第三十四話:金を食う怪物と、金を撃つ悪女
結婚式という名の茶番劇で、私たちは50億ゴールドを稼ぎ出した。
S.G.の戦争ビジネスを潰し、さらに利益まで上げる。完璧な勝利だ。
……と、思っていたのだけれど。
「な、なによあれ……」
私は呆然と空を見上げた。
暗黒帝国軍の陣地から、巨大な影がせり上がってくる。
それは、全身が黄金でできた、巨大な龍のような機械兵器だった。
だが、ただの機械じゃない。
その口がガパッと開くと、周囲の空間が歪み始めた。
**ゴゴゴゴゴ……!**
凄まじい吸引力。
戦場に散らばっていた剣や鎧、そして兵士たちが持っていた財布の中身(金貨)が、次々とその口に吸い込まれていく。
「お、俺のヘソクリがぁぁぁ!」
「剣が! 剣が吸われる!」
兵士たちの悲鳴。
そして、吸い込まれた金属や金貨は、機械龍の体内でエネルギーに変換され、背中の砲塔が赤く輝き始めた。
「……おい、クラウス。あれは何?」
「……推測ですが、S.G.の切り札『経済破壊兵器』かと」
クラウスが顔をしかめる。
「周囲の貴金属や貨幣を強制的に徴収し、それを破壊エネルギーに変換する。……まさに、富を食い荒らす怪物です」
「はあ!? 何それ! 最低じゃない!」
私は激怒した。
金をエネルギーに変える? それは私の『黄金の盾』のパクリじゃない!
しかも、他人の金を勝手に吸うなんて、泥棒よりタチが悪い!
**ズドォォォォン!!**
機械龍が咆哮と共にビームを放った。
山が一つ消し飛ぶ。
威力も桁違いだ。あれを撃たれたら、せっかく稼いだ50億も灰になる。
「……許さない」
私は拳を震わせた。
正義のためじゃない。平和のためでもない。
私の金を、私の商売を邪魔する奴は、神だろうが悪魔だろうが許さない!
「クラウス! 『ガトリング金貨砲』を用意して!」
「……お嬢様。あれを使うおつもりですか? 一発につき金貨百枚を消費する、燃費最悪の兵器を」
「構わないわ! 稼いだ50億、全部弾丸に変えて撃ち込んでやる!」
私は叫んだ。
金は使うためにある。
そして、最大の使い道は「敵をぶっ殺す」ことだ!
「総員、援護! あの金食い虫をスクラップにして、中の金を回収するわよ!」
「おうよ!」
「了解!」
賢者が飛び出し、ルナが影に潜む。
クラウスが巨大なガトリング砲(金貨装填式)をセットする。
「装填完了。……発射準備よし」
「やっておしまい!」
**バララララララララ!!**
黄金の弾丸が、雨のように機械龍に降り注ぐ。
金貨の一枚一枚に、私の殺意と商魂が込められている。
食らえ、S.G.。
これが「資本の力(物理)」よ!
***
**【本日の営業報告】**
**文責:クラウス**
* **売上:** 0ゴールド
* **経費:** 弾薬費(金貨数千万枚……集計中)
* **交戦相手:** マネー・イーター(S.G.製・自律型徴収兵器)
* **所感:** 金を撃ち出して金を奪う。……ある意味、究極の投資活動と言えるかもしれません。
**【クラウスの一言メモ】**
お嬢様がトリガーを引くたびに「死ね!」「落ちろ!」「金返せ!」と叫んでおられます。
……教育係として、言葉遣いを矯正すべきか悩みますが、今はその鬼気迫る姿に敬意を表します。
(第三十四話 完)




