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7 )新入生歓迎会3

どうも、院試で忙しい江波憐です。


私が書くべきものは卒論であって、リレー小説ではない?


え、あっ、そうなんだよー。

助けてよ。


体育館は既に新入生で溢れていた。それなりに豪勢な食事の置かれたテーブルを囲い、いつ始まるのかと楽しそうにしている。

 その中には執事服やメイド服に身を包んだ給仕がいる。恐らくはイベント好きの先輩たちだろう。


 俺と星宮先輩はそんな体育館の壇上裏の小部屋で待機している。


「……。あの、星宮先輩。一言良いですか?」


「ん? 何だ。緊張を解く方法でも教えて欲しいのか。そうだな、烏姉妹に弄られれば……」


「そんなこと聞いてませんし、その解決方法もおかしいです。死にます。そうじゃなくて、アレなんですか? 聞いてないんですけど」


 俺は賑やかな同級生たちを指差す。

 そう、そこでは新入生がイベントを大いに楽しんでいるのだ。ただし、俺を除いて。


「ああ、あれか。もちろん新入生歓迎会だ。君も知ってるだろう?」


「いや、そういう訳じゃないんですけど。なんで俺はここにいるんですかね?」


「そりゃあ、君が裏生徒委員会に所属しているからだ」


「星宮先輩、失礼します」


 新入生の輪に入るべく急いで体育館の壇上裏から出ようとしたが、そうは問屋が卸さない。扉から出ようとしたところを、突如として床に叩きつけられた。正確には頭上から降ってきた夜蛇先輩の襲撃を受けた。

 そして、もがいて逃げ出そうとするところを素早く手足を縄で縛られる。


「逃がすと思ってるの?」


「逃げられると思ってるの?」


 くっ、この二人がいるのを忘れてた。ていうか、いつの間に現れた。つい今までいなかっただろ。


「離してください。俺は皆とワイワイしたいんだ」


「入学式であんなに目立ってた奴が何言ってるんだか。諦めろ」


 首根っこを星宮先輩に掴まれて、引きずられながら元の場所へと運ばれる。

 地味に段差が当たって痛いんですけど。


 ガヤガヤと一方的に揉めている中、部屋に二人の生徒が入ってくる。


「あら? たっちーくんが縛られてる。もしかして、そういうこと?」


「景理。それは流石に……」


 言わずもがな、生徒会長と副会長だ。


「ふむ、それもありかもな」


「結構です」


「それは残念だ」


 本当に残念がってはいないだろう。だって、あんなにニヤついている。


「さて、私たちはそろそろ歓迎会の開会式始めるけどそちらの準備はできているのかしら?」


「たっちーが逃げなきゃ大丈夫だ」


 星宮先輩が俺を突き出しながら、行って来いと合図する。それを見て会長と副会長は笑顔で壇上へと足を運んで行った。


 助けてくれよ、生徒会。あんたら俺も新入生だぞ。


 そんな心の叫びは当たり前ではあるが遂には二人には聞こえなかった。

 俺の扱い酷くない?


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