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竜の娘と異世界目録  作者: 柚廻
竜の娘と世界の終末
8/11

8.冷酷無慈悲?いいえ、素敵お姉様です。

「あのにぇ、シアンはねせかいのしゅうまちゅをとめりゅためにせかいじゅにいきたいの!」


キリッと言ったつもりがいつも通り噛み噛みになった。解せぬ。

私の目的は自分が死ぬ未来を回避すること。生まれてすぐに死を宣告されたようなもんだからね。だから自分に出来ることなら世界の終わりだって止めてみせる…と意気込んではいる。


「何を言っているのだこの幼子は…」


「フハハハハ!!!世界の終末を止めるだと!?」


おじさん達は困惑した表情でこちらを見ていたかと思えば急に笑いだした。1人の笑い声に釣られたのかその他のおじさん達も笑い出す。

そんなに面白い事言ったかな?ずっと上ばかりを見ていると首か疲れてくるので下を向いた。そういえばヒーリスさんの声は聞こえないな。首はまだ疲れているので目線だけヒーリスさんに向ければ険しい面持ちでこちらを見ていた。ひぇっ!?ごめんなさい!何かよくわかんないけど変な事言ってすみませんでした!若干涙目になっているとヒーリスさんが口を開いた。


「貴様ら黙れ」


冷たい一言が私を馬鹿にするように笑っていたおじさん達に発せられた。たったその一言でおじさん達は顔を青ざめさせ何も喋らなくなる。


「おい、幼子。自分が何を言ったのか分かっているのか」


今度はこちらに冷たい視線が向けられる。何を言ったのか?いや見た目幼いけど中身は19歳だよ?何も分かってないわけじゃない。確かにこの世界には生まれたばっかりで分からないことも多いけど自分がしでかそうとしてることは父様からちゃんと聞いたんだから。

その意味を込めてコクりと頷く。

そうか…とヒーリスさんは小さくこぼし周りで未だ顔を青くさせているおじさん達を睨んで言い放った。


「貴様ら自分達のすべきことをしろ。私が貴様らに与えた仕事は幼子を弄ぶ様なものでは無い。さっさと出ていけ」


出ていけと言われた直後はっ!と綺麗な敬礼をとってからささっと部屋から出ていく。最後までおじさん達の顔は青かった。というか青白くなっていた気がしなくもない。


「さて、邪魔者もいなくなった所で話をしようか幼子」


先程浮かべていた冷酷なヒーリスさんはどこへ行ったのか今は穏やかな微笑を浮かべている。ふぁ!?直視できない!!さっきまでの冷たい態度が嘘のようです!女神様ですか!?

何気におじさん達を邪魔者扱いしているけどいいんですかね?あの感じからしてヒーリスさんの部下さんじゃないの?まあ、いいか。


「幼子。世界の終末の止め方は分かっているのか?」


優しーく聞いてくれるヒーリスさん。女神様ですね。


「とうさまにおしえてもらったよ!とってもむずかしいことで、できればそのやくめをシアンにはせおわしぇたくないってかにゃしいかおさせちゃった」


あの時の父様の顔は頭にこびりついて離れない。ホント今世でも私は親不孝者だ。

ちょっとしょげていると、わしわしとヒーリスさんに頭を撫でられた。慣れてないのか少し乱暴だけど優しいね。

思わずふふっと、笑ってしまった。


「”世界の終末を止める”それはこの世界の支配者になると同義である。そなたの父親が何者であるかは知らぬが、子にその責をおわせたくはないであろうよ」


確か父様も世界樹の管理者は秩序だとか言ってたなー。世界の秩序が人なら、その人が世界を支配してるも同然ってことか。何となく分かったけどやっぱりスケール大きすぎてイメージつかないね。


「して、支配者になる覚悟は出来ているのか」


引き締まった顔、有無を言わさぬ力強い瞳、圧倒される雰囲気。柔らかいヒーリスさんはなりを潜め出会った時の厳しげなヒーリスさんに戻った。


「支配者とは世界を統べるもの。生半可な覚悟でなろうとしたとなれば、各国の反感を買い死に行くだけだぞ。それほどの覚悟が幼子、貴様にはあるか」


ゴクリと思わず息を飲んだ。勿論事の重大さを理解していなかったわけでも、管理者になるということを軽んじていた訳でもない。しかし改めて他者から現実を突きつけられると重みが違ってくるものだ。

私は、ただ、生きたいだけだ。黙って指をくわえて世界が終わりゆくのを見届けるなんて言語道断。絶対に足掻いてみせる、父様にそう誓った。だから…


「ある」


断言できる。

私はヒーリスさんの目をしっかりと見据えて言った。ほんの少しでも目を逸らせば押し負ける。勝負をしている訳では無いけど、ヒーリスさんと真剣勝負をしているような心持ちにさせられた。

睨み合うこと数秒。思ったりよも短い時間だったようだけど、自分的には数分睨み合ってた気がする。ヒーリスさんがくっと笑みをこぼした。


「ならば見届けさせてもらおうか。このスカティア王国軍司令部監督リオンディア·ヒーリスそなたに付き従おう」


………え?…一体どういう事ですか?王国の軍隊の監督で?私に付き従う????ちょっとキャパオーバーですねー。もう一度言うよ?…一体どういう事ですか?

私の前で膝をつき頭を垂れたヒーリスさん。サラリと顔に影をつくる銀色の髪が素敵ー。キャーそんな人に頭下げさせてるなんて私何してんのさー(棒)。

んで何言ってるのかな、ん?付き従うとは何かな?HAHAHA、笑えない冗談だ。

大事なことだから3回言うよ。…一体どういう事ですか?






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