表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は性悪執事とお金に溺愛される ~皇女の身分を捨てて商売を始めたら、国家予算レベルの資産と最強の夫が手に入りました~  作者: 蒼山りと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/51

第三十話:決戦前夜のホストクラブ(経費で落ちますか?)

 S.G.との全面対決が決まった。

 普通なら、作戦会議を開いたり、武器を調達したりするところだ。

 だが、私は違った。


「さて、ではまず英気を養わないとね」


 私は真紅のドレスの裾を翻し、夜の街を見下ろした。


「『女傑、色を好む』よ」

「どういう意味なのです?」


 純白のドレスを着たソフィアが、きょとんとして首を傾げる。

 ルナが彼女の肩に手を回し、ニヤリと笑った。


「ふふ、ソフィアちゃんには早かったかな? 大人の遊びよ♡」

「お嬢様。まさか……」


 クラウスが嫌な予感を察知して眉をひそめる。

 私は高らかに宣言した。


「行くわよ! この街で一番高いホストクラブへ! 今夜は朝まで飲み明かすわよ!」


***


 最高級ホストクラブ「クラブ・エデン」。

 シャンデリアが輝く店内には、選りすぐりの美男子たちが揃っていた。


「いらっしゃいませ、プリンセス」


 現れたのは、この店のNo.1ホスト、ヒカル。

 金髪碧眼、甘いマスク。ジェラール王子を少しマシにしたような男だ。


「君のような美しい花が、この店に咲くのを待っていたんだ」

「あら、お上手ね」


 私はVIP席に座り、ドンペリ(最高級シャンパン)を注文した。

 ポン! と景気のいい音が鳴る。


「君の瞳に乾杯」

「君のためなら、世界を敵に回せるよ」


 ヒカルの甘い言葉攻め。

 ソフィアは「ひゃあ……!」と顔を真っ赤にして固まっている。

 ルナは「へえ、悪くないわね」と別のホストを侍らせて楽しんでいる。


 だが、私は冷静だった。

 グラスを揺らしながら、ヒカルを見つめる。


「……ふーん。で、年収は?」

「え?」

「資産運用はどうしてるの? 老後の計画は? まさか、その顔だけで一生食っていけると思ってるわけじゃないわよね?」


 私の現実的な質問に、ヒカルの笑顔が引きつる。


「い、いや、僕は今を生きる男だから……」

「ダメね。将来設計が甘すぎる。顔面偏差値はAだけど、信用格付けはDよ」


 私はダメ出しをした。

 その時、店の奥から怒号が聞こえてきた。


「おいヒカル! 今月の利息、まだ払ってねえだろうが!」


 強面の男たちが乱入してきた。借金取りだ。

 ヒカルが青ざめる。


「ま、待ってください! 今夜の売上で払いますから!」

「うるせえ! 今すぐ払え! さもなくばその綺麗な顔を……」


 借金取りがヒカルの胸ぐらを掴む。

 ……興醒めだ。

 せっかくの「大人の遊び」が台無しじゃない。


「……いくら?」

「あ?」

「こいつの借金、いくらなのよ」


 私が聞くと、借金取りは「五千万ゴールドだ」と答えた。


「……ふん。安いものね」


 私は懐から、魔法の巾着袋を取り出した。

 そして、袋の紐を解き、逆さまにする。


 **ジャララララララッ!!**


 黄金の滝が、ヒカルの足元に降り注いだ。

 五千万ゴールド分の金貨が、床に散らばり、光を反射して輝く。


「ほら。拾って払ってきなさい」


 私は扇子で口元を隠し、冷ややかに見下ろした。


「まるで鳥にパン屑をやるみたいで、いい気分だわ」


「なっ……!?」


 ヒカルは顔を真っ赤にし、唇を噛み締めた。

 プライドがズタズタに引き裂かれる音が聞こえるようだ。

 だが、彼は震える手で、床の金貨を拾い始めた。

 生きるために。


 借金取りたちは、その異様な光景と金額に圧倒され、金貨を受け取ると逃げるように去っていった。


「あ、貴女は……女神様ですか?」

「いいえ。悪徳商人よ」


 私はヒカルの顎をクイっと持ち上げた。


「勘違いしないで。これは『投資』よ。あんた、顔と接客スキルは悪くないわ。今日から私の商会で働きなさい。借金分、きっちりこき使ってあげるから」

「は、はい! 一生ついていきます!」


 ヒカルが私の足元に跪く。

 また下僕が増えた。

 ……はあ。結局、私は「選ぶ側」にはなれても、「愛される側」にはなれない運命なのかしら。


「お嬢様。そろそろお時間です」


 クラウスが時計を見る。

 遊びは終わりだ。


「ええ。行きましょうか」


 私は立ち上がった。

 英気は養った(主にストレス発散で)。

 次はいよいよ、本番だ。


「待ってなさい、S.G.。あんたの『死の商人』としてのプライド、私がへし折ってやるわ」


 私たちはホストクラブを後にし、暗黒大陸行きの船へと向かった。

 背後には、新たな下僕(元No.1ホスト)を引き連れて。


***


**【本日の営業報告】**

**文責:クラウス**


* **売上:** 0ゴールド

* **経費:** シャンパン代、ヒカルの借金肩代わり(計6000万ゴールド)

* **獲得人材:** ヒカル(接客スキルA、金銭感覚E)

* **所感:** お嬢様の「男を見る目」が厳しすぎて、婚期が遠のく音が聞こえます。


**【クラウスの一言メモ】**

ソフィア様がホストの甘い言葉を真に受けて、「私、お嫁に行きます!」と言い出さないかヒヤヒヤしました。

彼女には早急に「男の嘘を見抜く講座」を開講する必要があります。


(第三十話 完)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ