第四十七話:古代の転移ゲートと、氷の研究所
青の島の遺跡で発見した古文書。
そこには、驚くべき事実が記されていた。
「……転移ゲート?」
「はい。聖都、闇の揺り籠、そして北の要塞。この三つの拠点は、地下深くで繋がっているようです」
クラウスが解読した内容によると、古代人はメンテナンス用に、三都市間を瞬時に移動できるゲートを設置していたらしい。
「これを使えば、北の要塞の『内部』に直接侵入できます」
「なるほど! 正面突破が無理なら、裏口から入ればいいってわけね!」
私は手を叩いた。
街を壊す必要はない。敵の懐に飛び込んで、システムを乗っ取ればいいのだ。
「ただし、ゲートの出力が不安定です。送れるのは数名……精鋭のみかと」
「上等よ。少数精鋭でカチ込むわよ!」
私はメンバーを選抜した。
私、クラウス、賢者、レオナルド、ルナ。
そして、ゲートの制御と魔法火力担当として、ソフィアとリリス。
「S.G.(長男・次男)は残って。もし失敗した時は、あんたたちが住民を避難させなさい」
「承知した。……死ぬなよ、シャルロット」
「ジェラールも残ってね。あんたが行くと足手まといだから」
「ええーっ!? 僕も活躍したいのに!」
文句を言う王子を無視して、私たちはゲートの前に立った。
古びた石のアーチが、青白く発光し始める。
「行くわよ! 敵の喉元に噛み付いてやる!」
私たちは光の中に飛び込んだ。
***
視界が晴れると、そこは極寒の世界だった。
壁も床も、全てが氷と金属で覆われている。
吐く息が白い。
「……寒っ! 何よここ、冷凍庫?」
「北の魔法要塞……かつて魔導士たちが禁忌の研究を行っていた場所ですね」
リリスが周囲を見渡して呟く。
無機質な通路。点滅する魔導ランプ。
人の気配はないが、何かが動く音が聞こえる。
**ガシャン……ガシャン……**
通路の奥から現れたのは、機械と生物が融合したような異形の怪物だった。
合成獣だ。
「侵入者ヲ排除シマス」
「うわ、趣味悪い!」
私が顔をしかめると、賢者が前に出た。
「燃やしていいか?」
「ダメよ! ここは精密機器の塊なんだから! 壊さずに無力化しなさい!」
「ちっ、注文が多いな」
賢者が不満げに拳を振るう。
レオナルドが盾で攻撃を防ぎ、ルナが関節を狙う。
私たちは連携してキメラを撃退し、奥へと進んだ。
目指すは最深部、メインコントロールルーム。
そこに、全ての元凶がいるはずだ。
「待ってなさい、星の代弁者。
あんたの『正義』がどれほどのものか、私の『欲望』で値踏みしてあげるわ!」
氷の迷宮を、熱い殺意(商魂)を燃やして突き進む。
世界の命運を賭けた、最後の商談が始まろうとしていた。
***
**【本日の営業報告】**
**文責:クラウス**
* **売上:** 0ゴールド
* **移動手段:** 古代転移ゲート(運賃無料)
* **到着地点:** 北の魔法要塞(旧・魔導研究所)
* **敵対勢力:** 自動防衛システム、合成獣
* **所感:** 寒冷地手当を申請したいところですが、今は生き残ることが最優先ですね。
**【クラウスの一言メモ】**
この研究所の設備、解析すれば莫大な特許収入が見込めます。
……お嬢様も同じことを考えているようで、キメラを倒すたびに「素材回収!」と叫んでおられます。
(第四十七話 完)




