96 ダンス
どうぞよろしくお願いします。
「じゃあ、アルベルトとペスカが踊ったら、次予約な」
ヨシュアが楽しそうに言った。
まあ、アルベルトさんとヨシュアぐらいなら大丈夫だろう。
何かって?
まあ、失敗しても大目に見てもらえるってことだよ。
アルベルトさんとアリエスさん、戻ってこないな……。
周囲を伺うとアリエスさんのお友達に囲まれてる。
あー、いいね! アリエスさん、グッジョブ!
そこへキャロラインさんがステファン第2だっけ? 第2王子を連れて入って行った。
おー、モリソン男爵家、ちょっと目立ってるかも!!
でも、モリソン商会としては人脈を広げるの、いいことだよね。
……私、仕事しなくても大丈夫そうじゃない?
誰もいないソファ席で給仕さんが取り分けて持って来てくれた食べ物をぱくついていた。
ローストビーフにサラダになんかカナッペとか言うんだっけ……。なに、これ、すっごくうま……。
ロマーナ先輩とパトリシア先輩が戻ってくる。
「ペスカちゃん、踊ろう」
ロマーナ先輩に誘われる。
「嫌です」
パトリシア先輩が笑った。
「ペスカは俺に厳しいよな……」
「そうじゃなくて、ダンス、まったくの初心者なんです!
そのことを知ってくれている人じゃないと安心できないというか……」
そうだよ、王弟殿下の足踏んだらまずいでしょっ!?
「なら大丈夫だよ、今知ったから」
パトリシア先輩も「少々足を踏んでも大丈夫だから」と苦笑いする。
「じゃあ……、本当に初めてのダンスですので、足踏んだらごめんなさいっ!」
ロマーナ先輩とホールに出た。
うわ、緊張する。
曲が変わった。
「良かったね。踊りやすいスローな曲だ」
「はい……」
私はロマーナ先輩と組み合った。
「……カウントとったほうがいい?」
「出だしだけでもお願いします」
ロマーナ先輩がくすっと笑った。
「本当に緊張しているんだ。
では、1,2,3、1,2,3、1,2,3、はい!」
カウントのおかげですんなり踊り出すことができた。
お姉様方と踊っていたのと違って、すごく、踊りやすい。
リードが上手い? 力強いからかな?
「上手上手、その調子」
慣れてきて足元を見なくても踊れ、にこっと微笑む。
「楽しくなってきた?」
「はい!」
ロマーナ先輩、上手だな。
ああ、えっと、ロマ……なんだっけ? 王族としての名前?
「……ロマーナ先輩、上手ですね」
「やっと認めてくれたか、ペスカ」
曲が終わる頃、近くにヨシュアがやってきた。
「ありがとうございました」
私は膝を曲げて踊るように礼をしながら伝える。
ウインクされた。
そしてヨシュアを見て言った。
「ヨシュアは俺よりずっと初心者だから!」
「ロマネス!」
ヨシュア、少しムッとしてる。
「ははは、気をつけて!」
ロマーナ先輩が席に戻って行くのを見送る。
「何でロマネスと?」
「アルベルトさん、戻ってこないし。
誘われて、初心者だからって断ったんだけど、大丈夫って。
とても上手でカウントも取ってくれたし、踊りやすかったよ」
「……男の前で、他の男を褒めるのはやめた方がいいよ」
「そうなの? んーでも、本当のことだよ」
グイっと身体を引き寄せられ組み合う。
こうしてみるとヨシュアも背が高いよな。フレイより高いかもしれん。
まあ、ダンスはロマーナ先輩の方が上手だった。足、踏まなくて本当に良かった……。
読んで下さり、ありがとうございます。
ロマーナ先輩、意外といい人?




