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全要素を含めた異世界転生記録  作者: 東条李禹
1章 仮転生と執事バイト
3/11

#002  もう1つの選択肢

スイマセーン!

パソコンの調子が悪くて投稿できませんでした。



 :異世界に転生しますか?:


 :YES or NO:


「え?どいうことですか?」


 今まで「ゲームだから」で説明がついたが、さすがに転生までは説明がつかない。ゲームの中の設定ではないか?と思いながらも思考回路は完全に停止していた。


「そのままの意味です、今までの設定は異世界のあなたのものです」


 ゲームの登場キャラクターの設定をしているつもりが、異世界での自分の転生先の設定をしていたということになる。これには理解に数分を要した。


「ちなみに、あなたの肉体は今、半分が今の世界にもう半分は異世界にあります」

「それは…?」

「この空間は世界と異世界を繋ぐ空間です、そこにいるあなたは世界・異世界どちらにでもいけるいう意味です」

「NO.と言えばどうなりますか?」

「どうにもなりません、いつも通りの世界に戻ります」


 NO.の方がいいに決まってる。異世界に関しての明確な知識がないなか転生するなどあり得ない。一般的に考えればNO.が最善と言えよう。


「NO.で──」


 ──と言いかけてまた止まる。

 本当にいいのか?またあの生活に戻って。

 見方によれば、これはチャンスだ。上手くいけば異世界で人生がやり直せる。いやでも…。

 これがチャンスと理解しながらも転生=元の世界に戻れないという考え方が決定の邪魔をしていた。


「では、お試し転生はいかがですか?お試しで1ヶ月間転生して異世界生活を体験し、気に入ればそのまま転生、気に入らなければ世界にお返しします」


 ここに来て、東舞の思考回路が復活してきた。

 『お試し』通信販売でよく見かけるこの言葉に東舞は思わず引き込まれる。お試しならやる価値は大いにあると言えた。

 異世界を体験するのも悪くないだろう。


「1ヶ月転生している間、元の世界はどうなるんですか?」


「世界と異世界では時間の進みが異なるので問題ありません、世界での1時間=異世界の1日にあたります」


 問題なし。

 気に入らなければ、元の世界にいつものように戻れる。幸い、今は夏休み、夏の思い出としても損することはないだろう。



「わかりました。お試し転生をお願いします」

「了解しました、今度こそ良い旅を」

「ありがとうございます。あとぼくからも質問なんですが、あのゲームを作った会社・RGE・ってなんですか?」


 率直な疑問だった。何故、あの会社は転生する手段を知っていたのか。そうでなければ、こんなゲームは作れないだろう。少なくとも、転生に関わった何かがあるはずだと確信していた。


「……そう……ですね……『異世界から転生してきた人々が立ち上げた会社』ですかね」

「そいうことですか。納得しました」


 ズバリ的中だった。東舞の予想通り、転生者が存在していた。そこから考えると、これらの出来事の辻褄があった。


「お力になれて嬉しいです」

「じゃあ、行ってきます」


 今度は眩しい光が東舞を包んだ。



◇◇◇



「ん?」


 目を開けると、そこはあの真っ白な空間ではなく森の中だった。

 気温は25℃ぐらいだろうか。で暑いってわけではない。

 もう異世界に着いたのか、1ヶ月どうやって過ごそうか。体制を起こして自分の姿を見る。


「なんだこれ」


 フードが着いた黒いジャケットに黒いシャツ、黒い手袋、白いネックレス、ラインが入っていたり模様や色使いで多少の違いはあるようだが全身真っ黒だ。


 これで出歩くのかぁ?ちょっと恥ずかしいな…。

 だが、こんなところでは止まれない。この世界にいられる時間は1ヶ月しかないのだから。

 考えをまとめて、歩き出す。


 異世界と言っても、森を見る限りでは元の世界と何も変わらない。

 10分ぐらいは歩いただろうか、モンスターなどは見ていない。ひょっとしたらこの世界にはモンスターなどいないのかもしれない。

 そんなことをボヤいていたら、あっという間に森を抜けた。一面の地平線。爽快な風。目を疑うような景色がそこにはあった。


「ガルルルルゥ」


 後ろから妙な鳴き声がする。

 モンスターか?と振り返るとクマと狼を合わせたような獣が今にも襲いかかってくる勢いでこちらを見ていた。その姿は恐ろしいとしか言えない。

 大きさは3メートルを超え、頭には大きなツノが2本生えていた。到底、平凡人のトウマでは太刀打ちできない。


 目を凝らして見ているとモンスター説明(?)が現れた。



◆◆◆


【ベァーウルフ】 危険度・MAX


ムロク山に多く生息している。性格は獰猛で人間を見つければ躊躇いなく襲ってくる。

一方で、料理にするととても美味。


◆◆◆



 後に分かったことだが、この能力は『敵性てきせい』と言って、転生者ならば必ず持っているらしい。

 

 危険度・MAX?まだ序盤の序盤だろ?チュートリアルも終わっていないような状態だぞ。

 そんな中でいきなり、そんなの出てきても…。ってか美味ってなんだよ。

 一瞬気を抜くと、その隙をついて襲ってくる。


『来い!』


 必死に手帳を呼ぶ。この手帳に備わった能力の一つ、Lv改竄を使用するために。

 よし。Lv改竄!……しかし何も起こらなかった。

 現在のトウマは自分の装備でさえ、知識がない。つまり、Lv改竄の方法はなど知らない。

 困っているトウマにはお構いなしで襲ってくる。


「ガゥゥ」


 右腕を噛みちぎられる。傷口からは血は出ず、ビリビリっと歪んでいかにもゲームっぽい雰囲気がになるが、痛み本物だった。

 

 痛い・痛い・痛い・痛い・痛い・痛い・痛い・痛い・痛い・痛い・痛い。


 少しでも楽にすると意識が飛んで行ってしまいそうな痛みに襲われる。本当に痛いときは声も出ないらしい。

 ベァーウルフは出方を待っているのか、攻撃はしてこない。

 そしてわかる、あと一撃でも喰らえばゲームオーバーだ。ゲームでの死が元の世界でどうなるのかは、不明。コンテニューがあるのかもしれないが、その保証はない。

 ゲームオーバー・死という現実の前にトウマは何故か冷静に戻る。


「落ち着け、こいうときこそ冷静に」


 あえて声を出して自分に言い聞かせる。

 はっ、と大きくジャンプして距離をる。噛みちぎられた右腕は光の粒となって消えていた。

 だが、トウマはの右腕は戻らない。

 一呼吸おいて、思考を巡らせる。


 確か困ったときは、


『メニューオープン』


 メニューが開らかれるとすぐに左手で『ヘルプ』を押す。


『ヘルプ』

 困ったときに開くとその答えと最善の策を教えてくれる。


 ヘルプは『手帳を開いて、付属のペンでLv最大、右手回復という順に書き込め』と教えてくれた。

 手帳を地面に置いて指定された内容を慣れない左手で手帳に書き込む。字はとてもじゃないが読めるものじゃない。


 数秒後。

 右腕が完全に治り、オーラのようなものがトウマに纏わりつく。

 これがLv改竄の力か。ベァーウルフがまだ攻撃してこないのを確認してからメニューを閉じる。今までとは感覚が全然違う。

 いける。そう確信した。

 

 とった距離をいっきに詰めて正面パンチ。

 軽く殴った気がしたが、ベァーウルフは森の方向に勢い良く飛んでいった。木が『バキバキバキ』と薙ぎ倒される音がする。


「危険度・MAXが一撃かよ、チートすぎるだろ。だけど、あれが危険度・MAXなら向かうとこ敵なしだよな」


 あの巨体は肉片となっていた。念のためにもう一度、目を凝らして見る。



◆◆◆


【ベァーウルフ】 危険度・1


 ムロク山に多く生息している。性格は獰猛で人間を見つければ躊躇いなく襲ってくる。

 一方で、料理にするととても美味。

《+情報》

 多くの冒険者が初見ではやられてしまうため、『素人殺し』とも呼ばれいる。ベテランの冒険者からはただの肉。


◆◆◆



 先ほどの情報と比べると《+情報》というものが付け加えられ、危険度がMAXから1まで下がっている。

 「ん?」どいうことだ?確かさっきは危険度・MAXって書いてあったはずだが…。

 《+情報》には、ベテラン冒険者からはただの肉とあった。Lv改竄を行ったために危険度が下がり、新たな情報も手に入った。こう考えるのが妥当だ。


 まあ確認しに行くか。遠目で見ても状況が把握できないので殴った方向に向かう。

 

 そこには、綺麗な紫色の宝石が転がっていた。宝石を持ち上げるとアイテム説明(?)が現れる。

 これも後でわかったことだが、この能力は『鑑定・小』という能力ならしい。転生者どころかほとんどの人間が所持している能力だった。



◆◆◆


【ベァーウルフのツノ】 ☆3

 

 硬い強度を持つツノ。初心者の防具に好んで使用される。最近、需要が高い分、高値で取引されることも多くあるが、店舗によって差が大きくでる。


◆◆◆



「ツノ?宝石にしか見えないが…」


 アイテム説明にはツノと書かれるも、そこにあるのはただの宝石。姿形が先ほどのそれとはまるで違う。一応持っておくか。トウマはメニューを開いてからアイテムの項目にツノしまう。


 その後に自分の纏ったオーラが鬱陶うっとおしくなる。トウマは手帳を開き、ペンでLv15と書き込んだ。

 Lvの相場はわからないが、Lv1よりはマシだろう。それにステータス5倍もあるしな。

 全ての準備を終えて再び歩き出す。


 …ってどこに?

 ここでメニューを思い出す。

 確か、マップの項目があったはずだ。


『メニューオープン』


 もう一度、メニューを開く。マップの項目を押して、ここら辺の地形を確認する。


「近くにある村は…アスト村か。とりあえずはアスト村に行くか」


 目的地を決めて再出発する。



◇◇◇



「着いたぁ!」


 歩いて約30分、マップでは10センチの距離も歩けば30分だ。

 村の門を潜ると、活気のある声が聞こえてきた。どうやら市場のようだ。


「いらっしゃーい、安いよ安いよ」


「お、兄ちゃん見ない顔だねぇ」


「りんご買ってって〜、サビースするよ〜」


 愛想笑いをして市場を通り抜ける。言葉は聞こえる限りでは理解出来るようだ。


 取り敢えず拠点をこの村に置こう。拠点を決めたところで、ゆっくりと村を歩く。

 いろいろな屋台があり看板なども見える。字は日本語に近いがちょっと違う。日本語を崩したような字だった。読みにくいが読めなくはない。

 そして、建築物はコンクリートなどはなく、木造の建築物がほとんどだった。


 少し歩くと3階建ての宿屋が見えた。ここらの建物にしては豪勢な方だ。


『宿屋・明清みんしん


 明清か。1ヶ月間ここにいるわけでもないけど、少しの間ここに泊まるか…金はないが。一応、中に入って後払いだったら泊まるか。


「すいませーん。3日間泊まりたいんですけど」

「いらっしゃいませー。3日間ですね。ただいま確認して参ります」


 応答したのは、着物のような服を着た若い女性だった。20歳ぐらいだろうか。その姿はいわゆる、若女将というやつだろう。


「確認がとれました。302号室でしたら今すぐ用意できます」

「…後払いってできますか?」

「もちろんです。当宿屋は後払いが基本です」

「そ、そうですかぁ」


 ちょと安心した。もし先払いだったら今日は野宿になるかもしれなかったからな。でも、金を稼げなければ、ただの詐欺だよなぁ。きちんと稼がないと。


「あと相談なんですけど、お金が稼げるとこってありますか?」

「お金稼ぎですか。そうですねぇ冒険者ギルド…いえ、職場ということなら寄り合いギルドはどうでしょうか?」


 元の世界で言うタウンワークってところか。この世界にもそんなものがあるなんて、正直ビックリだ。アルバイトの経験は少ないけれど、なんとかやっていけるだろう。


「ありがとうございます。早速、そこに行ってきます。部屋は帰ってきた時に案内をお願いします」

「かしこまりました。いってらっしゃいませ」


 女将さんが冒険者ギルドといいかけて途中でやめたのは気になるが、寄り合いギルドに行って職を探すことにした。


次回は15時投稿です。

ブックマーク、評価・感想をお願いします。オネガイシマス…。

今度はしっかり投稿します!

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