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連投二話目です。
深い深い、どこまでも深い森。
不思議な色合いをした空の下、広大という言葉がしっくりとくる辺り一面に広がる深い森。
そんな森の中にある、小さな、けれどどこまでも澄みきった泉。
泉にはどこからともなく、さらさらと清廉な水が流れ込み、その清らかな水で育まれた青々とした水苔に覆われた泉には、多種多様な生き物が水を求めやってきてはその体を休めている。
鬱蒼とした、どこまでも木々が生い茂る深い森の中にもかかわらず、その泉には柔らかな日の光が差し込み、その日差しに照らされた泉はキラキラと輝き、なんとも幻想的な様相を呈している。
そんな泉のほとり。
そこに不可思議な現象が現れる。
辺りにいた動物たちもそれに気付き、泉の水を飲むのどを休め、その首をもたげ注意を向ける。
岸に近い水面。
その水面からわずかに離れた空中。
何もないはずのその空間に淡い光がにじみ出でて来るかのようにじわじわと大きくなっていく。そのどこまでもやさしげな光は、瞬くように明るくさが変化し、それを繰り返すたびに明るさが増していく。
動物たちはそれを不思議そうに見つめている。
しかしそれを見て恐れを抱くようなそぶりは見せない。
それどころか自分の子供を見つめるかのようにやさしい目をしてその光を見つめている。更には泉のほとりにはどんどんそんな動物たちが集まってきていて、普段なら追いつ追われつ、食うか食われるかの争いをしているはずの動物たちですら……、互いの存在に気を留めることすら惜しいかのごとく、目の前のその現象に心を奪われているように見える。
その光は淡い淡い白に近い緑色をしていて、やさしさにあふれた光は見る者の心をなんとも幸せな気分に浸らせてくれる。
癒しの光。
そんな言葉がぴったりなその優しい光がついにその瞬きをおさめ、それと共にその光の中心に何か小さな存在の影が見えて来る。
影の形はまるで小さな子供のように見える。とは言っても赤子の姿というわけではなく、それはある程度成長した……そう、歳の頃なら7、8歳。身長は1mを少し超えたくらいだろうか? しかし、よく見れば人とは違うところをそこかしこに見つけることが出来る――。
その小さな存在は、小さな腕で膝を抱えるようにして繭のように丸くなって浮かんでいる。そう浮かんでいるのである。一体どのような力が働いているのか? そしてその体からは最初ほどではないものの相変わらず優しい光があふれ出ていて、まるで自身を守るかのように周囲と隔絶した空間を創り続けている。
突然、その存在の周りにまた二つの輝きが現れる。小さな存在よりもさらに小さな輝き。それはまるで小ぶりな星のように、かわいい小人のような子供の周りを蛍のように飛び回る。まるでその小さな存在の誕生を祝福しているかのように。
誕生。
そう、その小さな存在、その人の子供の姿をしたその存在は、今、まさしく誕生したのかもしれない。
周りの動物たちはその様子を静かに、まるで我が子が誕生したかのように慈しみを込めた優しい目で見守っているのだった。
読んでいただきありがとうございます。
三話もよろしくお願いします。