彼女の過去
「私が住んでた国も日本という名前だった。
同じ名前の国でも、私の世界の日本は守られてる街以外、魔物が支配していて、移動でさえ大変よ。」
僕の大好きな彼女の事。初めて知る事の話が大きすぎる…。
「魔物って、よくゲームとかであるような?」
「そう。こっちの世界ほど科学技術は発展してないけど、あっちの世界には魔法もあるの。」
魔法って…。本当にゲームみたいだ。
「それで…、君は何でこっちの世界に来たの?」
僕は最初の方から思ってた疑問をぶつけた。彼女がこっちの世界に来た理由はなんなのだろうか。
「私は、未来が読める神子だった。
だから、私は大事にされて外出すらさせてもらえなかった。
でも、大きくなって初めて外に出してもらって魔物と戦ったの。
でもその魔物は戦闘中に進化して、私の住んでいた街を壊したわ。
私を残して。」
彼女は辛い幼少期を過ごしていたようだ。それにしても、魔物一体で街を壊滅させるなんて…。
「その世界の魔物は全部そんな強いの?」
「そんなことないわ。その魔物は最強種で、三本の指に入る強さの魔物だったの。」
さすがに、全ての魔物が強いわけではないようだ。
「街を壊されてどうしたの?」
「私はしばらく行くあてもなくさまよった。お金も持ってなくて、宿にも泊まれないし。
それで、そのときに見たの。 近い将来、魔物が世界を壊滅に陥れる夢を。」
「それで、君はどうやってこの世界に来たの?」
「私は宿にも泊まれず、ご飯も食べられなかった。その時見えたの。この世界にあなたがいて、私の世界を助けてくれる人があなただったの。」
「私は最後の力を振り絞ってこの世界に転移した。その時の影響で、神子の力は使えなくなってしまったけど。」
いったい、この話を聞いてどれくらいの人が信じるだろうか。
完璧に、どこかの小説でよんだような話。
でも、僕はこの話を嘘だと思えない。他人事ではない気がする。
「それで、正式にお願いするわ。逸見くん、私の世界を救って下さい。」
僕にも疑問はある。
「質問させて。
僕が君の世界に転移したあと、この世界の僕はどうなるの?」
「命を投げ出すと植物人間状態になるの。
私の世界はあなたの世界の平行世界のようなもの。転移したあとは、肉体だけは残るから、植物人間になる。」
そうか。向こうの世界に行って帰ってくる方法を手に入れたらかえってこれるのか。
「最後にもう一つ。僕はそんなに凄い人間じゃない。そんな僕が君の世界を救えるとは限らない。それでも、僕でもいいの?」
「あなたは普通の人間よりもなにかを持った人間。だから、私はあなたを信じるわ。」
「僕でいいのなら…。僕は君の世界を救いたい。元の世界にかえってこれなくても。」
「本当にいいのね?」
「かまわない。」
「最後に、なにか言いたいことはある?」
「…。そういえば君の名前って…?」
「私の名前は…、ニゲラ。ニゲラよ。」
ニゲラか。そっか。
「じゃあ私の世界に飛ばすわ。」
ありがとう。僕の世界。
次回の投稿は明日の20時頃を予定しています。