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俺と友人と真夏の同窓会

作者: 熊野こずえ

殆ど会話文です。

「茄子はいい、茄子は許す」

「ほう」

「きゅうりは無いわ」

「何でだよ?」

「こんな細いの、乗りづらいだろ!」

「えー……」

「絶対に落馬すんぞ、こんなん」

「じゃあ何ならいいんだよ? 茄子オンリーか?」

「いや、それは寂しいからな……。人参とか?」

「馬の好物を馬に仕立てるとはな」

「人参の前に人参ぶら下げるとか新しくね?」

「てか、人参じゃ固くて割り箸刺さらねえよ」

「そこはほら、柔らかくすんだよ」

「どうやって?」

「じーっくりことこと」

「……煮込んだにんじん?」

「イエス」

「乗ってる最中に型くずれしなきゃいいな」

「おっと……そうか、それはアカンな。駄目だ。ノーセンキューだ」

「そういや今度、鈴木が会いに行くって行ってたぞ」

「マジで?」

「最近忙しくて全然行けなかったからーって」

「あー……そうだな、そういや顔見てねえわ」

「お土産はワンカップでいいかって言ってたが」

「そこは大吟醸でお願いしたい!」

「凝りねえな、お前も」

「だって好きなんだもんよー」

「また階段から落ちるぞ」

「落ちない落ちない。俺を誰だと思ってんだ?」

「アホ」

「うん、だろうな。予想はしてたさ」

「アホに予想されるとは……俺もまだまだだな」

「どんだけだよ。……つーか、久々に会ってもこんな話とか、本当に変わらねえなあ、俺たち」

「いや、変わってないのはお前だけだろ」

「はは、そうだな。お前は来月結婚だもんなー」

「羨め、大いに羨め」

「おう! 大いに怨やんでやるよ!」

「待て、何か今、何かが違う気がしたんだが」

「ははっ、気のせいさ」

「お前が言うと洒落になんねえよ」

「ま、本当におめっとさん。式には出れないが草葉の陰から見守っていてやるよ」

「そうしてくれ。……まだ時間とか平気なのか?」

「ん? あー……混んだら嫌だし、行くかな」

「やっぱ混んでるのか」

「おう、すっげえぞ。寝ないようにすんの必死だ」

「お盆の醍醐味だと思って諦めろ」

「そうしとくわ、じゃあなー」


 そう言って友人は帰っていった。

 俺は火の始末を済ませて、家の中に戻る。


 来年は茄子ときゅうりと、あとは人参を買っておこうと思った。



 END.


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