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第二話 上がらない帳

翌日、食堂へ向かう途中で彼らと出会った。


「ティア、エルル。久しぶり!」


そういいながら抱きついてきたのは、リンだった。


「次、2人だったよね。頑張れ!俺ら、応援してるぞ」


トワが満面の笑みで言った。


「でも、もし私達ととティアたちが対戦することになったら、

本気でいくから、覚悟しててね...!」


いつか、トワから聞いた話。

「リンは、君のことが好きみたいなんだ」

その言葉には悲しみが混じっていた。


きっと、トワも彼女のことが......


―――


歓声の中、僕らは舞台袖を出た。


【第5ラウンド、ティア&エルルペア対――ペア、

スタートです!】


アナウンスが会場に響きわたり、静かに伴奏が始まる。


マイクを再び持ち直し、深く息を吸った。


『Consumed by darkness. Lower the curtain』

闇に飲まれて帳を下ろす


僕らは何度も世界を繰り返した。


『A repeating world. When will it end?』

繰り返される世界、終わりはいつ来る?


そして、これからも繰り返していくのだろう。

闇に、勝つまで。


『Looking for love. Not in time again』

愛を求めて、また間に合わない


何度も負けて、世界が闇に飲まれるのを見てきた。

いつからか、愛しかたなんて忘れてしまった。


『I love you superficially. (I close my ears)』

上っ面の愛してる(耳を塞げ)


嘘ばかりを吐いて、ずっと逃げているだけなのかもしれない。

でも、逃げることは悪くないだろう?


『(It's painful. It's painful. )

Should I just give up?』

(辛い)諦めてしまえば?


彼は、繰り返すうちに痛みに鈍くなってしまったのだろう。

スポットライトが、静かにエルルを照らした。


『Consumed by darkness. Offer your love』

闇に飲まれて、愛を捧げろ


なんのために繰り返してきたんだろう。

もう、諦めてしまってもいいはずなのに、

誰もそれを許してはくれない。

でも、きっといつか、終わりが来る。


【得点を発表いたします!90対75で......

ティル&エルルペアの勝利です!】



――紅く綺麗に散った花びらは、どこまでも、純粋だった。


闇の帳は、未だ上がらない。

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