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5 出発

どうぞよろしくお願いします。

 私のスキルを見て村長が驚く。


「ああ、こりゃ、大変だな」


 なにか? どう大変なんだろう?


 ため息をつかれたけど、戸籍には登録してもらえた。


 そのまま、3日後にまた教会へ学校へ行く仕度をして集合しろと言われる。


 父には揃える物とか詳しいことが書かれていて、子どもを王都の学校へ預けることへの署名をする用紙とかも渡されてた。


 王都の学校で5年間。

 まず一般的な教養や学力やマナーを身に付け、自分のスキルを磨きジョブについて学ぶのだそう。


「もう村へは帰って来られない!?」


 私は5年と聞いて驚いて言った。


 村長は「王都は遠いからなぁ……」と言った。



 父の馬車に乗り帰り道に聞いた話でなんとなくわかった。


 レアスキル&ジョブ持ちが出ると、学校に入ることになるわけだが、学費や生活費は国が出してくれる。

 ただ、交通費は村が負担しなければならないそう。


「わかりました」


 私は頷いた。


 レミ村から王都に行くまでの旅費の工面が大変なんだ。

 我が家にも負担になるのかも……。


「ぺスカ、大変なことになったな」


「うん、5年間、帰って来られないのはわかった。

 でも、学校でお金を貯めてさ、卒業したら、自分のお金で帰ってくるよ」


「いや、それは……。

 もし、旅費を工面できたら、私達も帰省するように連絡するよ。

 卒業してからの方が無理だろう。

 卒業したら、定められた教区の聖女になるんだろうから……」


「そんな……」


 もう、レミ村に、家族に会えないの!?


「親としては思っていたより早く手離すことになりさびしいが……。

 ぺスカは私達の誇りだよ。

 我が家から聖女が生まれてくるとはな……、みんなびっくりだ!」


 父はさびし気だけど、最後の部分はいつもの父らしく明るく笑いながら言った。

 私も無理に微笑んだ。



 仕度はすぐに済んだ。


 持っている下着や服を詰めるくらいだったし。

 新しく用意する物も特になく、これからの物や成長してからの服やなんかも学校で支給されるそう。


 私は大事にしている女神様の絵と兄ヒイロがくれた瓶を鞄に入れた。

 この瓶は花瓶にしろと。

 そうだね、王都でも道端にかわいい花ぐらい咲いてるだろう。


 祖母は櫛と髪飾りをくれた。

 母は結婚式に使ったというピンクのリボンをくれた。


「本当はいつかこのドレスを着て欲しかったんだけど……」


 泣いて言うので私は母に抱きついてお礼を言った。


「ありがとう。ドレスはクインもアメリもいるし……。

 私はこんな素敵なリボンをもらってうれしいよ。大切にする。本当にありがとう」


 妹のクインとアメリは小さな花束をくれた。


 父が教会まで送ってくれることになった。

 少しでも村に負担を掛けないために……。

 それでも私の王都行きのために、村の各家に一定の金額の徴収があったそう……。


 だから『レアスキルを持ってたからって得意になって』『村のみんなの迷惑だよ』なんて言っている大人が何人もいるということは兄に聞いていた。


 村を出る時にライオネルとスノウが道にいるのが見えた。


 手を振ろうとして……、やめた。

 誰かに見られていたら残された家族への嫌味が続くかもしれない。


 でも、でも、お礼ぐらいなら言ってもいいよね。


「ライオネル! スノウ! ありがとう!!」


 それだけ。


 本当に今まで仲良くしてくれてありがとう。

 村での生活はとても楽しかった。

 それだけ、伝えたかった。


 私は馬車を操る父の隣で言った。


「お父さん……、村でしばらく肩身の狭い思いをするかもだけど、ごめんね」


「お前は気にするな。頑張れよ」


「うん……」

読んで下さり、ありがとうございます。

なんかねー。

すっきりとしない旅立ちです。

おめでたいことなんだけど、周囲に遠慮しなきゃいけない。


ブックマークありがとうございます!

とてもうれしいです!

頑張るぞ!

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