世界最大級MMORPG
本編サイバーゲームとは、出来る限り毛色を違う感じにしたいと思うので、本編のような流れを期待しないようにしてください。
最も、本編の雰囲気を真似できる程、作者は器用ではありません。
所々の矛盾点や強引な設定はありますが、お祭り的作品だと思い、するーしていただければ幸いでもあります。
勿論、作者として精一杯そういう事のないよう努力はしていきます。
――夏。照りつける太陽が、否応なしに暑さを忘れさせない。
この日は、今年最高の暑さと言われる程の暑させあり、練習試合と称してワタルとヒロキは、いつもの何もない殺風景な公園にいる。
「――無理だよ、兄貴。この暑さで運動なんてしたら死んじゃうよ……」
「あぁ、全く同感だ。これを見越してか、かなっぺも、トーコも、結衣も、みんな今日の練習を受け流しやがった……」
「いや……僕も断ったんだけど?」
「お前はオレサマの道連れだ、ヒロキ」
「そんなぁ……」
ヒロキはともかく、さすがのワタルでさえも動く気力が無くなる程、今日の気温は高い。その場にいるだけで、体を燃やし尽くされるような暑さである。日陰にいてもその暑さが変わる事はない。
「兄貴……」
「ん……?」
「帰ろうよ……」
「そんな事言っても、暇でしょうがないんだぁ!」
暑さを吹き飛ばすように、叫んでみたものの、余計に暑くなるだけで状況は変わらない。
「でも、ここにいたら身体的に危ないよ。せめて空調の利いた所に行こうよ」
「うーん……クーラーとかって体に良くないから嫌なんだよな」
「兄貴、わがまま言わないで……」
ヒロキの説得もあり、とりあえず場所を移動する事に決まる。立ち上がってはみたものの、結局はどこに行く、という話になり立ち往生になる。
「あ、いたいた。こんな暑いのに試合なんてやってるの!?」
「……うっせーよ!」
ワタルとヒロキを見つけて、かなが声をかけてくる。お気に入りの白いワンピースを着ているかなは、いつもとは違う印象で清楚な感じを受ける。その後ろには、麦わら帽子を被った結衣がついてきている。
「あの、おはようございます。ワタルさん、ヒロキさん」
「おうっ!」
「おはよう、織部さん」
簡単な挨拶をする三人。かなはワタルとヒロキを見て、現状を解析していた。
「なるほどね。暇でしょうがない、って感じね。ワタル君のわがままにヒロキ君が付き合ってるってわけね」
「ハハハ、ご名答です……」
「そういう、かなっぺは、何か暇つぶしのアイディアとかあんのかぁ?」
「うーん、かなと結衣ちゃんは、今ショッピングからの帰りで、実はする事が無くなっちゃったんだよねぇ。強いて言うならゲームなんてどう?」
かなの提案に、思い思いの表情を見せる。特に嫌な表情を見せたのはワタルである。
「てか、オレサマはゲームってやらないぞ?」
「えぇ、嘘!? この時代にゲームやらない人間っているんだ?」
「そりゃいるだろうよ……最近のゲームはゴチャゴチャしてるし、面白そうなのも無いしな」
「そうかじゃあ、かなのオススメするゲームはもっとできそうもないね」
ワタルの発言を聞いて、かなは考え込むように目を瞑っている。ワタルとヒロキは既にダウン寸前。結衣もどうするべきか、あたふたしてるだけである。
「とりあえず聞いておくよ。何だ、そのオススメゲームって?」
「んー、いや、今考えたんだけどね、オススメしたは良いけど、基材揃えるの大変かなって」
「何だよ、高いのか? 良いから聞くだけ聞いておくよ。何とかなるかもしれないだろ」
「まぁゲーム機にソフトも必要だから、安くはないよね。一応名前は教えておくけど『サイバーゲーム』っていう、ネットゲーム。俗に言うMMORPGってやつだね」
このゲーム名に食いついたのはヒロキである。目を輝かせて、かなに話しかける。
「サイバーゲームってあのサイバーゲームですか!? 世界最大級のMMORPGであり、一千万人以上の人がプレイしているっていうあの!?」
「お、さすがヒロキ君。博識だねぇ。そう、そのサイバーゲームなんだけど、アルベルト・リングっていう最新ゲームハードを手に入れないといけないのよね……」
「……あぁ、そうでしたね。アルベルト・リングは社会現象にもなって、今でも入手困難は続いてますもんね。お金の問題もあるし、何よりも人数分のハードを用意するのが大変、か」
「……その話を聞くと、かなっぺは何とかリングってのを持ってるし、そのゲームをやってるって事だよな?」
落ち込むヒロキに対して、傍観していたワタルは鋭い指摘をする。
「うん、そうだよ。かなはサイバーゲームをプレイしてるし、アルベルト・リングは初回生産時に徹夜して勝ったもん」
この発言に反応したのは、今までワタル以上に傍観していた結衣である。
「あれ、という事は、かなさんの自宅にあった、あの機会がアルベルト・リングというゲーム機械ですか?」
「うん、できればみんな誘ってプレイしたかったけど、思い返してみたらハードを手に入れるのが困難だし、嫌がらせみたくなっちゃうかなって思ったから黙ってたんだった……」
「……あの、多分ですけど、確信は無いですけど……もしかしたらアルベルト・リングを手に入れる事ができるかもしれません」
結衣の発言に、全員が驚きの表情を見せる。何よりも結衣の提案というのが、めずらしいという事もある。
そして結衣は白い紙に、何かを描き始める。何を描いているのかは、すぐにはわからなかったが、その正体は少しずつ明らかになってくる。
「……できました。お願い、出てきて!」
結衣は自分で描いた、その絵に願いを込める。するとその紙の上に輪っか状の物が具現化されていく。その光景を三人は固唾を呑んで見守る。
「……できました。アルベルト・リング……」
「え、そんなのありなのか!?」
「と、いうよりもアルベルト・リングを描くってだけでも凄いのに、具現化まで」
「す、凄いよ、結衣ちゃん!」
結衣の手の上には、具現化されたアルベルト・リングがある。
「あとは人数分のハードを出せれば良いってわけだ。トーコの分もいれてあと三個か……できそうか、結衣?」
「はい、ワタルさん。要領はわかりましたから、できると思います」
――こうして世界最大級MMORPG「サイバーゲーム」をプレイする事になる、マックスハートメンバー達。入手困難なアルベルト・リングを、結衣の能力でもある絵の具現化で人数分を手に入れ、あとは登録などを済ませるだけである。




