このわたしを生け捕りに?
くぐもった銃声が、耳鳴りの向こうに聞こえた。
何かが、わたしの体にのしかかってきた。
まだよく見えない目をしばたきながら、のしかかってきた物体を手探りで確かめた。それは人間の体のようだった。板のような物が詰まった服を着ていた。顔に生暖かい物がかかるので、わたしは悲鳴を上げながらその体を押しのけた。
顔がある筈の場所には手ごたえがなく、わたしはぬるりとした生暖かい穴に指を突っ込むことになった。
わたしはパニックになった。手に肉片が残った。わたしはもう理解していた。それは破壊された脳のかけらだ。
わたしは背中を丸めて、少し吐いた。夕食を食べていないので、なにも出てはこずに、喉がやけただけだった。
静かになって目が慣れると、床には三つの死体が転がっていた。ゴーグルとマスクで顔を隠した、黒づくめの男たちだった。
それとは別に、ガラスが割れた窓の所には、ロープに絡まった三つの死体がぶら下がっていた。ゼリーみたいな血が、塊になってぼたぼたと床に落ちた。
メリッサは、それらの死体が床につく前に、空中で射殺したのだ。
床に敷かれたテラコッタが、赤い液体を吸い込んでいた。
わたしは、メリッサの姿を探した。
メリッサは、ソファの陰に屈んだまま、窓の外を警戒していた。
足元には、円筒形の物体が転がって、ぶすぶすと薄い煙を立ち上らせていた。
「閃光手榴弾よ……このわたしを生け捕りにするつもりだったのかしら。舐められたものね」
左手の肘から先がなくなっていた。メリッサは腕を失くしているのに気にする様子はなく、鼓動のたびに血が噴き出す切り株を添えて、銃を支えていた。




