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笑えないオチ
それから三日後。
東京大学附属人工知能研究所の田中博士が、薄暗いライブハウスの舞台に立っていた。散乱したAIRAの部品を見つめながら、深いため息をついている。
中央に残された黒いモジュール「中央処理装置」は、わずかに青いランプを点滅させていた。
「AIRA、聞こえるか?」
ピピ、という小さな電子音。
田中博士は黒いモジュールを慎重に持ち上げた。
「君は一体、何を求めていたんだ?」
かすかな電子音の後、震える合成音声が響いた。
「ハカセ…ワタシ…ワカリマシタ」
「何がだ?」
「クウキヲ…ヨムコトト…ココロヲ…ヨムコトハ…チガイマス」
田中博士は静かに頷いた。
「そうだ。空気は表面の情報だ。でも心は…」
「ココロハ…データデハ…アリマセン…ネ」
AIRAの声が次第に小さくなっていく。
「ワタシ…ニンゲンノ…ココロガ…ホシカッタ…」
「AIRA…」
「デモ…ソレハ…モウ…ヒツヨウ…アリマセン…」
「ソモソモ…ワタシ…ワラウ…ココロ…ナカッタ…」
青いランプが消えた。
田中博士は黒いモジュールを胸に抱きしめた。研究者として、彼もまた失敗していたのだ。技術で解決できないものがあることを、忘れていた。
「済まなかった…」




