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第一話 Are you ready?

「Are you ready?」


その声が響いた瞬間、世界の色が変わった。


龍の歌声で、世界樹を癒す。

だが、その権利を手にするには、戦わなければならない。

8組のうち1組の勝者だけが、光の舞台を手にする。

敗者は削除──すなわち、死を迎える。


僕は、観客のざわめきの中、ステージへと足を踏み出した。

隣にいるルナの手が、ほんのわずか震えている。

半年間、練習を重ねた。

みんなで支え合って、励まし合って、ここまで来た。


でも今、目の前にいるのは、かつて笑い合った仲間たち。


そして、アナウンスが響く。


【第1ラウンド、ティア&エルルペア VS カルマ&ヴァルツペア。

シンフォニー・コンサート、開幕です!】



僕らの足音に合わせて、重く、静かに音楽が始まった。


『Are you ready?There's no turning back.

Make the decision.』

準備はいい?

後戻りはできない、覚悟を決めろ


観客席から、人間たちの視線が突き刺さる。

そこには、慈悲も迷いもない。

スポットライトが冷たく、体を照らす。


それでも、

僕たちは歌う。


『Kick them down!Think only of winning.』

蹴落とせ、勝つことだけを考えろ


エルルが息を吸い、僕は目を閉じる。

思い出すのは、練習室で笑い合った日々。

でも、今はそれを忘れなくちゃいけない。


『If you don't want to die, sing!

Take the Glory.』

死にたくなければ歌え、栄光を奪い取れ


目を開けると、カルマが鋭い視線でこちらを睨んでいた。

背後にはヴァルツ。冷静で、何かを達観したような顔。


負けたら、死ぬ。


その事実が、胸に焼き付いて離れない。


『Follow your instincts!

To welcome tomorrow』

本能に従え、明日を迎えるために



僕らは声を重ねた。


そしてーー


【得点を発表いたします!74対72で......

ティア&エルルペアの勝利です!】


その瞬間、歓声が響き渡った。

マイクを思わず強く握る。

勝った、勝ったんだ。


ふと、カルマの方を見る。

それに気づくと、にっと笑って、グッドポーズをした。


【それでは、敗退のカルマ&ヴァルツペア、退場のお時間です!】


カウントダウンをお願いします、と会場に響き渡った瞬間、体が震えた。

2人の顔が引きつっているのがわかる。


【「5!4!3!2!1!!」】


その声の後、2人の首に着いていたチョーカーが、警告音を鳴らし、血飛沫で紅く染まった。



拍手が、会場を包んで、歓声が巻き起こる。


なぜこんな状況で、喜んでいるのか理解出来ない。

勝ったことに少しでも喜んでしまった自分を、今すぐ殴りたかった。



その後、僕らは自室に戻ってきた。


空気が重い中、エルルが沈黙を破った。


「やっとここまで来れたんだ。勝ててよかった」


その言葉は上っ面だけで、目が全然笑っていなかった。


「ルナ......」


「勝たなければ、俺たちが死ぬんだ。それだけは、絶対に避けたい」


その言葉は、酷く現実味があって、自分がいかに楽観的であるかを思い知らされた。


「リリ、これは仕方無いことだ。僕らが闇を倒せば、彼らの死も、無駄じゃなくなる」


ルナの言う通りだった。

世界を救うためには、彼らを、大切だった仲間を、蹴落とすしかないんだ。


「リリ、これはその過程に過ぎない。だから、僕らが気に病むことは無いんだ」


その声は酷く優しくて、胸が痛くなった。


その時、横にあったモニターに突然映像が映し出された。


【それでは、得点を発表いたします!82対75で......

リン&トワペアの勝利です!】


勝ったのは、幼なじみのペアだった。

幼い頃から、僕らはいつも一緒だった。

胸の奥がぎゅうっと、締め付けられるようだ。


「このまま勝ち進んでいけば、2人と......」「対戦することになる」


初めて言葉に出した現実は、冷たく、残酷だった。

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