総理はご立腹
『殿馬君本当にありがとう』
「いや、遅くなってすまない」
『そんなことないわ、日本に帰れるし両親に生きて再会できるんだから・・』
「君や中西、山岡とまた会えて嬉しいよ」
そう言って彼女たちへ手をさしのべて握手をした。
『しかし、本当に驚いたよ日本に帰れることもだけどお前が総理になってるなんてな』
「山岡、俺は友達を絶対取り返したかっからな総理はその手段だよ」
「調査員にも聴かれたと思うが、智は見てないんだよな?」
『ああ、俺達は成人するまで別々だったし成人してから山田さんとは何度か会ったが山岡と再会したのも帰国が決まってからだ』
と中西は言う
『私も中西君や他の人には何人か会ったけど里中君は誰も見た人がいないわ』
「そうか、ありがとう死亡報告があった人を除いて智以外にも何人か拉致されたとみなされてる人達がいるんだが、あの国は全員帰国を実現したと言っているし、政府関係者やその他機関もあの国との問題は解決したと報告してきているんだ」
皆は複雑な顔をしている
「あっ、いやすまないようやく日本に帰れるのに、家族が待ちわびているさぁ日本へ帰ろう」
『そうだな、すぐ家族へ会えるんだよな』
「ああ空港だとマスコミや一般市民が押しかけて来て皆や家族も落ち着かないだろうから基地だ。手続きとかもなにもない直ぐに会えるから到着を待っているよ」
『楽しみだなぁ』
『父さん母さんも年とったんだろうなぁ』
皆思い思いに前を向き飛行機へ乗り込んでいった。
日本のとある基地では皆泣いて再会を喜んでいた。なかには亡くなっていてもう会えない家族の事を思い泣いている者もいるだろう。
『総理』
太田拉致問題対策部主任が俺を呼ぶ
「太田主任どうした?」
『ご報告がございます』
「聞こう」
『あの国も含めそれ以外にも拉致を行っていないか継続し調査いたしておりましたが現状認められません』
太田主任は詳細な報告書を俺に手渡してきた。
「そうか・・だが被害者と思われる国民が1人でもいる限りまだまだ君たちには働いてもらう」
『もちろんであります。』
太田主任は力強く返事をする。
彼女は母親を拉致され残念ながらあの国ですでに亡くなっていた。俺と同じくいやそれ以上に拉致にたいしての思いがあるだろう。
拉致対策部に議員は1人もいない。拉致問題に彼らは役にたたないからだ。役に立つどころか逆にあの国や他の国等につけこまれ足を引っ張られる事になりかねないからだ。
対策部の人間は俺が選抜した精鋭であり総理等という立場ではなく俺の直属の者達だ被害者の家族もいるがそうではない者も多い
予算も特別な方法で捻出し潤沢だ。
昔、俺の周りで拉致されたと思われる出来事があった。
学校行事のスキーの帰りのバスが不可解な事故にあい乗っていた人達が何名か行方不明になったのだ俺は原因不明の高熱で不参加になってしまった為事故に巻き込まれなかったが、俺の親友やクラスメートが拉致された。
病床で衝撃を受け高熱はいまだに解決されない拉致問題を解決させる為に俺を残したのだと思いまずは必死に勉強した。
解決するには金、権力、地位が必要と思い表は総理を目指し裏ではさまざまな方法で財産を築き同時に権力も手に入れた。
最大与党の大物地元議員をわからぬように潰し後継者にもご退場いただき後釜にすんなりと収まり最年少で国会議員になりなる前から行っていた情報収集のあれこれにより党の権力者達をある者は傘下にある者は引退してもらった。権力あるものは必ず何かしら弱みがある悪くないやつなんていなかったからさして難しい事ではなかった。
そしたらこれまた最年少で総理大臣になることができたのだ。
与党の老害という名の化け物を退治した俺には野党議員などかわいいひよこ程度にしかすぎず俺が必要な政策をあいつらの手柄にしてやり嬉しそうにピョピョと鳴いている。
そう、我が国はばれてないがすでに独裁国家なのだ。
「国民のみなさん拉致被害者の方々が帰国されあの国は完全解決を表明していますが、まだ被害にあったと思われるかた全てを確認するまで私は問題解決したとは皆さんへ言いません。」
『総理はまだあの国が隠していると思われているなですか?』
新聞記者が俺に問う
「隠しているとは思っていないあの国の問題解決したという表明は誠実にうけとめる。」
『では、なぜそうしないのです?』
同じ記者がくらいつく
「何者かに拉致された方がまだ実際にいるのです。失踪なんかじゃない現実だ。国では把握していない部分もあるのかも知れないしそんなものないのかも知れないしただ確かなのはまだ日本に帰って来れない国民がいる私達の隣人がいるんだ」
俺はくだらないことを言うあの新聞社の記者を強く見ながらそう言った。
『他の質問どうぞ』
と、進行役が言う
『お疲れ様でした。』
腹心である官房長官が飲み物をさしだしながら労いの言葉をかけてくる
「ああ、ありがとう」
喉を潤したがまだ俺の心は乾いたままだ。
数ヶ月がたった
太田主任『・・以上になります。』
「そうかご苦労」
何名か確認がとれたが皆既に亡くなっていた場所もさまざま
「彼らは何故そのような場所で亡くなっていたのだ」
俺は呟く
『逃げて亡くなったもしくは工作員として潜入させられ亡くなられたのかもしれません』
「日本の友好国もある誰か1人位大使館なりに駆け込んでもいいものだが」
わからん何なのだ?そして智は何処にいるんだ
着信が入る秘書からだ
『総理』
「どうした?今は大事な報告を受けているのだぞ」
『も、申し訳けございません。しかし、ご実家からどうしてもとの事でしたので』
敵につけこまれないように結婚しなかった俺ではあるがさすがに親子の縁は切っても切れるものではなく秘書を通してやりとりさせていたのだ。
「つなげてくれ」
『かしこまりました。』
「もしもし俺だ」
『兄さんおれだ』
弟の優馬のようだ
「どうした?親父でも倒れたのか」
『いや、そうじゃないんだ。兄さんにお客さんが来てるんだ』
「実家に来た客ならそちらのスタッフに対応させればいいじゃないか」
『兄さんの友人みたいで・・』
「友人とか言うやつなら数えきれんぞ、まぁいい連絡してきてくれたんだ名前はなんだ」
『里中智さんって人で父さん達が言うには拉致された兄さんの親友だと言ってるんだ』
「・・」
「・・」
「・・・・・・・・な、な、なにーーーーーー!!!!!」
椅子から勢いよく立あがったおれを見て太田主任も非常に驚いている
「すぐに帰る。家で待っていてもらってくれ絶対外にだすな」
『総理??』
「主任智らしいものが実家に尋ねてきた。一緒に来てくれ」
『かしこまりました。』
すぐに内線をつなげる
「俺だ。予定は全てキャンセルしておけ理由はそちらで考えろ」
太田主任『ヘリを用意いたしました』
「ああ」
『『『『おかえりなさいませ』』』』
「ああ、客人はおられるか?」
『はい、離れで食事されております』
「そうか、何を食べているんだ?」
『ハンバーグカレーです。』
心が熱くなる
「入るぞ」
『ああ』
思ったより若々しいが智だ智の声だ襖を力強くひいた
『やぁ、久しぶりだね和馬ずいぶん歳をとったね』
俺の本名を知っている俺は拉致被害問題を解決すると決めた時から名前を改名していたのだ。
「本物みたいだかなんだか思ったより若いな」
『ああそうだね』
返事がかるい
「これまで何処にいたんだ?智はあの国に拉致されたんじゃなかったのか?」
『俺は、この国の言葉でいえばくの国ってところさ』
そんな国ないそれにこの国の言葉でってことは
『そう、異世界だよ』
「・・」
「・・」
「・・・・・・・・な、なにーーーーーー」
俺の絶叫に太田主任はまたビクッとなった
「い、異世界許さんぞ我が国の国民をーーー」
太田主任は再びビクッとした