表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は性悪執事とお金に溺愛される ~皇女の身分を捨てて商売を始めたら、国家予算レベルの資産と最強の夫が手に入りました~  作者: 蒼山りと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/51

第三十二話:開戦の狼煙と、泣きついてきた元婚約者

 暗黒大陸の港湾都市「デッド・エンド」。

 船を降りた私たちは、号外を配る少年の声に足を止めた。


「号外! 号外だ! 戦争だぞ!」

「……戦争?」


 私が新聞を受け取ると、一面にデカデカと見出しが躍っていた。


**『暗黒帝国、ローゼンバーグ王国へ侵攻開始!』**

**『平和の国、滅亡の危機!』**


「……始まったわね」


 私は舌打ちをした。

 暗黒帝国。S.G.が裏で操る軍事国家だ。

 奴は戦争を起こし、武器と魔石の需要を吊り上げるつもりだ。典型的な「死の商人」の手口。


「お嬢様。ローゼンバーグ王国といえば……」

「ええ。あのバカ王子の国よ」


 その時だった。

 港の隅にあるゴミ捨て場から、ボロボロの男が這い出してきた。


「しゃ、シャル……!」

「……ジェラール?」


 そこにいたのは、かつての煌びやかな王子様ではなかった。

 服は破れ、顔は煤まみれ。見る影もない。

 彼は私の足元に這いつくばり、泣き叫んだ。


「助けてくれ! 僕の国が! 美しい僕の国が、野蛮な帝国に焼かれてしまう!」

「……あんた、生きてたのね」

「なんとかね! 魔王軍の輸送船に密航して戻ってきたんだ! ……頼む、シャル! 君の力で国を救ってくれ! お礼なら、僕の体で……」


 ジェラールが服を脱ごうとする。

 私は冷めた目で彼を見下ろし、そして――


「……ふふっ」


 にっこりと笑った。


「いいわよ、ジェラール。協力してあげる」

「ほ、本当かい!?」

「ええ。だって……**『亡国の悲劇の王子』って、人気出るのよ**」


 私の言葉に、ジェラールが固まる。


「……え?」

「国が滅びかけの王子。傷つき、泥にまみれながらも民のために戦う王子。……最高の商品コンテンツじゃない!」


 私は電卓を弾いた。


「あんたの涙、今なら一本一万ゴールドで売れるわ。写真集も出しましょう。『亡国の憂い』ってタイトルで」

「き、君は悪魔か!?」

「商人よ。……それに」


 私は新聞を握り潰した。


「S.G.の思い通りにさせるのは癪だわ。奴が戦争で儲けようとしてるなら、私はその戦争を『エンターテインメント』に変えて、奴のシナリオをぶち壊してやる」


 私は仲間たちに指示を出した。


「総員、作戦開始!

 クラウスは物資の買い占め! 戦争特需を先取りするわよ!

 賢者とレオナルドは前線へ! 暗黒帝国の軍隊を『演出(物理)』で足止めして!

 ルナとソフィアは広報活動! 『可哀想なジェラール王子』を全世界に配信するのよ!」


「「「了解!」」」


 ジェラールが呆然としている。


「ぼ、僕は……?」

「あんたは主役よ。泥まみれで泣いてなさい。それが一番売れるから」


 こうして、私たちは戦争に介入した。

 正義のためではない。

 S.G.への嫌がらせと、莫大な興行収入のために。


***


**【本日の営業報告】**

**文責:クラウス**


* **売上:** 0ゴールド(先行投資中)

* **契約:** ローゼンバーグ王国救済(興行)契約

* **主演男優:** ジェラール王子(役作り不要、素で悲劇的)

* **敵対勢力:** 暗黒帝国(S.G.傀儡)


**【クラウスの一言メモ】**

お嬢様の「戦争をエンタメにする」という発想。

不謹慎極まりないですが、S.G.の「戦争をビジネスにする」という手口への、強烈なアンチテーゼになっています。

……毒を以て毒を制す、ですね。


(第三十二話 完)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ