表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
く:紅  作者: 竹野千代
1/1

く:紅

この身を染めるは紅。

秘めた罪のいろ。

浴びた血の重み。

穢れた想いの集積。

我が身に纏うは紅。



物言わぬ冷たい骸。

最も愛したひと。

憧れであり尊敬であり崇拝であり――

――それ故に

止めてしまわねばならなくなってしまったひと。



最も尊い貴殿。

貴殿の何よりの信頼。

貴殿の曇りのない笑み。

貴殿の望む理想の未来。

貴殿の見詰める眸の優しさ。

貴殿の隣に位置する権利。

――貴殿の躰中を暖かく流れる血の全てを。



――強過ぎる想いは、敬愛の域を越えてしまった。

愛しい。愛しい。愛しい。

尊敬致しております。(だから貴殿に触れたい)

崇拝致して止みません。(だから貴殿に口付けたい)

           (だから貴殿の総てを開きたい。心も。躰も)

叶えられぬのは必至。ならば

――止めてしまうまで。



一番の腹心の私に、貴殿は油断した。

向けた刃を謀叛とだけは捉えて欲しくなかった。

囁いて。

その肚に刃を突き入れた。

貴殿には届いた筈。

血塗れた私の愛の睦言。



何より愛しい貴殿を抱き締める。

躰中から失われてゆく血潮。

          力。

          温もり。

愛したひと。

手に入れたかったひと。

この様な形でなく。



流れる血を総て受け止める。

貴殿の清らかな血が痛く自分を蝕む様に。

貴殿の躰中を気高く流れていた血の全て。

貴殿はもう、物言わぬ静かな塊。

愛していた。

愛している。

…………愛している。



内側より滲みたる、昏い紅。

鬼に明け渡した魄。

顔を隠した夜叉の相。

閻魔に委ねた行く先。

死をしか標さない、我が背負いし紅の闇。



――この身は永劫に地獄の深淵を這う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ