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全要素を含めた異世界転生記録  作者: 東条李禹
2章 破滅と救済
11/11

#009 国の末路 (下)

いきなり二日連続投稿しました。

これからも頑張って行きたいです。

気づいた方いたかもしれませんがタイトルを変更しました。

内容には変更はありませんのでこれからもよろしくおねがします。


 謁見の間。ここはその名の通り、国王に謁見するためにある一室。トウマはモノロイド公国の国王に謁見し、この国の行く末を伝えるために来ていた。


「聞いて下さい国王!あなたは近い将来に伯爵位を剥奪される。そうなればあなたは富も名声も失ってしまいます。ですから、いまでの考えをあらため、他国との関係をより強固なものとしていかなければなりません」


 ストレートにお前は3年後に乱心するから早いとこ隠居しろとはいえない。ならば、他国と同盟を結び国王であろうともやすやすと戦争を引っ掛けられない状況を作り出すしかない。

 キルカにこのことを話したが、トウマの能力を知らないキルカは信じる様子もなく、どうしてもというならば……ということで急ぎで謁見の権利を与えてくれた。


「お前、聞くところによれば我が城で働いて執事だったそうだが、雇った恩を感じたりはせぬのか?勤めが終わってすぐに戻り、我を愚弄するとは万死に与えするぞ!たとえあのバカ娘のお気に入りだろうと関係ない……こやつを捕らえよ!」


 王の掛け声とともに数十名の兵がトウマを囲み槍を構えて近ずいてくる。

 トウマは身体能力を最大にまで手帳によって高めていたためにオーラを纏っていたが、さすが国王直属の兵というべきか、兵士たちは恐ることなくトウマとの距離を詰めていった。

 首元10センチほどまで槍が近ずいたところで声が掛かった。


「やめなさい!」


 それはよく知った女の子の声だった。

 キルカ・ドラーノ・モノロイド、この国の経済を牛耳っている天才少女。

 謁見の間に案内した後、キルカは何かトウマが国王の怒りをかってしまうのではないかと近くこっそりと聞き耳をたてていた。


「モノロイド公国第三王女キルカ・ドラーノ・モノロイドの名において命じます。武器をおきなさい兵たち」


 いくらキルカが権力を持っているとしても、国王の権力に劣ってしまう。トウマはそう考えていたが、次のキルカの言葉で兵たちは一斉に武器を落とした。


「さもなくば、私はこの国から出ていきましょう」


 これほどまでに、この国はキルカの頭脳に依存しているのか?そういわんばかりの光景だった。

 そして、数分の沈黙の後に国王が再び喋り出す。


「我が出すぎた真似をした、このものの話をしっかりと心に留めておく。それでいいだろ」

「ええ父上。トウマのいうことには少し反論したいところですが、他国との同盟を結び交易を行うのはとても利益があることだと思います。更にいえば、父上、あなたをこれ以上好き勝手に行動させるわけにはいきません」


 トウマがわざわざ遠回しに伝えようとしていたことをドストレートに投げ込んだ。

 さすがの国王もかなり顔を歪め、玉座に肘置き頭を抱えた。キルカは更に隠居してこの国から去って欲しいとまで伝えた。 

 そして、この国の次期国王に国王の兄、キルカのおじに当たるフルカート・バルン・モノロイドをという男を指名した。


「あんな腹違いのろくでなしを指名するか」


 うわぁといってしまいそうになったトウマだがそこはぐっとこらえた。キルカのいう通りにすれば多分うまくいくそう思った。

 だが自体はそう甘くなかった。あのときみた未来にはもう一人関わっている人物がいた。パンプロンというこの国の参謀に当たるブレイン。この男は隣国のエステール帝国と繋がっていて、密かに攻め込むチャンスをうかがっていた。


「パンプロンという参謀がいますよね?」


 キルカの言葉攻めがやんだところでトウマが割り込む。


「それがどうした?」

「彼はエステール帝国のスパイです。今すぐに彼を呼び出し、尋問してください」

「黙れ下民!我の配下まで愚弄するか!」

「呼び出してみればわかることです」


 そういっても国王はなかなか呼び出そうとはしなかった。

 また沈黙が続いた。そして──丁度いいところにパンプロンが国王のもとに訪れた。


「国王様、失礼します」

「なんだパンプロン⁉︎」


 予期せぬ偶然に驚きを隠しきれていない国王。

 続けざまにキルカがいった。


「あんたスパイなの?」

「へ?」


 パンプロンは変な声をあげていた。本心はきっと騒然としているのだろう。更にトウマが手帳によって精神支配マインド・コントロールを試みた。 

 本当になんでもありだよなとトウマは内心思っていた。


「もう一度いうわ。あなたは隣国エステール帝国のスパイなの?」

「はいそうです」


「「「なっ」」」


 その場にいた兵たちもかなり驚いていた。

 後に分かったことだが、精神支配マインド・コントロールには問いに正直に答えさせるぐらいしか強制力がなく、しっかりと自分をとらえている人には効くことはない。


「……それは本当なのか?」


 暗い表情で国王が問う。


「はい。私はエステール帝国騎士団第2参謀パンプロン・エステッロサです」


 その後パンプロンは捕らえられ、拘束され、ひとまず地下牢に入れられた。国を仕切っていた参謀がいなくなったこともあり城内は少し雰囲気が暗いが3年後の未来はこれ大丈夫だろう。

 これで心置きなく残りの転生期間を満喫することができる。城内の雰囲気とは正反対にトウマはとてもスッキリしていた。


「トウマ!やるじゃないの!」


 事後処理を終えたキルカが駆け足で寄ってくる。


「あなたのこと信じなくてごめんなさいね。でも、これで3年後の未来も安心ね。ありがと!」

「いやぁキルカがいてくれたおかげだって」


 その後二人はなんだかおかしくて暗い城内の中でめいいっぱい笑っていた。


ブックマーク・高評価おねがいします。ブックマーク・高評価おねがいします。

というわけで、また次回会いましょう。

次回はまた1週間いないに投稿します。

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