第四十五話:楽園の正体と、逆恨みの魔導士
ワイバーンに乗って数時間。
私たちは、地図にない島「青の島」に到着した。
外周は険しい断崖絶壁だが、内側には美しいカルデラ湖と、緑豊かな森が広がっている。
「うわぁ、綺麗! まさに楽園だね!」
ジェラールがはしゃいでいる。
「……嫌な魔力を感じるわ」
リリスが眉をひそめる。
私たちは湖畔に降り立った。
キースが先導し、森の奥にある遺跡へと向かう。
「ここです。世界の終わりの震源地は」
遺跡の最深部。
そこには、空に向かって禍々しい光を放つ、巨大な魔法陣が描かれていた。
そして、その中心に一人の男が立っていた。
「……ようこそ、僕の『終末ショー』へ」
男が振り返る。
眼鏡をかけた、神経質そうな青年。
見覚えがある。
第41話の婚活で、私が「童貞は間に合ってる」と切り捨てた、魔法学園の秀才だ。
「あんた……確か、No.3の?」
「名前を呼べ! 僕は**アレン**だ!」
アレンは叫んだ。
「あの日、君に振られてから、僕は絶望した!
愛も、希望も、未来もない! ならば、こんな世界ごと消えてしまえばいい!」
逆恨みだ。
あまりにも個人的で、あまりにも迷惑な動機。
「だからって、隕石落とすことないでしょ!?」
「うるさい! 僕の計算では、あと24時間で巨大隕石が直撃する!
君も、君の商会も、あのバカ王子も、みんな仲良く消し飛ぶんだ!」
アレンが高笑いする。
魔法陣が輝きを増し、空が赤く染まり始める。
本気だ。こいつ、本当に世界を終わらせる気だ。
「……面倒くさいわね」
私はため息をついた。
S.G.のような大物ならまだしも、こんな小物に世界を滅ぼされるなんて、商人のプライドが許さない。
「総員、制圧!
ただし、あの魔法陣は壊さないで! 解析して、逆に利用してやるわ!」
私の号令で、仲間たちが動き出した。
ジェラール王子も「僕のハネムーンを邪魔するな!」と剣を抜く。
世界を救うための、最後の戦いが始まった。
***
**【本日の営業報告】**
**文責:クラウス**
* **売上:** 0ゴールド
* **敵対者:** アレン(元婚活候補者・逆恨み)
* **危機:** 隕石落下まであと24時間
* **所感:** 「振られた腹いせに世界を滅ぼす」。……若さゆえの暴走とはいえ、迷惑料はきっちり請求させていただきます。
**【クラウスの一言メモ】**
アレン氏の魔法陣、構造自体は独創的で素晴らしいです。
彼を更生させて、ウチの技術開発部にスカウトするのも一興かと。
(第四十五話 完)




