オープニング
どうぞ、ごゆるりとしていってください。
やぁ、ようこそ、僕のお店、『J.J』へ。
突然の質問だけど、この世に完成されたものってあると思うかい?
…………。
うん、解らないって言う人もいたし、在るって堂々と答えた人もいたよ。
そう、この質問に答えは無いんだ、悪いね。
でも僕としては……完璧なんか無い方を望みたいな。
……何故かって?
その方が、可能性に満ちていて素晴らしいと思わない?
――これは 『14の指輪』 を巡る、醜い争いの物語――
戦う理由?
俺にはないな。
だが、戦う意味はある。
ん?
あぁ、解ってる、飲むよ。
…………。
……人のためだろうと、それは戦う理由になりえるんだ。
――選ばれた14人が争う、美しくも汚い物語――
ハハ、面白いことを問うんだね、君は。
でも……その質問には答えることは出来ないんだ。
私はその答えを出すために、駆け、走っているのだから。
世界は思いの他、『情』重視だよ。
――真実を紐解き、正悪を叫び合う物語――
完成されたモノが無いように、完成されていないモノもない。
それが俺の自論だ。
定義なんて無いだろうよ。
己が決め、己で動き、己を発する世界が、そこにはあるんだ。
――少年が成長し、彼女が存在の意味を知る物語――
…………。
……。
なぁ、私は……やはり君を護りたい。
たとえ君が必要としていなくても、この気持ちは変わらない。
うん、解ってる。
けどね、僕も貴女と一緒に戦いたいんだ。
…………。
行こうか。
……何処へ、と聞いてもいいか?
『かつて』を認め、『これから』を作り出せる場所へ。