56 両親との相談(後)
どうぞよろしくお願いします。
レミ村までは2時間ほどの距離の移動。高度も高く飛ぶけれど、座っての移動に挑戦させてもらえた。
高度が高いとちょっと怖い……。
なんか、気流の移動か乗りかえみたいなのか、ふわってなる時があって「うわっ!」ってなる。
私が悲鳴を上げてしがみつくのが楽しいらしく、ジョイがわざとやるので「ジョイ!!」と怒ったら、ケラケラ笑われた。
ドラゴンってケラケラ笑うんだ!?
またもやレミ村のうちの畑のそばの空き地に降りる。
母がまた気がつき、父と兄がびっくりしたように出てきた。
今日はヒイロ兄さんもいたんだ。良かった!
裏から来た感じになり、レミ村の上を飛ぶ前に降りれたので村人には気づかれていない様子だ。
また庭まで移動していると、父と兄が迎えに来てくれた。
家に入り、すぐに話を始める。
ジェラルドさんが一昨日、自分が仕事で留守をしている時、村人がモンスターに襲われたが、私が頑張って魔法で支援したので、死者が出なかったことを話してくれた。
「そんなことが……」
「ペスカ、すごいんだな!」
父と兄がびっくりする。
「それで辺境伯に呼ばれているのです。
もしかしたら、ペスカを養女にしたい、または将来、息子の婚約者にしたいという話ではと。
ペスカとも話したのですが、お断りしたいということで……。
でも、この話が広まれば、他の有力貴族からの話も、こちらの家に持ち込まれることになるでしょう……」
父の顔が強張った。
「それで、ペスカに言ったのです。
ならばいっそ、私の養女にならないかと。
私は竜騎士団元団長ジェラルド・ハウアーです」
「えっ!? 英雄ジェラルド様!!」
父が驚きの声を上げた。
「もしかしてと思ったのですが、姓を名乗られなかったので、こちらからお聞きするのもと……」
私は首を傾げた。そんな私を見て父が慌てて教えてくれる。
「ペスカ! 私が小さい頃、アウベスト山が噴火したことがあって、その年と次の年は作物が取れず、世が荒れたことがあったんだ。
モンスターも人を襲うことが増えてね。
その時、この辺りを辺境伯爵直属の竜騎士として守って下さったのがジェラルド様だ。
それから、王都に戻られて騎士団長にまでなられたと……」
「じゃあ、お父さん、お母さんも守って頂いてたんだ!」
「そうなるな……。本当にありがとうございました。
おかげでこんなかわいい息子と娘に恵まれました」
「あなた、ペスカをお願いしましょう」
母が決心したように言い、父も頷いた。
「ジェラルド様、ペスカをどうぞよろしくお願いします」
「いやいや私の方こそ、このような素晴らしい娘さんを、娘として迎えることができる幸せを頂いて……、ありがとうございます」
「ヒイロもいいね」
父の言葉に兄も頷く。
「妹をよろしく頼みます」
「ああ、任せてくれ。私の使えるものはすべて使って守ろう」
「養女に行っても、お父さんもお母さんもお兄ちゃんもクインもアメリも、私の家族だから」
「ああ、それは変わらない。
ただ面倒な書類やらそういう貴族とのやり取りはジェラルド様にお任せしてしまうという……。本当にいいんですか?」
自分で話しながら不安になった父が言った。
ふふふ、お父さんらしい。
「ええ、書類などのことはジェラルド・ハウアーに一任し、養女に出したと言って下されば」
「……ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」
「さっそく、村へ届け出を出してしまおう。一緒に役場へ!」
「「はい!」」
父と兄とジェラルドさんが出掛けてしまい、私は母と残った。
「なんだかいろいろ迷惑かけてしまい、ごめんなさい」
「そんなことないわ。こんな面白いことが起きるなんて!
それに養女に出したからと言って縁が切れるわけでもなし。
ペスカはこれからも私達の娘で家族よ」
「お母さん!!」
「幼かったペスカが……、王都の学校へ行って、男の子にプレゼントを貰ったり、村の人を助けたり、お父さんが『英雄』と呼ぶ人の養女になるなんてね……。
次はどんなことをしでかしてくれるのか、楽しみだわ!」
「ちょっと……、お母さん、面白がり過ぎ!!」
「ふふふ、絶対に幸せになるのよ」
「……う、うん」
私は小さくため息をついてから、頷いた。
読んで下さり、ありがとうございます。
相談も何もって感じですね。
ただ実家の負担は少し軽くなるようで良かったのかも。
演習に行って帰ってきたら名前が変わってるなんて友人達はびっくりするでしょうね。学校も。
リアクションと評価、どうもありがとうございます。
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