64 お父さんとお父様
どうぞよろしくお願いします。
次の日の午前中、私とマリアとヨシュアは竜舎に向かう。
新しいお父様を改めて紹介するんですよ。
マリアには『お父様』とお呼びするように! と言われたけど……。
んー、なんか、まだ、んー。
竜舎の前の運動場の柵のところにエースがいた。
フレイに会いに来たのかな。
フレイとオーバは運動場の中でなんかしてた。
あ、フープ投げしてた。
オーバ、あれ、やりたかったんだ!
ジェラルドさんがジョイを竜舎から出しているところだった。
「ジェラルドさん! ジョイ! おはようございます」
エースもこちらに走ってきた。
「ご紹介します。
私の新しい義父のジェラルド・ハウアーさんです。
元竜騎士団長です。
えーと、お父さん!」
ジェラルドさんがちょっと驚いた表情をしたが、微笑んでくれた。
「ペスカ! お父様でしょ!」
マリアに指摘され、しどろもどろになる。
「え? あ、うー、お父……様……、う」
ジェラルドさんが笑う。
「ペスカ、無理はしなくていい。
今までのように名前でもいいし、何でもいいよ」
「あ、私……。
じゃあ、お父様って呼んでもいいですか?
考えてみたけど、お父さんはレミ村のお父さんで。
ジェラルドさんもお父さんなんだけど……、お父様!」
「何だい? ペスカ」
「はい、改めて、友人を紹介します。
同じ女神寮のマリア。
同じ男爵令嬢でした! これからいろいろ教えてもらう予定です。
お家にも遊びに行かせてもらってて、お姉さんがふたりいるの。アルベルトさんに紹介する!」
「そりゃいい!! マリアさん、どうぞよろしくお願いします。
私も娘を持つのは初めてで……、ぜひ御両親にお会いしてみたいものです。よろしくお伝え下さい」
マリアが微笑んで軽く礼をした。
「こちらも同じ女神寮のヨシュア。
私の代わりにフレイのヒーラーをしてくれたの。
お父様が竜騎士団長をしていた頃を知っているんだって!」
「ヨシュア……さん。
そうですか。竜騎士に興味があったのですね。
どうぞよろしくお願いします」
「はい、ジェラルドさん、と呼んじゃっていいのかな!?
これからもどうぞよろしくお願いします」
ヨシュアはうれしそう。
「こちらが教区が同じノア村のイエッサン。エースと呼ばれています。
魔神寮の魔法騎士です。
仲良くしてくれているの。
フレイがダン村、エースがノア村、私がレミ村」
「ああ、あのきれいな3つの村だね。
エース、これからもペスカとフレイをどうぞよろしくお願いします」
「はい、ペスカとフレイとは、スキル判定の時に友人になって……。一生を付き合う友だと思っています。どうぞよろしくお願いします」
エースが真面目な顔で言ってくれた。
一生を付き合う友。いい言葉。私もエースと、……フレイとそうありたい。
「クエッ!」
ジョイが鳴いた。
「お父様の相棒のフレイムドラゴン、ジョイです!
私のこともすごく守ってくれるんだ! やさしいし!
乗せてくれて、すごく……、あ……」
ジョイが私の頭に頭でぐりぐりしてくる。
「頼りになるけど、ちょっといたずらしてくる時もある、オーバより大人なドラゴンだよね」
「クエッ!」
ジェラルドさんをいつの間にか自然にお父様と呼べるようになっていた。
マリアのおかげかな。
「午後、マリアと王都に出てきます。
レミ村の幼馴染の働いているお店がわかったの!」
「ひとりで大丈夫か?」
「僕も一緒に行きますから、大丈夫です」
ヨシュアが言うと、エースも手を挙げて「俺も一緒です」と言った。
お父様は頷いて「それでは娘のことをよろしくお願いします」と言ってくれた。
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