表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は性悪執事とお金に溺愛される ~皇女の身分を捨てて商売を始めたら、国家予算レベルの資産と最強の夫が手に入りました~  作者: 蒼山りと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/51

第二十四話:黄金の演説と、熱狂する信者たち

 聖都中央広場。

 そこには、この街に住む富裕層たちがすし詰めになっていた。

 彼らの視線は、大聖堂のバルコニーに立つ私に注がれている。


 私はマイク(魔導拡声器)を握り、深呼吸した。

 さあ、ショータイムだ。


「聖都の諸君! 賢明なる投資家の皆様!」


 私の第一声に、広場が静まり返る。


「先日の魔物襲来、怖かったでしょう? 祈っても神は助けてくれなかった。奇跡は起きなかった。……なぜか?」


 私は一呼吸置き、言い放った。


「**対価コストを払っていなかったからよ!**」


 ざわめきが広がる。


「タダより高いものはない。無料の救いなど、不良債権と同じです!

 ですが、安心なさい。私が開発した新システム『黄金のゴールド・イージス』は違います。

 これは、あなた方が支払った金貨を、直接防御力に変換する。つまり、**『払った分だけ確実に守られる』**、極めて公平で、合理的で、美しいシステムなのです!」


 私は背後の巨大な装置を指差した。

 黄金に輝く塔。その投入口には『現在レート:金貨一枚=防御力10』と表示されている。


「おおお……!」

「なんてわかりやすいんだ!」

「金さえ払えば死なないのか! 最高じゃないか!」


 民衆の目が輝き始めた。

 彼らは元々、高額な入国税を払ってでも安全を買おうとした人々だ。

 「金で解決する」という提案は、彼らの哲学そのものなのだ。


「さらに! 本日はスペシャルゲストをお呼びしています!」


 私が合図すると、隣にソフィアが進み出た。

 純白のドレスに身を包んだ、伝説の初代聖女。

 彼女はおずおずと手を振り、マイクに向かって言った。


「えっと……みなさん、こんにちは。初代聖女のソフィアです。

 ……あの、このシステムは凄いです。私の命を削らなくてもいいし、何より……**課金するとキラキラして楽しいです!**」


 ソフィアが満面の笑みで、自分の財布から金貨を投入口に投げ込んだ。

 **キュイーン!**

 塔が光り、空に美しい結界の波紋が広がる。


「うおおおおお! ソフィア様万歳!」

「俺も課金する! 俺の金でソフィア様を守るんだ!」

「私財を投げ打てぇぇぇ!」


 熱狂。

 広場は興奮の坩堝と化した。

 人々は我先にと金貨を投げ込み、結界はかつてないほど強固に輝き始めた。


「……ちょろいわね」


 私はマイクを切り、小さく呟いた。

 隣でアリスが、飛ぶように売れる「ソフィア様アクリルスタンド」の在庫を補充しながら苦笑している。


「あんた、教祖の才能あるわよ。私が霞んじゃうじゃない」

「あら、あんたも儲かってるでしょ? ウィンウィンよ」


 私は広場を見下ろした。

 そこには、金と欲望と、そして奇妙な安心感に満ちた「資本主義の楽園」が完成していた。


「……でも」


 私は空を見上げた。

 聖都の空は青い。

 だが、この世界はもっと広い。

 ジェラールが飛んでいった暗黒大陸。父王が支配する帝国。そして、まだ見ぬ市場マーケット


「ここはもう、私のテリトリーね。……そろそろ、次の『カモ』を探しに行こうかしら」


 私の呟きに、クラウスが恭しく一礼した。


「お供します、お嬢様。……世界の果てまで、集金に参りましょう」


 聖都編、完結。

 そして物語は、さらなる混沌と利益を求めて、新章へと突き進む。


***


**【本日の営業報告】**

**文責:クラウス**


* **売上:** 測定不能(『黄金の盾』への課金額が毎秒更新されているため)

* **獲得称号:** 聖都の救世主(兼、支配者)

* **ソフィア様の評価:** 「課金って楽しいですね! クセになりそうです!」……教育的指導が必要です。


**【クラウスの一言メモ】**

お嬢様の演説中、皇帝陛下が変装して最前列でペンライトを振っておられました。

「娘が輝いている……!」と号泣されていましたが、警備の賢者に「邪魔だ」と小突かれていました。


(第二十四話 完)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ