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アルバム
祐介を訪ねた日には決まって昔のアルバムを取り出す。
あまり多くの写真は残っていないが、
プルメリア時代の写真、江の島へ行った時のもの、ドライブ…
どの写真の中でも彼は幸せそうで輝いている。
別れは本当に突然だった…。
突然すぎて、もう何年も前のことなのに祐介との日々は昨日のことのように思い出せる。
それなのにそれが真実ではない気さえしてしまう…。
フランスに留学中に毎月手紙を送ってきてくれた。
男にしては几帳面な字で綴られた文字。
バイト代がいくら貯まったかの報告。
どのエリアのどんなアパートが良いだろうか。
来月はもっと頑張る。氷河期時代の入り口ではあったが就職が決まったなど嬉しいニュースが多かった。
故人を想うその時間にはどっと悲しみが運ばれてくる時もあるし
戻れない日々への喪失感に耐えられなくなる時もある。
また逆に彼の頑張りと希望からエネルギーをもらえることもあった。
何度見てもアルバム内の変わらない祐介が愛しく思える。
結婚を約束していた人…。
このアルバムには幸せのピークが色褪せずに残っているのだ。