8)新入生歓迎会4
どうも8番目の執筆者、立待月です。
企画に参加するのはこちらで二つ目ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。
文章は短めで申し訳ありませんが、その分内容に力を入れたつもりです。
俺が心の叫びを上げた数分後、壇上では会長が堂々とした振る舞いでスピーチを行っていた。
新入生代表となっている俺はというと、壇上の端の方でパイプ椅子に腰掛けている。
会長の前には俺と同じ新入生――具体的な人数はわからないが相当多くの数――が彼女の言葉を静聴。
しかし慣れたものだな。あれだけ大勢の前で物怖じもせずに、すらすら言葉を発するなんて。正直すごいと思う。いや、会長だから当たり前か?
一生徒としてスピーチを聴いているが、他人事ではないのだ。
これから俺があそこでスピーチすると考えただけで、緊張して汗が止まらない。
ヤバイ、頭の中が真っ白になりそう。
そんな時だった。
ピトッと俺の左手に何かが触れた。
「大丈夫だよ」
左に顔を向ける。俺の手に触れていたのは三津山副会長の白い手。
一瞬ドキッとしたが、それは確かな温もりを持っていて何故だか安心できた。
「わたしもあの場に立ったら姫乃ちゃんのようにうまく話せる自信はないし、ううん……副会長というのは名ばかりで、もしかしたら生徒会の中でも一番下手かもしれない」
そんなことはないでしょう、と言いたかった。少なくとも生徒会で経験を積んでいるのだからと。
だがその前に副会長が口を開く。
「わたしね。姫乃ちゃんに憧れ……っていうのかな、そういうの似たものを抱いてたの。それで生徒会に入ったんだけど、失敗ばかりでね。姫乃ちゃんの前の会長さんに何回も怒られて、今度からは気をつけようと思って仕事するんだけど……空回りしちゃって」
過去を懐かしむような瞳。
想いを伝えてくれようとしている。俺は黙ってその言葉に耳を傾けた。
「そんなわたしを見かねて、なのかな。姫乃ちゃんが、人前で話す仕事を全て引き受けてくれたの。でもそれは、ホントはわたしがやらなくちゃいけなくて、そうじゃないとわたしは何時まで経っても“わたし”のままだから。けど勇気がなくて、姫乃ちゃんには申し訳ないと思ってる……って、わ、わたし何言ってるんだろう」
言ってあたふたと顔の前で両手を振る。
「つ、つまり何が言いたいのかっていうと、わたしに比べれば全然大丈夫だよってこと」
いまいち何が大丈夫なのかわからなかったが、気づけば身体がすっと楽になっていた。
「ありがとうございます、三津山副会長」
「ううん、わたしはただ……たっちーには頑張ってほしいなって思っただけだよ」
「あなたまでたっちーっていうんですか!?」
くすくすと笑う副会長。
脱力しながら視線を前に向けると、丁度会長のスピーチが終わったところだった。
『それでは次に新入生代表の言葉です』
「頑張ってね」
三津山さんにエールを送られ、俺は堂々とした足取りで前へ出た。




