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他の作品が終わってない。
けど新た書いてしまいました……。
あまり長くないお話の予定です。
僕には双子の妹がいる。
でも妹は僕と違って外で遊びまわることは出来ない。
病室の窓から寂しそうに外を見ている妹を見ると僕まで悲しい気持ちになる。
小さい頃は違った。
どっちかといえば僕より妹の方がお転婆で、僕がはしゃぎまわる妹を抑えるほうにまわってたくらいだ。パパやママもそんな妹には困ったような顔をしてたけど、それでもいつもニコニコとしたお顔を僕らに見せてくれてた。
とっても幸せだった。
二卵性の双子として生まれて来た僕と妹。
「りんちゃん、りなちゃん」
「あ、ままー!!」
お庭で遊んでた僕たちをママが呼んだ。我先にと駆け寄る僕たち。
しゃがんで僕たちを優しい笑顔で迎えてくれるママ。
飛びつくように抱き付く僕たち。そんな僕たちを両手で抱きかかえ、それからゆっくり優しく頭をなでてくれるママ。
でもそんな幸せは僕たちが小学校三年生になったとき、突然終わりを告げた。
「りなちゃん!」
いつも一緒に遊んでた僕の前で突然苦しそうに胸を押さえて倒れた妹――。
僕はそんな妹、りなちゃんの体をゆすり、泣きながら声をかけ続けた。
「りなちゃん! どうしたの、りなちゃん! ねぇ、りなちゃん! おきてよー!」
僕の泣き叫ぶ声は、僕の声に驚いて駆け寄って来たママが来ても、倒れてるりなちゃんを抱きかかえてお家の中に戻ってからもずっと収まることはなかった――。
僕はただただ怖かった。
いつも一緒。生まれてからずっと一緒にいた妹がいなくなってしまうんじゃないかと……。不安で、怖くて、怯え……ずっと泣き続けてた。
原因不明の病におかされた僕の双子の妹。
りなちゃんはすぐ、近くのおっきな病院に連れていかれてそのまま入院した。心臓が悪いってことは聞かされたけど……、まだ小さかった僕にはよくわからなかった。
僕はママと一緒に毎日お見舞いに行って、りなちゃんを元気付てあげてた。
一人寂しそうにベッドで寝てるりなちゃん。
かわいそうなりなちゃん。
僕が変わってあげれたらいいのに……。
妹が心臓の病気で入院して三年の月日が流れた。
僕たちは中学に進学する歳になったけど……、妹、理菜は相変わらず外に出ることは出来ず、当然中学に進学することも出来ない。ずっと病室暮らしで日に当たることのない理菜の肌は真っ白で透き通るかのようにきれい。でも触れれば壊れてしまいそうでちょっと悲しい気持ちになる。
その日も僕は学校が終わると一目散に理菜のいる病院に向けて足を運んでた。
早く行かないと理菜のやつにふくれた顔をされていろんなスイーツを買わされる羽目になってしまう! 僕はそんなことを考え、理菜のかわいらしい表情を想像するとつい気持ちが緩んでしまい、どこか集中を欠いてしまってたんだと思う。
僕が病院の直前、大通りの横断歩道に入った時。
信号はすでに赤になってた。
でもそれでも車の信号はすぐには青にはならない。
僕は気付かず横断歩道を渡ってる。
そして――――
まだ短い僕の人生は、その先を刻むことなく――
突然の終わりを迎えた。
読んでいただきありがとうございます。