。ああ、あの方に用事でしたか。

 おりますよ。少々お待ち下さい。」

 一瞬考えた顔をした後、青年は微笑むとまた奥へと姿を消した。

「ふぅ、何とか言えた、、、、、、」

「ごめん、理子ありがとう」

「理子ちゃん、ありがとね」

 これで、ここに来た目的が果たせる。そう思うと途端に緊張し、3人の手は机の下でぎゅっと握りしめられた。


 10分程経過した後、かの定員がその彼女を連れてきた。

「お待たせ致しました。この方が当店の主の魔女でございます」

「初めまして。そして、ようこそいらっしゃいました。私が魔女と呼ばれているものでございます。

 一応列記とした名前がありますので、親しみを込めて灯華(とうか)とお呼び下さい。

 そして、隣に控えておりますのが佐古屋 蒼(さこや あお)です。助手のようなものだと思って下さい」


 ――魔女もとい花園 灯華(はなぞの とうか)が姿を現した。


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