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全要素を含めた異世界転生記録  作者: 東条李禹
1章 仮転生と執事バイト
4/11

#003 強敵襲来

パソコン完全復活です。

急展開がまだまだ続きます。




◇◇◇



 その後、女将さんの案内で寄り合いギルドに着いた。この町で1番立派な建物だろう。

 女将さんの話によると、この村はそこそこ大きい土地を持っているらしい。そして、村には複数のギルドが存在し、それぞれのギルドにはギルドマスターがいるらしい。

 ギルドとは様々な人が助け合う場として作られたもので、村ではなく国が運営している。この村のギルドは

モノロイド公国が運営しているらしい。


 そのうち王都にも行こうかな。

 そんなことを考えながらギルドホールの扉を開ける。


 ホールはたくさんの人がいたが、トウマのような厨二丸出しの格好をしている者はいなかった。


「さっきから気になったてたけど、もしかしてぼくの格好って浮いてる?」


 意識すると妙に恥ずかしくなってきた。

 剣などを下げていないだけましではあるが、完全に場違いだ。

 看板にも『平民たちの』寄り合いギルドと強調されていたしな、冒険者は冒険者ギルドに行けってことか。

 まぁでも、ぼくの目的は異世界体験だし、わざわざ冒険者になる理由もないな。

 冒険者に然程興味を示さなかったトウマは副職元い、金稼ぎのバイトを探すために寄り合いギルドに立ち寄っていた。


「新職祭・開催してまーす。いまなら手続き料が40%カットでーす。ぜひご参加くださーい」


 新職祭?有名ゲームとかであるガチャのイベントみたいなもんか。

 いろいろ現実的ではあるけれど…。

 

 張り出される勧誘に面白そうなものを探す。


『公爵の期間限定執事・メイドを募集中、経験・経歴不問。期間は1週間、礼金は相場の5倍』


 ど真ん中に大きく張り出された勧誘に目が止まった

 おっなんだこれ、凄い好条件じゃん。場所は──


『モノロイド公国・公爵家』


 公爵家って、お偉いさんだよな。でも、なんでこんなに好条件なのに誰も申し込まないんだ?

 トウマの思考はそれほど複雑ではないが、不信な点がある職業にほいほい就くほどバカではなかった。

 とにかく、一度戻って女将さんに聞いてみるか。



◇◇◇



「ただいま帰りました」

「おかえりなさいませ。夕食の支度が整っておりますが、いかかがいたしますか?」


 帰ってくる頃にはすっかり夜になっていた。

 この町に時計はないが、大体の時間の切れ目で鐘がなっていた。


「夕食もついてたんですか、ありがとうございます。ちょうどお腹ペコペコでした」

「そうでしたか、では食堂にどうぞ」


 食堂はたくさんの人で賑わっていた。

 周りを見渡すと、寄り合いギルドとは違ってトウマの格好が普通すぎるぐらいだった。

 厨二臭い、様々な武器や防具を身につけていて、いかにも『冒険者』という感じがした。


「どうぞ、今日のディナーはベァーウルフのもも肉を使ったシチューです」


 木で出来た皿が出てくるのかと思いきや、白くて光沢のある食器が出てきた。

 こういうところは時代設定にズレ感じる。

 それよりも目を引いたのはシチューだ。元の世界の食卓に並んでいるシチューは何かが違う、そう感じさせる匂いだった。


「おぉー、美味しそう。いただきま〜す」


 銀の匙、的な物をもってシチューを口に運ぶ。


「う、美味い!」


 クリームをベースに作られたまろやかなシチューの中に、一口サイズにカットされた野菜が絡み合う。絶妙なバランス。そして、鶏肉と牛肉の中間のようなベァーウルフのもも肉が味をさらに盛り上げる。口に入れた瞬間にとろけてなくなった。


 こんなことなら肉片も回収するべきだった。それほどまでに虜にさせる味だった。

 数分後には食器はピカピカになっていた。


「ふぅ、女将さーんごちそうさまでした」

「おそまつさまでした。食器はそのままでいいので」

「わかりました!」


 食堂を後にして自分の部屋に入ったとき、やっとトウマは本命を思い出した。


「あっ女将さん公爵の執事のこと聞かないと」


 直ぐに女将さんのもとに行こうとも考えたが、他の客の相手も考えて、女将さんの忙しい時間帯が終わる真夜中に訪ねることにした。


「女将さん、聞きたいことがあるんですけど」

「……⁉︎」


 そこにいたのは、着物ではなく、Tシャツと黒のジーパンのような服を着ていた女将さんだった。

 手には仏花を持っているように見える。


「こんな時間に、どうされたんですか!?」

「いえあの、公爵家について伺いたいなぁと思いまして」

「こっ公爵家ですか?わかりました。夫の墓参りがございますので少々時間をください」

「あぁ、それで仏花ですか。なんかすいません、お願いします」


 この村に大きな墓地はなく、村の近くのムロク山の山頂に共通の墓地があるらしい。夜遅くに女一人でのお出かけを見過ごすわけにもいかず、ついていくことにした。



◇◇◇



 5分ほどある行くとたくさんの墓石が並ぶ墓地に到着した。


「ここです」


倉山クラヤマ 蒼梧そうごここに死す』


 女将さんの示す墓石にはそう掘られていた。やけに日本人のような名前という印象を受ける。考えてみれば、まだこの世界で名前を知っている人はいなかった。


「ソウゴさんですか。どんな人だったんですか?」

「ひねくれていて、解消なしで、口を開けばすぐに人を小馬鹿にする人でした。でも、ここぞってときは頼りになる人でした」

「とても失礼だとは思いますが、女将さんと同年代の方だったんですよね?では、なぜ亡くなられたのですか?」

「それは‥…冒険者ギルドの依頼クエストで村を出たときに‥‥使徒に殺された…からです」

「使徒?それは一体」


「オ前タチ・何シテル」


 やけに機械っぽい声が聞こえる。が、あの空間のときとの声とは似ても似つかなない声だった。

 なんと言えばいいだろう、冷徹というか、感情のかけらもないというか、不快感を感じる、そんな声だった。


「誰だ!?」

「私ハ・ミスト」


 ご丁寧に名を語る主は透き通った鉱石の体を持つ、金剛人形ダイアモンドゴーレムだった。

 体長はベァーウルフの2倍はあるだろう。


「ミスト⁉︎使徒が何故こんなところに」

「使徒⁉︎」


 女将さんによれば、夫を殺したとか。

 普通なら逃げるのが当たり前だろうがそう簡単にはいきそうにない。女将さんもいるなかで自分だけ逃げるわけにもいかず、トウマは自問自答をする。


「どうする?逃げる?戦う?勝てるのか?まず奴の危険度は?」


 目を凝らしてミストを見る。



◆◆◆


【第七使徒ミスト】 危険度・測定不能


世界を統べる十五使徒の一人。序列7位。

金剛石で形成されたその体はとても頑丈で、大魔法・ラグナロクでも絶命には至らない。

様々な山に定期的に現れる。森が荒らされることを嫌い、森にいる人間は即時に排除する。


◆◆◆



「危険度・測定不能? MAXの上をいくってことか?」


 『逃げれない』トウマは戦うことを決心する。

 前回の戦闘は瞬殺だったが、今回は全力でも勝てる可能性は低い。少なくともLv15で測定不能ならベァーウルフよりも数十倍は強いだろう。


「女将さん、隠れてて!」

「はっはい!」


『来い!』


光とともに手帳が手元に来る。


『Lv最大、武器生成・聖剣エクスカリバー』


 凄まじい量のオーラと共に、聖剣・エクスカリバーが具現化する。トウマのオタク知識によれば、この聖剣は最強の剣だった。これを出せば勝利は確実、そんな淡い期待を持ちながら具現化したのだ。 

 具現化したエクスカリバーを持ち上げる。

 

「おっ重い!」


 外見はぱっとしない剣なのに、改竄の能力によって底上げした筋力でも軽々と振り回せはしなかった。


「いくぞぉぉぉぉぉぉ!!」

「人間ガ・調子ニノルナ」

「はぁっ!」


 手加減なしの本気の一撃。

 これまたオタク知識だが、聖剣は人ならざるものに猛威を振るう剣。

 使徒とはいえ、ノーダメージとはいかないはずだろう。


「コノ程度・カ?」


 傷一つ付けられなかった。

 それどころか、逆にこちらが驚いてしまった。


「おいおい、嘘だろ」


『危険度・MAX』


 トウマの目にはそう見えた。

 

 危険度・MAX?ぼくは、今、Lv最大だぞ。

 Lv最大でもMAXって、どうすればいいんだ?

 少しためらいながらも結論を出す。


「仕方がない、『アレ』使うか」


 トウマの言う『アレ』とは手帳のもう一つの能力。


『ステータスアップ・5倍』

手帳に付与された力で、唱えれば全ステータスを文字通り5倍にする。

が、自分の身体に重大な疲労を及ぼす(3日後)


 今まで、身体への疲労に懸念を抱いていたけれど、だし惜しみなどしている余裕もない。


『ステータスアップ・5倍』


 唱えた瞬間に周りの空気が変わった。

 オーラの量も段違いだった。


「仕切り直しだ!いくぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 エクスカリバーを振りを下ろした。とてつもない爆音とともに地響きがする。

 しかし、奴の体には、ほんの1センチ程の傷しか、つけられなかった。


「っち……これでもダメか」

「ナカナカヤルナ・人間」


 トウマの焦りに対してミストは冷静だった。

 その図体の割に小さい目には何が見えているのだろう。ふと、そんなことを感じてしまうほどに。


「お客さん!核です、核を狙ってください!」

「核?そんなものどこにも……」

「第七使徒・ミストは金剛石でできているので、目には見えません。しかし、伝説通りなら水をかければ核が見えるはずです!」


「水?確証はないが、このままじゃ、いずれ負けるしな。試すかしかないな」


『水生成』


 失敗した?

 勢いよく書き込んで数秒経つのに何も起こらなかった。トウマの目には更に焦りを感じる。

 

「ヨソ見ヲ・スルナ」


 ミストからの攻撃に慌てて防御姿勢をとる。

 その尖った拳が致命傷にならないように、急所を丁寧におさえる。


「ヤバッ⁉︎」


 次の瞬間、トウマは殴られた方向に飛ばされた。

 重すぎる。

 金剛石の硬さと重さでとんでもない威力になっている。金剛石は自然の鉱石では最高の硬度を持つらしいが、この威力は正直予想外だ。


 深いダメージを負ったという感覚はないが、これじゃあ、本当にらちがあかない。

 とにかく時間稼ぎだ。

 時間を稼いでなんとか核を突かないと勝機はない。


『水生成』


『水生成』


『水生成』


 しかし、何も変化はない。

 どうしてだ?どうして水がでない。故障したか?機械じゃあるまいし──。

 

 もういい、水は諦めよう。

 倒すんじゃなくて喰い止めるんだ。女将さんが逃げてくれればなんとかなる。


「女将さん!逃げてください。ぼくには倒すことは出来ません」

「でっでも…」

「いいから逃げろ!」

「いえ、ですから」


 女将さんは口を大き開けていて尻餅をつきながら上空を指差す。

 驚いているようだ。


「え?」


 女将さんの指差す方を見ると、そこには空をも多い隠す『大量の水』があった。

 

 これどうすればいいの?


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